22 / 36
第二章 降霊あそびと秘密の小部屋
第九話 一緒に遊ぼう
しおりを挟む
――事件の終幕から三日が過ぎた。
ヘデラには事件の概要を報告し、無事依頼は完了した。彼女はいずれ、ナハトに小屋を譲ろうかと考えているらしい。……家族の思い出がある場所を、壊されたくないだろうから、と。優しい人だ。
ナハトはなんと、『薄明の夕暮れ』で働くことになった。私と同じ住み込みで、読み書きなどを勉強しながらギルドの仕事を覚えようと奮闘している。今は雑用係だけど、鍛えがいがあるとバルドルさんが喜んでいたので、そのうち彼の手伝いをするんだろう。
ルードは、私が誘拐されたのに責任を感じたままらしく。しばらく片時も離れてくれなかったのだけど、ようやく通常運転になってきた。少し前、ユルゲンスさんが来てからなんだか難しい顔をする事が増えている。……無理してないと、いいけど。
――そして、私は。ノッペルンのぬいぐるみを片手に、ギルドハウスの中でとあるものを探して歩き回っている。
「うーん……いないなぁ。……おーい!首だけ少年ー!出ておいでー」
なかなか見つからないことに業を煮やして、ストレートに呼んでみた。すると
――でろん、と。
天井から逆さまに、少年の首が落ちてきた。
「ひゃあぁぁぁあ!?」
……びっくりした。呼んだのは自分だけど、登場の仕方が非常に心臓に悪い。――慌てて口を抑えたが、すぐに階下からものすごい足音が駆け上がってくる。
「何かあったか!!!?アリー!!!?」
私の悲鳴に気づいたのか、ルードが血相を変えて走り込んできた。
「あぁぁ違うのごめんなさい!これには理由があって!」
私と少年の霊を見るなり、剣呑な雰囲気を醸し出すルードから少年を庇い、慌てて釈明する。
「……あのですね、私、初めてここに来た日に、この子と約束したんです。後でなら遊べるって」
ね。そう言って少年を振り向く。彼は、首だけで、こくりと頷いた。
彼は私がギルドにやって来た初日、ルードの視力が移ってから初めて目撃した幽霊である。子どもだし、悪いものじゃないっていうから、一人で遊ぼうとしてたのだけど、バレてしまったなら仕方ない。
「で、ですね……じゃーん!こちら、とっても可愛いぬいぐるみになります!……ね、君、この中に入れないかな?」
そう言ってずい、と。ノッペルンのぬいぐるみを差し出した。先日の事件でネルがクマのぬいぐるみに乗り移って『シシリ様』として動かしていたことから思いついたアイデアである。
何故か身体がなく、首だけの少年でも、このぬいぐるみに入れば一緒に遊ぶことができる、のではないかと思って、探していたのだ。
「確かにそれなら、可能だと思うが……」
難しい顔をするルードと私を交互に見ると、少年はしばし考えたように動きを止めて――消えた。
「わぁ!」
そして突然、ノッペルンがもぞもぞと動き出したかと思うと、ぴょん、と私の手を飛び出して地面に着地する。
「……ッ、かわぁ……!」
ノッペルンが、動いてる。手足の動きを確かめるように、壁をペチペチと叩いたり、地面を跳ねてみたり、してる。可愛いがすぎる。
……これが見たかったからぬいぐるみに入ってもらった、というわけではないんだけど。いや、ちょっとは下心あったけど。
なお、ルードは私の隣で微妙な微笑みを浮かべていた。反応が悪い。ヘデラなら喜んでくれるだろうに。
少年の名前は、セイルというらしかった。
「何して遊ぶ?外に行くのはちょっと難しいけど……家の中で出来そうな遊びならなんでもいいよ」
しゃがみ込んで、ぬいぐるみに入ったセイルに微笑みかけてみる。セイルは首を傾げながら――可愛い――しばらく私を見上げると、振り返って廊下の奥へととてとて駆けていく。
「あ、待って」
慌てて追いかける。セイルは廊下の端まで来ると、一番奥の部屋の前でピタリと止まった。
