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引っ越し
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初夏の暑さがじわじわと感じられる週末の土曜日の昼、白河花蓮は引っ越しのトラックに荷物を詰め終わった報告を聞いて、新しい住居に先に歩いて行くことにした。
花蓮の引っ越し先は、婚約者である橘俊幸の暮らすマンションである。花蓮のマンションから15分ほどの距離にある、いわゆるデザイナーズマンションで、彼はそこのペントハウスに住んでいる。
今日も彼は朝から仕事で呼び出されたが、花蓮に付き添うため断ろうとしていた彼を、
「チェスト一つと10個ぐらいの段ボールの引っ越しに付き添いは要りませんよ。私は大丈夫ですから、俊幸さんもお仕事頑張って下さい。夕食作ってお家で待ってますから、遅くなるようなら連絡くださいね。」
といって仕事に送り出した。
俊幸は弁護士で国際企業や会社間の契約などの分野を専門にしており、出張も多く忙しい人だ。
こうやって夜中や週末に呼び出されることもよくあった。が、花蓮という恋人が出来てからは小さい案件に関しては徐々に今まで補助をこなしていたくれた人に譲っていって仕事量を減らそうとしているらしい。
副業であるはずのセキュリティ会社の需要もだんだん伸びてきて、こっちは代理経営を行っているらしいが自宅にいる時でも忙しいそうに書斎にこもって仕事をしていることも多い。
このマンションも彼の経営だが、マンションのコンシェルジュと警備をやってくれている前川さんご夫婦に大家さんの仕事もやってもらっているので、比較的介入は少ない。
そんな彼に婚約指輪を買ってもらった一週間前の日曜日、
「花蓮と過ごす時間を増やすため、早く正式に引越ししてきてくれ。」と俊幸にお願いされた。
その前の週末にそれとなく住居のことを話し合いたい、と言われていたので心の準備はしていたが、とりあえず彼の言い分と花蓮の言い分を話し合おうと、その日、花蓮は彼と擦り合わせをすることにした。
彼がまず述べた理由は、花蓮と一緒にいる時間を増やしたい、毎日一緒に暮らしたい、いつも側にいたい、だった。
二人とも働いてるし一緒に住めば毎日会える、という点には花蓮も賛成した。彼は花蓮との結婚を望んでおり、花蓮も同意していて、その予行練習にもなる。
その次の理由の、花蓮の身の安全が気になる、セキュリティがしっかりしてるこのマンションなら安心できる、という点にも納得した。
最後に挙げられた理由は、二人で妥協点を探るのに少し時間がかかった。俊幸の、花蓮も彼と一緒に住めば、家賃や光熱費が掛からなくて経済的だ、という点においては、花蓮は、家賃は兎も角、このペントハウスの維持にかかる光熱費、維持費を一緒に住むのだから花蓮も負担したいと述べた。
お嫁さんなのだから払う必要がないという彼と、まだ結婚していない以上お金を入れるべきだと言う花蓮とで意見が分かれのだが、しばらく考えた彼が、では折中案として、コンシェルジェか大家の仕事を手伝うのはどうかと提案してきた。この案は、花蓮も仕事を手伝えるいい機会だと思い喜んで了解した。
彼の家のバイトの仕事は、彼の婚約者として一緒に住めば家の片付けの一環だし、彼のお嫁さん修行として、マンション経営に携わるのは忙しい彼の負担を減らせると思ったのだ。
「前川さん夫婦にはこれからもお世話になるのだから、喜んでお手伝いさせて頂きます。」
「うん、そうだね、彼らも喜ぶともうよ。」
と、ここまで話し合いは至極平和的に進んだが、この次に、花蓮が爆弾を落とし、平和講和に繋がるのに少々時間を費やした。
