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初めての、南国です

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眩しい陽射しを背に受けるクーちゃんは、風を、ヒューときって高度を少しづつ下げていった。
ピンクとオレンジに染まった夕焼け雲の間を、翼を広げ滑空しながら飛ぶその姿は、本当に気持ちよさそうだ。その竜目に映るのは、眼下に広がるターコイズとエメラルドグリーンの入り混じった南国の海である。
上昇気流で巧みに翼の角度を前方に傾けては好奇心もあらわに、北の海とは明らかに色が違うこの大海を、物珍しそうに眺めている。
そんな楽しそうな姿から視線をずらし、遥か彼方に輝く水平線に見とれながら少しシールドを弱めると、暖かく優しい風が、ホワンと頬を撫でていった。

(ふわあ、なんてあったかいの…ふふ)

初めて訪れる南国の地である。
ここは、ほんとに気持ちのいい常夏の国だ。
遠くを飛んでいる赤や緑の色とりどりの南国鳥達は、リナ達の乗っている飛龍に気づいた途端、慌てて熱帯雨林のパームの木々の間に、パタパタと逃げていった。

「わあ! 凄ーい、海の色がまるで違う」

夕日に、キラキラと輝くエメラルドグリーンの海は、浅瀬から深くなるにつれてだんだん水の色が濃くなっていく。
夕刻の空のピンクとオレンジ、それに鮮やかな海の色の混ざった水面みなもは、上から飛龍に乗って見下ろすと多彩な色の鮮やかなグラデーションだった……

(なんて綺麗な色なの…こんな海の色は、見た事ないわ…)

「綺麗ですねー、さすがは、ハネムーンに大人気の観光地スポット」
「あの辺りに飛龍を降ろせそうだな」

いつでも冷静なシンの指摘した場所は、静かで真っ白な海岸だった。
思ったより標高が高い山々の裾野から海まで、この島の深い緑の熱帯雨林は見渡す限り広がっている。
そしてそれは唐突に、険しい崖で止まっていた。シンの指差した海岸は、その崖下にひっそりとあった。

目線を上げると山々を越えた遠くに、街らしき灯が揺れている。

(観光地のキラの街は、ちょうど島の反対側にあるみたいね…)

多くの人が暮らす街の地域とは違って、島のこちら側の眺望は、手付かずの大自然が織り成す雄大なパノラマだ。
夕陽をバックに望む景色は、思わず感嘆の溜息が出るほど綺麗だった。

だんだん近づいてくる白い砂浜には、陽の沈む直前である逢魔が時が迫っているからか、人っ子一人見当たらない。人気ひとけのないビーチは、ラグーンのように険しい岩山でぐるーりと周りを囲まれていた。
飛龍達は、その上空を大きな円を描く様に旋回しているので、その特殊な地形をつぶさに観察することができた。
囲い込む様な海岸の形と、外洋に向かって、ポツンポツンと至る所に突き出している取り残された大きな岸壁岩が、浅いサンゴ礁を荒波から守っている。
その為、この三日月の様な形をした天然の要塞に囲まれたラグーン内の波は、とても穏やかで、もの静かなものだった。

ワクワクする気持ちで海に見とれていると、いつの間にか砂浜が、目の前にずんずんと近づいてきている。
タッチダウン! …だと思ったら、いきなり砂が上から大量に降ってきた。

「きゃあっ!」

クーちゃん達は、ザザーンと砂の雨を盛大に撒き散らしながら、いかにも、おっとっと、という危なっかしい感じで水際ギリギリでストップをした。
三匹の飛龍はそろいも揃って砂を蹴散らし、スムースランディングとはとてもお世辞にも言えない、派手な着陸をしたのだった。

「お前達、なんだ今の着陸は!」
「今夜は、着陸訓練ですね~、これは…」

咄嗟に張ったシールドに跳ね返った砂が、足元の砂浜に、ザーと滑り落ちてゆく。

『だって、海の砂浜になんて下りたのは初めてで~、こんなに地面が柔らかくて土が巻き上がるとは、思わなかったんです~』

早速、クーちゃんの泣きがリナの心に聞こえてきたっ!
テンの『訓練』という言葉に、竜顔が、ギョッとしている。
これはまあ、今夜は特訓になることは間違いないだろう。

「土ではなく、砂だからなのですよ。初めてならまあ仕方ないですが、ここは砂浜が豊富ですし、これは絶好の良い機会ですね。ここはやはり、食事が済んだら指導をして差し上げましょうね」