「この部屋がいいの?」
入ったことがない部屋だ。確か、物置にしてると聞いていた。
ルードを振り返る。少し微妙な顔だったものの、頷いてくれたので扉を開ける。
「……わぁ」
そこは、子供部屋だった。大人のものより小さな机とベッドがあり、壁には子供用の世界地図や、文字を覚えるためのポスターなんかが貼ってある。そして床にはボードゲームやトランプなんかが散乱していた。
長年使われていないのか、床に置かれたゆり木馬にうっすら積もった埃が物悲しい。――そしてどこか、懐かしい気持ちになる。
なんでこんな部屋が、ギルドハウスの中にあるんだろう。
セイルはとてとてと部屋の中に入っていくと、ボードゲームの中からひとつを選んで引っ張り出してこちらを見上げた。
サイコロを振って駒を進め、ゴールを目指すタイプのシンプルなすごろくである。
「いいよ、やろうやろう!ほら、ルードも座ってください!」
「俺もやるの!?」
――すごろくは、結構盛り上がった。
なかなか意地悪な作りになっていて、『振り出しに戻る』や『一回休み』のマスがやたら多い。ゴール直前で振り出しに戻された時は流石に悲鳴を上げた。
また、マスによっては『片足ジャンプ五十回』や『早口言葉十回』なんてものもあった。ルードが真面目な顔でぴょんぴょん跳ねているのはシュールで面白かったし、セイルがたどたどしく早口言葉を言う姿には可愛すぎて悶絶した。
笑ったり、大声を上げたり、悔しがったり、ワイワイと騒ぎながら時間は過ぎていく。
そうして、次に三を出せば一位でゴールという局面。セイルがサイコロを握りしめる。三人の間に緊張が走る中、サイコロは投げられた。
――出た目は、三だ。
セイルはぬいぐるみの体でぴょんぴょんと飛び跳ね、全身で喜びを示していた。無機質なはずのぬいぐるみの目が、キラキラと輝いているように見える。
おめでとう。そう言って拍手する。
『やったあ!!』
その時、ぬいぐるみの後ろに、少年の姿が見えた。少年は満面の笑みを浮かべ、両手を上げて万歳していた。その姿は不気味な幽霊なんかじゃなく、年相応の男の子だった。
私の視線に気づいたセイルは、こちら向かってにかっと笑ってみせ、両手でピースサインをする。
――そうして、消えた。
「……え?」
ぱたり、と。ノッペルンのぬいぐるみが倒れる。
そこには、もう、何もいなかった。
「……なんで、え、セイル?どこ……?」
部屋の中を見回すけれど、何もいない。子ども部屋の中には私とルード以外、何の気配もなくなっていた。
「……魂が、行くべき場所へ行ったんだ」
ルードがポツリと呟いた。
「彼は、長くここに居すぎた。それこそ、本来の体の形を忘れてしまうほど」
立ち上がり、ぬいぐるみを拾い上げる。優しい手つきで埃を払うと、私の手に乗せる。
「それでもここに居たのは……寂しかったんだろうね。誰かと共に在りたかったんだろう。……アリーと遊べて、それが叶ったと……いうわけじゃないかな」
「そ、んな……たった、これだけのことで?」
「よっぽど、嬉しかったんだね」
たった一回、たったこれだけの時間で。
「……も、っと」
「……うん」
視界が滲んで、すぐに目を開けてすらいられなくなった。手に持ったぬいぐるみにぽつぽつと水滴が落ちて濃い染みを作る。
「もっと、遊べ、ば、よかった……!」
「うん」
「他のボードゲームも、トランプも、……絵本だって読めたのに。たった……あれだけの時間で、おしまいなんて」
「……時間の問題じゃないよ。彼の長年の孤独を、君が溶かしたんだ。誇っていい」
ルードの手が、しゃくり上げる私の肩に触れ、慰めるように引き寄せた。暖かい、生きている温度が服越しに伝わる。
「君は間違いなく彼を救ったよ。アリー」
そして堪えきれなくなった私の涙が枯れるまで、ルードはいつまでも隣にいてくれたのだった。