「家賃の話が出ましたが、私は俊幸さんとここに一緒に住む間も、自分のマンションは、そうですね、六ヶ月は維持したいです。」
花蓮のこの言葉に彼は理解に苦しむという顔で、
「ここに一緒に住むのに何故だ?」
と聞いてきたので、花蓮は親切丁寧に説明した。
(ここは、きっちり説明して、俊幸さんにも分かってもらいたい。こういうのって女性の方がリスクが大きいと思うし。)
「俊幸さんとここに一緒に住むのに不満はありませんし、むしろ嬉しいです。でも私たちまだ知り合って一ヶ月なんですよ。俊幸さんのことは大好きですし、結婚もしたいですが、まだ喧嘩の一つもしていません。他人と一緒に住むというのは易しいことではないはずです。ましてや恋人同士なら愛してるからこそ許せない事が出てくるかもしれません。私もこういうのは未知の体験なのでうまく説明出来ませんが、もし喧嘩しても私は悪い事だとは思いません。むしろお互い理解を深めるには良いことだと思います。私が怖いのは自分の思ってることを言い出せなくなることだと思うんです。帰る場所があれば私も安心して喧嘩ができるんです。帰るところがないと実家に帰るしかないですから。俊幸さんだって、私と喧嘩しても実家には帰りたくないでしょ?」
最初はどうして、という顔をしていた彼も、実家に帰るという言葉に苦い顔をして、不承不承頷いた。
「花蓮の言い分はわかった。君がここに引っ越してくるんだし、上手くいかなかったら、という不安もあるだろう。花蓮に精神的負担をかけるのは不本意だ。帰るマンションがあるという事が花蓮にとって安心して引越ししてきてもらえる要素になるのなら、花蓮の好きにしていいよ。但し、なんで六ヶ月なんだ?」
「いや適当に、そのぐらい一緒に暮らせば大体お互いのこともわかるかな~と思っただけなんですけど。」
「僕は六ヶ月も花蓮の審判を待つのが辛い。せめて三ヶ月にしないか?」
ふむ、確かに六ヶ月も前の家を維持していれば、その間、俊幸は花蓮がいつ出て行ってしまうか、と不安になるのかも知れない。
彼は花蓮の言い分をきちんと理解して了解してくれたし、ここは俊幸の不安を少しでも減らす努力をするのができた嫁の仕事だろう。
「わかりました、それではお試し期間は三ヶ月、という事ですね。」
と言うと俊幸の顔が明るくなった。
「よかった。これで話が前に進む。で、いつ引っ越す?僕としてはこのまま花蓮に泊まってもらって、荷物だけ移動すればいいと思うが。」
ん~、確かに、花蓮のベッドやちゃぶ台や小さなテレビはここには無用なものだろう。となると持ってくるものは、花蓮のお気に入りのチェストと足りない台所用品に日用品と洋服のみとなる。
「大した荷物はないので、引っ越し自体は予約の空きがあれば次の週末にでも可能ですね。わたしも俊幸さんと離れるのは嫌ですし、もし、今週末にも引っ越しできるのなら、このままここに泊まりたいです。」
「よし。なら早速電話して予約を入れよう」
と言うわけで引っ越しは週末となったわけである。
その日は、引越しまでの服の追加の一週間分の着替えを、またトランクに詰めて俊幸の車で送ってもらうと、残りの服は、ほぼ秋服と冬服だけになってしまった。
花蓮の服で埋まっていくクローゼットを見て、満足そうにご機嫌な俊幸をみて、花蓮は5歳も年上なのに可愛いと思ってしまう。
花蓮とて、俊幸のことは大好きだが、やっぱり彼のペースでどんどん前に進んでいくこの関係に、多少不安がないわけではない。今日の引越しの件も嬉しくも思う反面、大丈夫なのだろうかと一抹不安だったが、この俊幸の喜びようにやっぱり良かったんだと思えてしまう。
夕食は彼が買ってきてくれたお寿司を食べ、夜は日本式のお風呂にゆっくり肩まで浸かりたいと思った花蓮は、俊幸に家族用の風呂に入って見たいとリクエストした。