テンの優しい言葉に、何故かクーちゃん達は『ぎゃー、逆効果だったっー!』と嘆いている。

今現在、リナ達が飛龍たちに乗って舞い降りたこの島は、南の島々の中でも火山帯に列島が集まる小さな南国の王国、キラ国のキラ島である。
リナ達が着陸したこのキラ島の山脈は休火山だが、いくつもの島々の中には活火山ももちろんある。

リナの受けた神託、つまり昨一昨日のビジョンにどのような意味があるのか?
それは実は、未だに定かではない。
いつもの天啓とは違って、瞼に浮かんだビジョンが短すぎて、詳しい場所が特定できないのだ。
けれども一瞬瞼に浮かんだ景色は、確かに見たこともない南国の海の風景だった。
そして今まで何度命を狙われても、このお告げのビジョンのお陰で生き延びてきたリナとしては、この映像を無視をする気にはなれなかったのだ。

取り敢えずは、リナとテンが、南国と火山と聞けば…と名前だけは知っている、この観光地に手掛かりを求めて飛んできた。
一種の賭けではあったが、記憶の中の地図と硫黄の匂いを頼りに、昨日と今日の二日を掛けて真っ直ぐカルドランから南下して飛んできたのだ。
ちなみに昨日は、少し寄り道をした。クーちゃん達が、通りがかった連なる山々の谷奥で、この辺の地形は龍にとっては隠れやすい、と忠告してくれたのでついでに寄って見たのだ。そこで発見したもう一つの鱗は、シンが、サッサと闇魔法で始末をした。
腐竜がいた気配は残っているものの、やはりそこも空振りではあった。しかし、今辿っているルートは確実に正解だ、と確信するには十分な成果だったと思う。

明日は、さらに新たなる手がかりを求めて、キラ王国の首都、キラの街の冒険ギルドに寄ってみる予定だ。
今日は一日中飛んできたし、もう遅いので、今夜はここで野宿をしようということになった。
街の宿でも宿泊はできたが、フェンやクーちゃん達の事を考えると人目につかないこの海岸の方が最適だと思えた。
それに、肌に感じる南国独特の暖かい空気や、目の前に広がるこの美しい海岸の風景は、どんな高級宿よりも魅力的だ。
しかし、何と言ってもリナにとっての一番の理由とは、極めてシンプルなものだった……

(街の宿だと、シンと離れ離れになっちゃう……)

フカフカ毛皮の魅力もあるが、何より、シンの側は暖かく安心できて、毎晩グッスリ眠れる。
好きになったら一途なリナにすれば、夜間は、その暖かい身体に包まれて眠れる至福の時でもあったのだ。

さて、リナ達一行は朝から丸一日、小休憩を取るだけで飛び続けではあった。しかしながら、皆一同それほど疲れてはいなかった。
なぜなら、物は試しと、今日は出がけには加護を、そして休憩時間には疲労回復の魔法を試しに飛龍達にもかけてやったのだ。すると、驚いた事に飛龍達はいつもの倍のスピードで飛ぶことができた。その上、疲れは全然出ないようだった。
予想以上の魔法の効果と図らずしも目指す方向に向かって吹いていた上昇気流に乗れたお陰で、クーちゃん達も爽快に大空を滑空することができて楽しそうだった。

そんな訳で、ご飯が終わったら早速、テンの指導と言う名のスパルタレッスンが行われる事となった。
そうと決まれば、まずは夕食の準備だ。「楽しそうだから、俺っちも混ぜてくれ」と小さなフェンがシンの周りで、フワフワと駆け回る。頷いたシンの手がこちらに伸びてきた。

「リナ」
「ん…」

もうすっかり、シンにキスをされることに慣れてしまった。
毎度ながらの突然の魔力供給リクエストに驚くものの、この唐突に唇を重ねられるとんでもない行為にも、総じて抵抗感がなくなってしまっている。

火竜のクーちゃんも飛龍のカー君もキーちゃんも、何度も繰返されるこの光景を日常の事だ、と受けとめているようで、フェンの姿が二人のキスの後、突然大きくなっても驚かなくなってきていた。
テンやフェンに至っては、既にこの状況には慣れきっている。
二人が傍で、クチュと唇を開いて傍目からは情熱的な深いキスにしか見えない魔力の交換を終えるのを、しばしのんびりと世間話をしながら待つ始末だった……

そしてもちろん、初めて魔力のお裾分けのキスを交わした時の、『今のキスはノーカウント』コメントはリナの心の内ではとっくに抹殺されていて、今ではこれも、『シンとの甘いキス』と脳内変換されている。