ヘデラには事件の概要を報告し、無事依頼は完了した。彼女はいずれ、ナハトに小屋を譲ろうかと考えているらしい。……家族の思い出がある場所を、壊されたくないだろうから、と。優しい人だ。
ナハトはなんと、『薄明の夕暮れ』で働くことになった。私と同じ住み込みで、読み書きなどを勉強しながらギルドの仕事を覚えようと奮闘している。今は雑用係だけど、鍛えがいがあるとバルドルさんが喜んでいたので、そのうち彼の手伝いをするんだろう。
ルードは、私が誘拐されたのに責任を感じたままらしく。しばらく片時も離れてくれなかったのだけど、ようやく通常運転になってきた。少し前、ユルゲンスさんが来てからなんだか難しい顔をする事が増えている。……無理してないと、いいけど。
――そして、私は。ノッペルンのぬいぐるみを片手に、ギルドハウスの中でとあるものを探して歩き回っている。
「うーん……いないなぁ。……おーい!首だけ少年ー!出ておいでー」
なかなか見つからないことに業を煮やして、ストレートに呼んでみた。すると
――でろん、と。
天井から逆さまに、少年の首が落ちてきた。
「ひゃあぁぁぁあ!?」
……びっくりした。呼んだのは自分だけど、登場の仕方が非常に心臓に悪い。――慌てて口を抑えたが、すぐに階下からものすごい足音が駆け上がってくる。
「何かあったか!!!?アリー!!!?」
私の悲鳴に気づいたのか、ルードが血相を変えて走り込んできた。
「あぁぁ違うのごめんなさい!これには理由があって!」
私と少年の霊を見るなり、剣呑な雰囲気を醸し出すルードから少年を庇い、慌てて釈明する。
「……あのですね、私、初めてここに来た日に、この子と約束したんです。後でなら遊べるって」
ね。そう言って少年を振り向く。彼は、首だけで、こくりと頷いた。
彼は私がギルドにやって来た初日、ルードの視力が移ってから初めて目撃した幽霊である。子どもだし、悪いものじゃないっていうから、一人で遊ぼうとしてたのだけど、バレてしまったなら仕方ない。
「で、ですね……じゃーん!こちら、とっても可愛いぬいぐるみになります!……ね、君、この中に入れないかな?」
そう言ってずい、と。ノッペルンのぬいぐるみを差し出した。先日の事件でネルがクマのぬいぐるみに乗り移って『シシリ様』として動かしていたことから思いついたアイデアである。
何故か身体がなく、首だけの少年でも、このぬいぐるみに入れば一緒に遊ぶことができる、のではないかと思って、探していたのだ。
「確かにそれなら、可能だと思うが……」
難しい顔をするルードと私を交互に見ると、少年はしばし考えたように動きを止めて――消えた。
「わぁ!」
そして突然、ノッペルンがもぞもぞと動き出したかと思うと、ぴょん、と私の手を飛び出して地面に着地する。
「……ッ、かわぁ……!」
ノッペルンが、動いてる。手足の動きを確かめるように、壁をペチペチと叩いたり、地面を跳ねてみたり、してる。可愛いがすぎる。
……これが見たかったからぬいぐるみに入ってもらった、というわけではないんだけど。いや、ちょっとは下心あったけど。
なお、ルードは私の隣で微妙な微笑みを浮かべていた。反応が悪い。ヘデラなら喜んでくれるだろうに。
少年の名前は、セイルというらしかった。
「何して遊ぶ?外に行くのはちょっと難しいけど……家の中で出来そうな遊びならなんでもいいよ」
しゃがみ込んで、ぬいぐるみに入ったセイルに微笑みかけてみる。セイルは首を傾げながら――可愛い――しばらく私を見上げると、振り返って廊下の奥へととてとて駆けていく。
「あ、待って」
慌てて追いかける。セイルは廊下の端まで来ると、一番奥の部屋の前でピタリと止まった。
「この部屋がいいの?」
入ったことがない部屋だ。確か、物置にしてると聞いていた。