この家にはお風呂が二つあり、一つはマスターベッドルームに洋式のお風呂、もう一つは家族用の日本式の風呂がキッチンから続く廊下の先にある。
日本式のお風呂は広い脱衣所と洗面所から入れるようになっていて、入ると大きなお風呂の向こうに小さな坪庭がはめ殺しの窓越しに見える。
花蓮が髪を洗い、体を洗おうとボディソープをタオルにつけていると、後ろでドアを開ける音がして、俊幸も風呂場に入ってきた。
大人二人がいても余裕な広さの洗い場を、わざわざ花蓮の隣にきて、風呂桶で汗を流し始める。
「俊幸さん?」
「花蓮、背中洗ってあげるよ。」
そう言って、花蓮からタオルを優しく取り上げ、洗いかけていた花蓮の腕を石鹸のついたタオルで優しく擦り始める。時々タオルだけでなく素手で擽られながら花蓮の体を彼が余すことなく撫でていき、花蓮がくすぐったさに、ふふふと笑いながら、泡だらけになると、今度は花蓮が彼の体を泡を立てて洗い出した。忙しい時間の合間にジムや水泳で鍛えているせいか、彼の体は適度にしなやかな筋肉がついていて花蓮は硬い胸板や引締った腰などの感触を存分に楽しみながら丁寧に洗っていく。花蓮に触られて、彼が兆し付いているのが目に入ったが、そこは後回しにして足、足首、足の指先まで泡だらけにしてから彼を見ると、彼は花蓮の頭に手を乗せて愛しそうに花蓮を見ると、手が花蓮の耳をくすぐり、耳の後ろを撫でて頬にかかり、顎の下を猫をくすぐるように撫でてくる。
「花蓮。」
彼がテノールで甘く花蓮の名前を囁くと、花蓮の中の何かが目覚めたように身体にぞくっと震えが走る。
花蓮は、今ははっきりと熱く勃った目の前の彼に手を伸ばし、先端の滑らかで敏感な部分を優しく指先で撫で回し、えらの張った境目を指でこすると、彼がビクンと動いて息をゆっくり吐き出す。
花蓮の手は滑らかに下って行き、二つの袋をゆっくり優しく親指の腹をこすり合わせるように揉むと、彼が気持ちよさそうに呻くのが聞こえた。
花蓮が柔らかく彼を根元から掴み、ゆっくり扱き始めると、彼が手を上に重ねてきて、花蓮が彼を見上げると一緒に扱きながら唇を重ねてきた。
彼の舌が花蓮の中に滑り込み、ゆっくり手の動きに合わせて舌を絡める。二人とも泡だらけの体をお互いに擦り付けながら、もう一方の手で滑らかな肌触りを撫で上げて楽しむ。花蓮の体が火照ってピンク色に色づき二人の息遣いが激しくなってくると、彼は花蓮を立ち上がらせてお風呂場の壁に向かって両手をつかせ、後ろから覆い被さってきた。花蓮の腰を抱き込み彼の熱い滾りを泡で滑る花蓮の太ももの間に滑らせる。彼がそのまま腰を突き上げると花蓮の石鹸の泡だけでなく、溢れた愛液で濡れた太ももの間の膨れた突起に、彼の熱い塊が腰を揺するたびに擦れ、そこから疼くような快感を生み出し花蓮の腰の奥がキュンとしてくる。
彼の片手が滑り花蓮の胸を柔らかく包むと乳首を親指と中指で掴み柔らかくコリコリと扱き出した。
「あっ、ぁっ、ぁっ」
胸と腹下部から広がる甘美な刺激に、花蓮の腰は彼の腰の動きと同調し波のようなリズムに合わせて自然に揺れる。
快感がじわじわと腰のあたりに溜まってきて花蓮は手を丸め、太ももを締め付けて耐えようとするが、彼が、花蓮の締め付けに応えて花蓮の耳を舌で弄びながらカリカリと甘噛みし、胸にあった手をゆっくり下に滑らせてきた。そのまま花蓮の濡れた蜜口の上にある、尖った突起を見つけ出し、ゆっくり指の腹でこする。彼の手の柔らかなタッチに気持ち良さがさらに広がり、快感で膝に力が入らなくなってくると、彼の花蓮の腰を支えていた手に力が籠り、強く花蓮を抱きしめこみ、膨らんだ突起を擦っていた中指を立て親指と一緒に優しく摘まんだ。
「あああっ、・・・んっ」
花蓮のあげる可愛い嬌声に、俊幸は優しく摩っては摘まむを繰り返すと強い快感を求めて花蓮が焦れてくる。
温かい愛蜜が溢れ、彼の手を濡らしクチュクチュと彼の突き上げにあわせ濡れた音が風呂場に響くと、彼が強く摘まんで敏感になって膨らんだ突起の中心を優しく爪先で引っ掻いた。
「ぃやっ、ぁぁあ」
心地よい刺激に腰の奥がキュンとなり、花蓮の背中がそり、間に挟んでいた彼を強く締め付けると、ふるふると痙攣して壁に倒れかける。
彼はしっかり花蓮を抱き込み、腰を支えたまま唸るように息を詰め、たくましい腰がビクッ動き身体を強張らせるとどくっどくっと熱く白っぽい液で壁と花蓮の腹部を何度も何度も濡らした。
「花蓮、愛してるよ。」
荒い息で花蓮の名を呼び、体に力が入らず倒れそうになる花蓮をくるっと自分の方に向けると、そのまま花蓮の崩れる体をゆっくり洗い場の床に降ろし、半開きの花蓮の唇に荒々しく舌を入れながら口付けを繰り返す。
やがて顔を離し、胸の赤い印に口付けると、片手でシャワーを捻って二人の体を綺麗に洗い流した。
まだボーとしている花蓮を抱きかかえ、風呂のお湯が溢れるのも関わらず二人で風呂に浸かる。花蓮を横抱きに抱きかかえたまま、
「花蓮、可愛いよ。」
と囁いて、温かいお湯に使って眠くなってきた花蓮が、「ん。」と答えると、堪らずうなじやこめかみにキスを降らせた。
そして新しい指輪がはまった花蓮の指に優しくキスをして告げる。
「花蓮、僕の愛しい人。引越しを決心してくれて、ありがとう。」
花蓮の心を暖めるその言葉に、微笑んだままそのまま彼に体を預けていると、花蓮を大事そうに抱えたまま、胸をゆっくり揉んだり優しく乳首やまだジンジンする足の間の突起に触れられたりして、彼の悪戯は続く。
(ふふふ、俊幸さん、大好き。)
幸せそうな花蓮は穏やかな波のような快感にゆらゆらと揺れながら上気せる前に、いつの間にかお風呂から抱き上げられてタオルで乾かせられ、ドレッサーで髪を乾かせられ、ぬくぬくとしたベッドで後ろから大事そうに抱きかかえられてその日は眠りについた。
花蓮の引っ越し先は、婚約者である橘俊幸の暮らすマンションである。花蓮のマンションから15分ほどの距離にある、いわゆるデザイナーズマンションで、彼はそこのペントハウスに住んでいる。
今日も彼は朝から仕事で呼び出されたが、花蓮に付き添うため断ろうとしていた彼を、
「チェスト一つと10個ぐらいの段ボールの引っ越しに付き添いは要りませんよ。私は大丈夫ですから、俊幸さんもお仕事頑張って下さい。夕食作ってお家で待ってますから、遅くなるようなら連絡くださいね。」
といって仕事に送り出した。
俊幸は弁護士で国際企業や会社間の契約などの分野を専門にしており、出張も多く忙しい人だ。
こうやって夜中や週末に呼び出されることもよくあった。が、花蓮という恋人が出来てからは小さい案件に関しては徐々に今まで補助をこなしていたくれた人に譲っていって仕事量を減らそうとしているらしい。
副業であるはずのセキュリティ会社の需要もだんだん伸びてきて、こっちは代理経営を行っているらしいが自宅にいる時でも忙しいそうに書斎にこもって仕事をしていることも多い。
このマンションも彼の経営だが、マンションのコンシェルジュと警備をやってくれている前川さんご夫婦に大家さんの仕事もやってもらっているので、比較的介入は少ない。
そんな彼に婚約指輪を買ってもらった一週間前の日曜日、
「花蓮と過ごす時間を増やすため、早く正式に引越ししてきてくれ。」と俊幸にお願いされた。
その前の週末にそれとなく住居のことを話し合いたい、と言われていたので心の準備はしていたが、とりあえず彼の言い分と花蓮の言い分を話し合おうと、その日、花蓮は彼と擦り合わせをすることにした。
彼がまず述べた理由は、花蓮と一緒にいる時間を増やしたい、毎日一緒に暮らしたい、いつも側にいたい、だった。
二人とも働いてるし一緒に住めば毎日会える、という点には花蓮も賛成した。彼は花蓮との結婚を望んでおり、花蓮も同意していて、その予行練習にもなる。
その次の理由の、花蓮の身の安全が気になる、セキュリティがしっかりしてるこのマンションなら安心できる、という点にも納得した。
最後に挙げられた理由は、二人で妥協点を探るのに少し時間がかかった。俊幸の、花蓮も彼と一緒に住めば、家賃や光熱費が掛からなくて経済的だ、という点においては、花蓮は、家賃は兎も角、このペントハウスの維持にかかる光熱費、維持費を一緒に住むのだから花蓮も負担したいと述べた。
お嫁さんなのだから払う必要がないという彼と、まだ結婚していない以上お金を入れるべきだと言う花蓮とで意見が分かれのだが、しばらく考えた彼が、では折中案として、コンシェルジェか大家の仕事を手伝うのはどうかと提案してきた。この案は、花蓮も仕事を手伝えるいい機会だと思い喜んで了解した。
彼の家のバイトの仕事は、彼の婚約者として一緒に住めば家の片付けの一環だし、彼のお嫁さん修行として、マンション経営に携わるのは忙しい彼の負担を減らせると思ったのだ。
「前川さん夫婦にはこれからもお世話になるのだから、喜んでお手伝いさせて頂きます。」
「うん、そうだね、彼らも喜ぶともうよ。」
と、ここまで話し合いは至極平和的に進んだが、この次に、花蓮が爆弾を落とし、平和講和に繋がるのに少々時間を費やした。
「家賃の話が出ましたが、私は俊幸さんとここに一緒に住む間も、自分のマンションは、そうですね、六ヶ月は維持したいです。」
花蓮のこの言葉に彼は理解に苦しむという顔で、
「ここに一緒に住むのに何故だ?」
と聞いてきたので、花蓮は親切丁寧に説明した。
(ここは、きっちり説明して、俊幸さんにも分かってもらいたい。こういうのって女性の方がリスクが大きいと思うし。)
「俊幸さんとここに一緒に住むのに不満はありませんし、むしろ嬉しいです。でも私たちまだ知り合って一ヶ月なんですよ。俊幸さんのことは大好きですし、結婚もしたいですが、まだ喧嘩の一つもしていません。他人と一緒に住むというのは易しいことではないはずです。ましてや恋人同士なら愛してるからこそ許せない事が出てくるかもしれません。私もこういうのは未知の体験なのでうまく説明出来ませんが、もし喧嘩しても私は悪い事だとは思いません。むしろお互い理解を深めるには良いことだと思います。私が怖いのは自分の思ってることを言い出せなくなることだと思うんです。帰る場所があれば私も安心して喧嘩ができるんです。帰るところがないと実家に帰るしかないですから。俊幸さんだって、私と喧嘩しても実家には帰りたくないでしょ?」
最初はどうして、という顔をしていた彼も、実家に帰るという言葉に苦い顔をして、不承不承頷いた。
「花蓮の言い分はわかった。君がここに引っ越してくるんだし、上手くいかなかったら、という不安もあるだろう。花蓮に精神的負担をかけるのは不本意だ。帰るマンションがあるという事が花蓮にとって安心して引越ししてきてもらえる要素になるのなら、花蓮の好きにしていいよ。但し、なんで六ヶ月なんだ?」
「いや適当に、そのぐらい一緒に暮らせば大体お互いのこともわかるかな~と思っただけなんですけど。」
「僕は六ヶ月も花蓮の審判を待つのが辛い。せめて三ヶ月にしないか?」
ふむ、確かに六ヶ月も前の家を維持していれば、その間、俊幸は花蓮がいつ出て行ってしまうか、と不安になるのかも知れない。
彼は花蓮の言い分をきちんと理解して了解してくれたし、ここは俊幸の不安を少しでも減らす努力をするのができた嫁の仕事だろう。
「わかりました、それではお試し期間は三ヶ月、という事ですね。」
と言うと俊幸の顔が明るくなった。
「よかった。これで話が前に進む。で、いつ引っ越す?僕としてはこのまま花蓮に泊まってもらって、荷物だけ移動すればいいと思うが。」
ん~、確かに、花蓮のベッドやちゃぶ台や小さなテレビはここには無用なものだろう。となると持ってくるものは、花蓮のお気に入りのチェストと足りない台所用品に日用品と洋服のみとなる。
「大した荷物はないので、引っ越し自体は予約の空きがあれば次の週末にでも可能ですね。わたしも俊幸さんと離れるのは嫌ですし、もし、今週末にも引っ越しできるのなら、このままここに泊まりたいです。」
「よし。なら早速電話して予約を入れよう」
と言うわけで引っ越しは週末となったわけである。
その日は、引越しまでの服の追加の一週間分の着替えを、またトランクに詰めて俊幸の車で送ってもらうと、残りの服は、ほぼ秋服と冬服だけになってしまった。
花蓮の服で埋まっていくクローゼットを見て、満足そうにご機嫌な俊幸をみて、花蓮は5歳も年上なのに可愛いと思ってしまう。
花蓮とて、俊幸のことは大好きだが、やっぱり彼のペースでどんどん前に進んでいくこの関係に、多少不安がないわけではない。今日の引越しの件も嬉しくも思う反面、大丈夫なのだろうかと一抹不安だったが、この俊幸の喜びようにやっぱり良かったんだと思えてしまう。
夕食は彼が買ってきてくれたお寿司を食べ、夜は日本式のお風呂にゆっくり肩まで浸かりたいと思った花蓮は、俊幸に家族用の風呂に入って見たいとリクエストした。
この家にはお風呂が二つあり、一つはマスターベッドルームに洋式のお風呂、もう一つは家族用の日本式の風呂がキッチンから続く廊下の先にある。
日本式のお風呂は広い脱衣所と洗面所から入れるようになっていて、入ると大きなお風呂の向こうに小さな坪庭がはめ殺しの窓越しに見える。
花蓮が髪を洗い、体を洗おうとボディソープをタオルにつけていると、後ろでドアを開ける音がして、俊幸も風呂場に入ってきた。
大人二人がいても余裕な広さの洗い場を、わざわざ花蓮の隣にきて、風呂桶で汗を流し始める。
「俊幸さん?」
「花蓮、背中洗ってあげるよ。」
そう言って、花蓮からタオルを優しく取り上げ、洗いかけていた花蓮の腕を石鹸のついたタオルで優しく擦り始める。時々タオルだけでなく素手で擽られながら花蓮の体を彼が余すことなく撫でていき、花蓮がくすぐったさに、ふふふと笑いながら、泡だらけになると、今度は花蓮が彼の体を泡を立てて洗い出した。忙しい時間の合間にジムや水泳で鍛えているせいか、彼の体は適度にしなやかな筋肉がついていて花蓮は硬い胸板や引締った腰などの感触を存分に楽しみながら丁寧に洗っていく。花蓮に触られて、彼が兆し付いているのが目に入ったが、そこは後回しにして足、足首、足の指先まで泡だらけにしてから彼を見ると、彼は花蓮の頭に手を乗せて愛しそうに花蓮を見ると、手が花蓮の耳をくすぐり、耳の後ろを撫でて頬にかかり、顎の下を猫をくすぐるように撫でてくる。
「花蓮。」
彼がテノールで甘く花蓮の名前を囁くと、花蓮の中の何かが目覚めたように身体にぞくっと震えが走る。
花蓮は、今ははっきりと熱く勃った目の前の彼に手を伸ばし、先端の滑らかで敏感な部分を優しく指先で撫で回し、えらの張った境目を指でこすると、彼がビクンと動いて息をゆっくり吐き出す。
花蓮の手は滑らかに下って行き、二つの袋をゆっくり優しく親指の腹をこすり合わせるように揉むと、彼が気持ちよさそうに呻くのが聞こえた。
花蓮が柔らかく彼を根元から掴み、ゆっくり扱き始めると、彼が手を上に重ねてきて、花蓮が彼を見上げると一緒に扱きながら唇を重ねてきた。
彼の舌が花蓮の中に滑り込み、ゆっくり手の動きに合わせて舌を絡める。二人とも泡だらけの体をお互いに擦り付けながら、もう一方の手で滑らかな肌触りを撫で上げて楽しむ。花蓮の体が火照ってピンク色に色づき二人の息遣いが激しくなってくると、彼は花蓮を立ち上がらせてお風呂場の壁に向かって両手をつかせ、後ろから覆い被さってきた。花蓮の腰を抱き込み彼の熱い滾りを泡で滑る花蓮の太ももの間に滑らせる。彼がそのまま腰を突き上げると花蓮の石鹸の泡だけでなく、溢れた愛液で濡れた太ももの間の膨れた突起に、彼の熱い塊が腰を揺するたびに擦れ、そこから疼くような快感を生み出し花蓮の腰の奥がキュンとしてくる。
彼の片手が滑り花蓮の胸を柔らかく包むと乳首を親指と中指で掴み柔らかくコリコリと扱き出した。
「あっ、ぁっ、ぁっ」
胸と腹下部から広がる甘美な刺激に、花蓮の腰は彼の腰の動きと同調し波のようなリズムに合わせて自然に揺れる。
快感がじわじわと腰のあたりに溜まってきて花蓮は手を丸め、太ももを締め付けて耐えようとするが、彼が、花蓮の締め付けに応えて花蓮の耳を舌で弄びながらカリカリと甘噛みし、胸にあった手をゆっくり下に滑らせてきた。そのまま花蓮の濡れた蜜口の上にある、尖った突起を見つけ出し、ゆっくり指の腹でこする。彼の手の柔らかなタッチに気持ち良さがさらに広がり、快感で膝に力が入らなくなってくると、彼の花蓮の腰を支えていた手に力が籠り、強く花蓮を抱きしめこみ、膨らんだ突起を擦っていた中指を立て親指と一緒に優しく摘まんだ。
「あああっ、・・・んっ」
花蓮のあげる可愛い嬌声に、俊幸は優しく摩っては摘まむを繰り返すと強い快感を求めて花蓮が焦れてくる。
温かい愛蜜が溢れ、彼の手を濡らしクチュクチュと彼の突き上げにあわせ濡れた音が風呂場に響くと、彼が強く摘まんで敏感になって膨らんだ突起の中心を優しく爪先で引っ掻いた。
「ぃやっ、ぁぁあ」
心地よい刺激に腰の奥がキュンとなり、花蓮の背中がそり、間に挟んでいた彼を強く締め付けると、ふるふると痙攣して壁に倒れかける。
彼はしっかり花蓮を抱き込み、腰を支えたまま唸るように息を詰め、たくましい腰がビクッ動き身体を強張らせるとどくっどくっと熱く白っぽい液で壁と花蓮の腹部を何度も何度も濡らした。
「花蓮、愛してるよ。」
荒い息で花蓮の名を呼び、体に力が入らず倒れそうになる花蓮をくるっと自分の方に向けると、そのまま花蓮の崩れる体をゆっくり洗い場の床に降ろし、半開きの花蓮の唇に荒々しく舌を入れながら口付けを繰り返す。
やがて顔を離し、胸の赤い印に口付けると、片手でシャワーを捻って二人の体を綺麗に洗い流した。
まだボーとしている花蓮を抱きかかえ、風呂のお湯が溢れるのも関わらず二人で風呂に浸かる。花蓮を横抱きに抱きかかえたまま、
「花蓮、可愛いよ。」
と囁いて、温かいお湯に使って眠くなってきた花蓮が、「ん。」と答えると、堪らずうなじやこめかみにキスを降らせた。
そして新しい指輪がはまった花蓮の指に優しくキスをして告げる。
「花蓮、僕の愛しい人。引越しを決心してくれて、ありがとう。」
花蓮の心を暖めるその言葉に、微笑んだままそのまま彼に体を預けていると、花蓮を大事そうに抱えたまま、胸をゆっくり揉んだり優しく乳首やまだジンジンする足の間の突起に触れられたりして、彼の悪戯は続く。
(ふふふ、俊幸さん、大好き。)
幸せそうな花蓮は穏やかな波のような快感にゆらゆらと揺れながら上気せる前に、いつの間にかお風呂から抱き上げられてタオルで乾かせられ、ドレッサーで髪を乾かせられ、ぬくぬくとしたベッドで後ろから大事そうに抱きかかえられてその日は眠りについた。
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