シンは悪戯っぽく、最後のオマケとばかりに、ちゅっと唇を吸い上げてくる。
ふふ、と甘い余韻に酔いながら、ウットリ閉じていた瞳をゆっくりと見開いた。

(…あれ? あの見覚えのある、珍しい葉っぱの形…)

甘いキスの余韻に、ボーとしていた為、逞しいシンの肩越しに、チラッと見えた光景を認識するのに数秒かかってしまった。

「ねえ、あれって…」
「何ですか、あの奇妙な動く島?」
「ほう、やはりこの辺りには豊富にいるのだな、あの巨大イカ魔獣」

リナの目線に気づいたテンが、いくつものココナットウの木が遠く外洋の波間に、プカプカと揺れる様子を見て、首を傾げている。
このラグーンは、いたるところに岩壁が海から突き出ているので、外海からは岩壁の隙間を小さい小舟を使って入って来るしか侵入手段がない。
だがどこやらの名物チーズのように岩壁に所々、ぽこぽこと大きく空いた穴のお陰で、ラグーン内からは外海の様子をつぶさに観察することが割と簡単に出来た。

このラグーンに人気ひとけがなかったのは、魔獣であるシマモドキナットウイカが外洋でたむろしている事もどうやら原因の一つらしい。

「お、夕食が沢山いる!」
『おいしいの? あれ?』
「美味いぞー、一緒に狩りに行くか?」

フェンはやはりクーちゃんの声が聞こえるらしい。
素朴な疑問に早速、とフェンと飛龍達は四匹で翼を広げ、勇んで見事なオレンジ色の夕焼け空を飛んでゆく。

「乱獲禁止だぞーっ! 程々にな」
「了解!っと」

シンの注意にフェンは陽気に答えている。
そうして、何十匹とシマモドキナットウイカが固まっている所にはワザと寄らず、ポツンポツンと離れた所にココナットウの木が波の合間に見え隠れしている、一匹、二匹と孤立しているイカを目指して風を切った。
クーちゃんは、フェンに教えられたのか、シマモドキに生えているココナットウの木の実を、火炎放射で良い具合にこんがり美味しそうに焼き加減を調節して焼いている。
それにかぶりついているフェンや、頭部の異変に気付いて姿を表したシマモドキナットウイカ本体と飛龍達の楽しそうな戦いぶりを、リナ達は遠くから微笑ましそうに見物していた。

「わあ、みんな、元気ね~!」
「なかなか楽しそうですね」
「ここは、飯の心配はなさそうだな」

それぞれのコメントを言い合いながらも、波打ち際から少し離れた崖下に、薪がわりに拾い集めた乾いた流木を組んで居心地の良い野営地を確保する。
暖かい炎をおこすと、テンは熱帯雨林へとふわふわと飛んで上がっていき、ポナナや果物などを手にして、間も無く戻ってきた。手持ちの串焼きと合わせて美味しい夕食を、たっぷりと堪能した。

こうして楽しい時間は過ぎてゆき、太陽も地平線に沈んだ頃、何故かおやつのポナナを食べ終わったリナは、真っ赤になって、もじもじとしていた。
時々、気を逸らそうと、顔を上げてそこから見える外洋を眺めている。

(シンがあの時、ポナナをわざわざ手から食べさせたのって……)

先程、シンがポナナの皮をわざわざ剥いて、「ほら」と差し出してくれた。
「ありがとう」とお礼を言って手を伸ばして受け取ろうとしたら、またいつかの様に手を添えたまま口の前に差し出された。なので、何の疑問もなく片手を添えて、パクっとポナナを咥えてしまった。
きらきら輝く紺碧の瞳でじっと見つめられて、はてな?と思いながらも、そのままシンの手から全てのポナナを食べきった。
最後に、ポナナを持っていたシンの指を綺麗に舐めとっている最中に、キラリとまた瞳が金色に光った気がして、ハッと気がついた。
そういえば、ポナナの形は、最近、目にした何かに酷似しているような……?

(あぁぁーーっ、ウーソーッ!)

だんだん真っ赤に染まってゆくリナの顔を眺めて、シンはやっと気づいたか、とばかりに、ニヤリと意味有り気に笑った。
しかも、このポナナを咥える行為はつまり……

(な、な、なーー! これって、コレってもしかして…?)

その意味ありげな含み笑いに、コレはまごう事なき確信犯だ! とリナはここにきてようやく悟ったのだ……

(有罪決定っ! な、なんて事を食事時に……)

薪の側に座っていて、本当によかった。
こんな熱く燃えるような頬では、昼間だったらとても誤魔化せなかっただろう。
テンが側にいるので、ここではあからさまに怒鳴る事も出来ないっ!
こんなことなら、何も気付かなかった方がましだったような気がする。
これから先、人前では、2度とシンの手からポナナを食べることはできそうもない……

(シ、シンってばっ、結構…ってか、絶対エッチだーーっ!)

だんだんシンのペースに、毒されている様な気がはなはだしくしてきた。

(男の人って、皆、こんななの……?)

シン以外の男性とおつきあいした事がないので、リナには普通がよく分からない。
だけども、城や城下町を巫女姿で、ウロウロと動き回ってはいたので、デートをしている男女の姿はよく見かけた。

(絶対、普通と違うような気がするんだけど……)

一昨日の夜も、昨夜も、皆に『お休みなさい』と寝る時声をかけた後も、船での痴態が思い出されていつものようにシンの側には、なかなか近づけなかった。
恥ずかしくって逃げ腰だったリナは、狼姿になったシンに大きな尻尾で、サッサと捕獲された。
きゃー、と半分パニックのまま、モフモフ狼の身体の上に持ち上げられ、そっとシンの横に横たえられてしまった。
シンは、その柔らかい身体を離そうとしない。
ふんわり尻尾でしっかりまるくくるんで、満足げに目を瞑る。
今までは、フサフサの柔らかいお腹を半分枕がわりに寝ていたのに、前脚を枕がわりに持ってきた狼のシンの真横に抱き抱えられる形になり、大きな舌で、ペロンと顔を舐められてしまった。
ヒャン、とその生暖かい感触に、一瞬縮み上がった。
シンだ、とわかっていても、見た目は口から牙が覗く大型狼なのだ。
危害を加えられる怖さは全然なかったが、違う意味での身の危機を感じて、しばらく胸の動悸が、ドキドキと鎮まらなかった。
紺碧の瞳に見つめられて、尻尾で優しく包んで貰って、ようやくいつものフカフカの感触といい香りに包まれると、やっと人心地がついた気がして安心して寝れたのだ。

昨日の朝も恒例の如く、もちろん濃厚なキスを奪われた。その上、服の上から胸や尻や足の間を弄られて、朝から煽情的に煽られ気持ちよくさせられてしまった。
そしてやっぱり、今朝も見事に寝坊してしまったのだ。
昨日から気候が温暖になってきて、寝る時もシンと一緒にいればとても暖かった。なので、薄い夜着のみを纏って寝ていたら、今朝はもっと刺激的な愛撫を仕掛けられていた。

皆が、朝食調達に揃って出て行った後の事だ。
身体に重みを感じて目が覚めると、狼のもふもふは消えていて、シンの温かい生身の身体が覆い被さってきており、胸は大きな手でしっかりと揉まれていた。

『な、何する…!』
『おはよう、リナ』

朝っぱらからの悲鳴と文句の続きが、森に響き渡ることはなく、んんっ…としっかり重なってきた熱い唇で口を塞がれた。
ゆるい袖から侵入してきたシンの手に直に胸を揉まれて、固くなってきたピンクの蕾を指で挟まれ、やあん、こんな所で、と思った時には既に、片胸の蕾にしっかりシンの口が吸い付いていた。

そこから魔力を吸われると快感が増して、声が漏れそうになる。必死で漏れそうになる喘ぎ声を押さえるリナの努力を余所目に、シンは太ももの間に片膝を強引に割り込ませてきた。
好きな人に触れられているので、足の間が秘めやかに、ジンジンと疼いてきていた。硬い膝でそこを揺らされ、蜜が溢れるまでいじられた挙句に、しっかり朝から盛大に背中が、ビクンと反ってしまった。
荒い息を懸命になだめている間も、太ももには小さい痙攣が、わなわなと走っていた。
そんな上気したリナの顔に頬ずりをしながら、シンは満足そうに「良い香りだなぁ、堪らない」と、眦に唇を落としてきたのだ!

そうだ、思い返せば、今朝もあの露骨な愛撫の後、すぐに皆が朝食の狩から戻ってきて、きゃ~と、冷や汗をかかされたんだった!
外洋を眺めながら、一人で照れては憤慨しているリナを、シンは黙って抱き寄せると愛おしそうに見下ろしている。

「それじゃあ、私は、ちょっとこの子達と適当なところで訓練をしてきますから、リナは先に寝ててください。シン、後は頼みましたよ」
「ああ、大丈夫だ」
「いってらっしゃい」

今朝かけた支援魔法のおかげか、飛龍達はまだ元気が有り余っているようだ。
クーちゃん達三匹は「よおおし、行こうぜ!」とフェンに急き立てられ、「では、ついてらっしゃい」と羽を広げたテンに、嬉しさの混じった諦めの目で頷くと、皆、引き攣った龍顔で飛び立って行った。
このラグーンは決して小さくはないが、テン達全員が暴れるにはちょっと手狭だ。
こうして、元気な集団を手を振って見送ると、突然、シンと二人だけの時間が訪れた。

海岸のサラサラとした砂浜は、昼の余熱が残っていて十分に暖かい。
簡単な毛布を砂の上に敷いただけでも、柔らかなベッドみたいだ。
冷たい夜の海風も、この崖下の楽園には殆ど吹き付けてはこない。
自生しているパームや熱帯の草木が、時々、思い出したようにやんわり吹く夜風に、ユラユラと揺れている。

(んん~、こんなに透き通った海の水だし、空気も暖かい…夜空に見える星座も、バルドランと全然違うのね……)

もう一枚毛布を身体の下に敷いて、仰向きに寝転がって見る。
そうすると、驚くほど鮮明に見える夜空の星座が、視界一杯に広がった。

濃紺の夜空に散らばるのは、キラキラ光る銀河や流れ星だ……
こうして無数に瞬く星の数々を眺めていると、この、どこまでも続く夜空に吸い込まれてしまいそう気がする。
この広大な宇宙に比べれば、自分の存在はなんて小さいのだろう……

(でも、この怖いほど綺麗な夜空を眺めている私は、今、確かにここに存在しているんだわ……)

「すっごーいっ! まるで宇宙の真ん中にいる見たいっ」
「綺麗だな…空気が澄んでいて、花の香りもする」

耳をすませば穏やかな波の音、何処からか聞こえる虫の音に、甘い花のような香りが空気中にふんわりと漂っている。

「なんて…バルドランと違うのかしら? こんなところで野宿なんて、夢見た~い!」
「海の水も暖かいな、リナ、一緒に泳がないか?」
「え?」

先程から波打ち際の辺りを散歩していると思っていたら、水の暖かさを確かめていたらしい。
さっさと上半身裸になったシンは、ジャバジャバと澄んだ水の中を歩いて腰まで水に浸かると、ズブンと綺麗なフォームで海水に頭からダイブした。
そしてしばらくすると、ザバァと気持ちよさそうに水から顔を出して笑いかけてくる。

(うわあぁ、凄い! なんて綺麗なの……)

三日月が浮かぶ静かな夜の海に、月に照らされたムーンロードが穏やかな水面を照らして光っている。
滴る水に髪を掻き上げるシンの、際立った美貌が一際輝いて見える。

逞しい上半身が水に透けていて、思わず生唾を、ゴックンと飲み込んでしまった。
自分はあの美しい黒髪の男性に、触れることを許された存在なのだ……

(まるで、神話や物語で語り継がれる、雄々しい戦の神や軍神のようだわ……)

大好きな紺碧の瞳が、キラキラと輝いて、一緒に泳ごうとリナを誘ってくる。

「あのね、実は私、泳いだこと…」

なくって、と最後は小さい声で答えると、シンはなんだそんな事、と笑い飛ばした。

「心配しなくても、リナは決して溺れはしない、ホラ、ここに来い」

心から寛いだ様子のシンに勇気付けられ、ドレスを下着に近いショートドレスに変えてみた。
そろそろと波打ち際に足をつけて、あ、水、思った程冷たくない…とシンのそばまで恐る恐る歩いていく。

「顔の周りだけ、シールドを張れ。身体の周りの水を、水魔法を扱うように制御してみろ」

言われた通りに努力していると、あれよと言う間に「いくぞ」と身体が持ち上げられていた。
へ? と予想外の事に頭がついていかないでいると、何でもないように身体を、ポイっと水の中に放り投げられてしまった!

(う…わっ、なーっ!)

きゃあ、とジタバタ手足を動かして気が付いた。
自分は普通に息をしている……

(あれ? あ、シールドね!)

クーちゃんに乗っている時のようなシールドを顔の周りに施したリナは、背の届かない水の中でも周りがハッキリ見えて息苦しくない。
…と、思いきや、ドタバタ動かしていた手足の動きが止まると、途端に身体が沈んでいくっ!