ルードを振り返る。少し微妙な顔だったものの、頷いてくれたので扉を開ける。
「……わぁ」
そこは、子供部屋だった。大人のものより小さな机とベッドがあり、壁には子供用の世界地図や、文字を覚えるためのポスターなんかが貼ってある。そして床にはボードゲームやトランプなんかが散乱していた。
長年使われていないのか、床に置かれたゆり木馬にうっすら積もった埃が物悲しい。――そしてどこか、懐かしい気持ちになる。
なんでこんな部屋が、ギルドハウスの中にあるんだろう。
セイルはとてとてと部屋の中に入っていくと、ボードゲームの中からひとつを選んで引っ張り出してこちらを見上げた。
サイコロを振って駒を進め、ゴールを目指すタイプのシンプルなすごろくである。
「いいよ、やろうやろう!ほら、ルードも座ってください!」
「俺もやるの!?」
――すごろくは、結構盛り上がった。
なかなか意地悪な作りになっていて、『振り出しに戻る』や『一回休み』のマスがやたら多い。ゴール直前で振り出しに戻された時は流石に悲鳴を上げた。
また、マスによっては『片足ジャンプ五十回』や『早口言葉十回』なんてものもあった。ルードが真面目な顔でぴょんぴょん跳ねているのはシュールで面白かったし、セイルがたどたどしく早口言葉を言う姿には可愛すぎて悶絶した。
笑ったり、大声を上げたり、悔しがったり、ワイワイと騒ぎながら時間は過ぎていく。
そうして、次に三を出せば一位でゴールという局面。セイルがサイコロを握りしめる。三人の間に緊張が走る中、サイコロは投げられた。
――出た目は、三だ。
セイルはぬいぐるみの体でぴょんぴょんと飛び跳ね、全身で喜びを示していた。無機質なはずのぬいぐるみの目が、キラキラと輝いているように見える。
おめでとう。そう言って拍手する。
『やったあ!!』
その時、ぬいぐるみの後ろに、少年の姿が見えた。少年は満面の笑みを浮かべ、両手を上げて万歳していた。その姿は不気味な幽霊なんかじゃなく、年相応の男の子だった。
私の視線に気づいたセイルは、こちら向かってにかっと笑ってみせ、両手でピースサインをする。
――そうして、消えた。
「……え?」
ぱたり、と。ノッペルンのぬいぐるみが倒れる。
そこには、もう、何もいなかった。
「……なんで、え、セイル?どこ……?」
部屋の中を見回すけれど、何もいない。子ども部屋の中には私とルード以外、何の気配もなくなっていた。
「……魂が、行くべき場所へ行ったんだ」
ルードがポツリと呟いた。
「彼は、長くここに居すぎた。それこそ、本来の体の形を忘れてしまうほど」
立ち上がり、ぬいぐるみを拾い上げる。優しい手つきで埃を払うと、私の手に乗せる。
「それでもここに居たのは……寂しかったんだろうね。誰かと共に在りたかったんだろう。……アリーと遊べて、それが叶ったと……いうわけじゃないかな」
「そ、んな……たった、これだけのことで?」
「よっぽど、嬉しかったんだね」
たった一回、たったこれだけの時間で。
「……も、っと」
「……うん」
視界が滲んで、すぐに目を開けてすらいられなくなった。手に持ったぬいぐるみにぽつぽつと水滴が落ちて濃い染みを作る。
「もっと、遊べ、ば、よかった……!」
「うん」
「他のボードゲームも、トランプも、……絵本だって読めたのに。たった……あれだけの時間で、おしまいなんて」
「……時間の問題じゃないよ。彼の長年の孤独を、君が溶かしたんだ。誇っていい」
ルードの手が、しゃくり上げる私の肩に触れ、慰めるように引き寄せた。暖かい、生きている温度が服越しに伝わる。
「君は間違いなく彼を救ったよ。アリー」
そして堪えきれなくなった私の涙が枯れるまで、ルードはいつまでも隣にいてくれたのだった。
11
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる