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第二話 同性愛
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※一部差別的な表現があります
「おい、また同性愛が見つかったぞ、住民から報告があった」
「悪魔契約者同士か?」
「違う。妖精契約者だ」
警ら隊の声が耳に入る。
「また妖精契約者か? 四大精霊契約者に報告書を渡そう。どうせ流刑に遭うのにな」
「本当だな」
腰に携えた剣に片手で触れながら、彼らはせせら笑っていた。
この国は、四大精霊(エレメンタル)、精霊、妖精、悪魔の順に階級が組まれている。
四大精霊はサラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノームで、それぞれに契約者がいる。主に四大精霊契約者がこの国を統治しているのだ。
この四人の王、女王はそれぞれの地区を統治していて、俺はセルヴ・フォン・シルフ陛下が統治するシルフ地区に住んでいる。
四大精霊契約者は代々世襲制で、確かセルヴ陛下の息子のアイヴァン殿下が、このシルフ地区を継ぐんじゃなかったっけ。
姿は見たことないからどういう人かわからないけど、セルヴ陛下はこの国の階級に厳しい人だから、アイヴァン殿下も厳しい人なのだろう。
基本生まれたときに舞い降りてくる精霊、妖精、悪魔とは必ず契約を結ばなくてはならないが、四大精霊契約者の第一子だけは例外で、舞い降りてきた者とは契約を交わさない。
何故なら一度契約してしまうと一生その者に守護されることになるから、四大精霊を継承できないのだ。
だから、セルヴ陛下の第一子であるアイヴァン殿下は今精霊、妖精、悪魔どれとも契約を交わしていない状態にある。
他のサラマンダー地区を統治しているストック・ヴァン・サラマンダー陛下の息子だって契約していないし、アイビー・リル・ウンディーネ女王陛下の娘だって契約していない。アベリア・シュルー・ノーム陛下の息子だってそうだ。
この四人の王と女王がルーナエ王国を統制しているけど、罪のある者に直接罰を下すわけではない。
罪を犯した者は警ら隊が捕らえて、その者の罪、有罪か無罪か、有罪の場合はどのような処置を施すかの報告書を作成し、罪を犯した人間が住む地区の四大精霊契約者に渡す。
その報告書に同意する判子を四大精霊契約者が押すか押さないかで、罪を犯した人間の処遇が決まるのだ。
今警ら隊がしていた会話は、同性同士の婚姻の話だろう。
この国では同性愛は禁忌とされている。
理由は世継ぎができないからだ。
同性同士では子どもを産めないから、『汚れた者』という烙印を押される。
愛し合い、婚姻を結ぼうとした同性愛者は片方が流刑に遭い、もう会うことはできなくなる。
「悪魔契約者同士なら、どうなろうといいのにな」
「そうだ。何せそもそもが汚れた存在なのだからな」
「……」
警ら隊が俺に聞こえるようにわざと大きな声で言ってきた。
セーレが怒りを抑えているのがわかる。
「カトレア。気にすることはありませんよ。行きましょう」
俺は気持ちを落ち着かせるために水を一口飲んで、カトレアと共にある場所へと向かった。
そう、悪魔契約者同士なら、同性愛は許されているのだ。
何故なら、元々が汚れた存在だから。
それに、同性同士で愛しあっていれば、流産や死産がなくなる。
だから許されているのだった。
俺が住んでるシュロピア村でも、時々悪魔契約者の男性同士が手を繋いでるのとか、たまに見かける。
それでも周りの目は冷たい。
別に、俺は同性愛とか気にしてないし、そもそも人を愛したことがないからわからないけど、お互いを好きなら別にどんな愛だって良くないか? と思う。
でもそう思う人は少ない。大体の人たちは同性愛が汚れたものだと思ってしまうのだ。
「おい、また同性愛が見つかったぞ、住民から報告があった」
「悪魔契約者同士か?」
「違う。妖精契約者だ」
警ら隊の声が耳に入る。
「また妖精契約者か? 四大精霊契約者に報告書を渡そう。どうせ流刑に遭うのにな」
「本当だな」
腰に携えた剣に片手で触れながら、彼らはせせら笑っていた。
この国は、四大精霊(エレメンタル)、精霊、妖精、悪魔の順に階級が組まれている。
四大精霊はサラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノームで、それぞれに契約者がいる。主に四大精霊契約者がこの国を統治しているのだ。
この四人の王、女王はそれぞれの地区を統治していて、俺はセルヴ・フォン・シルフ陛下が統治するシルフ地区に住んでいる。
四大精霊契約者は代々世襲制で、確かセルヴ陛下の息子のアイヴァン殿下が、このシルフ地区を継ぐんじゃなかったっけ。
姿は見たことないからどういう人かわからないけど、セルヴ陛下はこの国の階級に厳しい人だから、アイヴァン殿下も厳しい人なのだろう。
基本生まれたときに舞い降りてくる精霊、妖精、悪魔とは必ず契約を結ばなくてはならないが、四大精霊契約者の第一子だけは例外で、舞い降りてきた者とは契約を交わさない。
何故なら一度契約してしまうと一生その者に守護されることになるから、四大精霊を継承できないのだ。
だから、セルヴ陛下の第一子であるアイヴァン殿下は今精霊、妖精、悪魔どれとも契約を交わしていない状態にある。
他のサラマンダー地区を統治しているストック・ヴァン・サラマンダー陛下の息子だって契約していないし、アイビー・リル・ウンディーネ女王陛下の娘だって契約していない。アベリア・シュルー・ノーム陛下の息子だってそうだ。
この四人の王と女王がルーナエ王国を統制しているけど、罪のある者に直接罰を下すわけではない。
罪を犯した者は警ら隊が捕らえて、その者の罪、有罪か無罪か、有罪の場合はどのような処置を施すかの報告書を作成し、罪を犯した人間が住む地区の四大精霊契約者に渡す。
その報告書に同意する判子を四大精霊契約者が押すか押さないかで、罪を犯した人間の処遇が決まるのだ。
今警ら隊がしていた会話は、同性同士の婚姻の話だろう。
この国では同性愛は禁忌とされている。
理由は世継ぎができないからだ。
同性同士では子どもを産めないから、『汚れた者』という烙印を押される。
愛し合い、婚姻を結ぼうとした同性愛者は片方が流刑に遭い、もう会うことはできなくなる。
「悪魔契約者同士なら、どうなろうといいのにな」
「そうだ。何せそもそもが汚れた存在なのだからな」
「……」
警ら隊が俺に聞こえるようにわざと大きな声で言ってきた。
セーレが怒りを抑えているのがわかる。
「カトレア。気にすることはありませんよ。行きましょう」
俺は気持ちを落ち着かせるために水を一口飲んで、カトレアと共にある場所へと向かった。
そう、悪魔契約者同士なら、同性愛は許されているのだ。
何故なら、元々が汚れた存在だから。
それに、同性同士で愛しあっていれば、流産や死産がなくなる。
だから許されているのだった。
俺が住んでるシュロピア村でも、時々悪魔契約者の男性同士が手を繋いでるのとか、たまに見かける。
それでも周りの目は冷たい。
別に、俺は同性愛とか気にしてないし、そもそも人を愛したことがないからわからないけど、お互いを好きなら別にどんな愛だって良くないか? と思う。
でもそう思う人は少ない。大体の人たちは同性愛が汚れたものだと思ってしまうのだ。
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