(えーっ どうすればっー?)

パニックになったリナはどんどん深みにはまりそうになり、きゃあと目を瞑った途端、逞しい腕が腰に巻きついきて、あっという間に空中に飛び出した。

「こら、魔力を操って水を制御しろ、リナ? どうしたんだ?」
「な、な、な…えー‼︎」
「ほら、いくぞ、今度はちゃんと水魔法を使うんだぞ」

きゃあーっ、ともう一度水に放り投げられながらも、リナの目はシンに釘付けだ。
足先が水に当たる感触に、咄嗟にシールドを張り直しながらも、水中に沈む寸前チラリと見えた月をバックにした優美な姿には……

(きゃぁー、やっぱり、異世界人決定っー!)

月夜で青白く光る、その、この世のものとは思えない美しい裸体の背中には、黒く大きな翼が当然の如く生えていたっーっ!

頭はパニック気味だったが、お陰で生存本能がキックインして、身体は自然に動いておりオートパイロットで魔方陣が光って水魔法を制御してる。
いつの間にか水の中で、呆然と立ち竦んでいた。
超久しぶりに感じる、自分の中の聖女の聖属性魔法の魔力が、ざわざわと騒めいている。

(あ! ええっと…魔力の循環っと…)

慣れた感じで身体中に温かい魔力の感覚を広げていく……
いつの間にか、後ろから近づいてきて横に並んだシンが、何となく胸の前で構えていた手を、そっと握ってきた。

「ほら、出来ただろう? さあ、一緒にサンゴ礁を見に行こう」

ボーゼンとしたままのリナの手を引いて、力強く水の中を先導して進むシンの背中には、先程確かに見えた、黒い艶やかな翼は見当たらない。

(へ? 幻? さっきのは見間違いだったの?)

夜中の海は、月明かりの僅かな光で透明な水が揺れている。
周りが全て青、先の方は昏い不透明な不思議な世界だ。
水深が深くなり前方は真っ暗闇のくらい海中を、シンは迷いもせず岩場の浅瀬にまで、まっすぐ導いていく。
水の中で自然にシンの横に並んで泳ぎながらも、頭は疑問で一杯だ。

(やっぱり、シンが何者なのか聞いて見たい…いや、やっぱり聞きたくない。彼が誰でもいいじゃない、シンはきっとそのうち教えてくれる……)

あなたは一体誰? 何者なの?

シンに初めて出会った時から、心の中で湧き上がった素朴な疑問だった。
でも、これを口に出してしまえば、彼が自分の側からいなくなってしまうような気がして……
シンの正体はまだ知らない方がいい、と訴えるリナの本能に内心で大きく頷き、側に居てくれるのならこの疑問は絶対口に出さないわ、と再度誓った。
彼はそのうち話してくれる、と確信できたから。
忘れもしない、メリー号で二人で過ごした夜、不思議な紙にサインを求めた紺碧の瞳は、真摯で心がこもったものだった。

(あれに自らの血判を押す行いは、シンにとって、よくよくの決心だったんじゃあないかな? それも明らかに私と一緒にいる為よね……)

女の第六感は、彼は二人の為に動いてくれている、と頭に囁いてくる。

(だから、私も、彼の正体は気にしない事にしよう)

それでも、さっきみたいに、普通じゃないものをいきなり見せられたら、やっぱり驚いてしまうのだけれど……

けれども、例えば今みたいに、未知の体験を一緒に経験することの方が、胸はもっとドキドキしてくる。
二人で手を繋いで泳ぐ水の中は、月の光が射し込んでユラユラと揺れる、まるで知らない海の世界だ。

「なんて華やかなの…本当にここは水の中?」
「綺麗だよなぁ、リナと一緒にみると、感動もひとしお増すな」

初めて見る赤やピンクのサンゴ礁に、鮮やかな青や黄色の熱帯魚の群れ。
透明な水の中で沢山の魚や珍しい生き物が、ヒラヒラと優雅に目の前で舞っている。
さながらそれは、海中で宵の宴会が催されている様な幻想的な情景だった。
かと思えば、頭の上を大きな影が横切っていく。大きなヒレを優雅に動かしながら、ゆったりと泳いでいく不思議な魚達。
「う~ん、やっぱり綺麗だ」と言って目を輝かせるシンを見て、「綺麗なのはあなたよ…」と心の中でそっと答えたリナだった。





「ん…ぁ…」
「リナ、カトリアーナ、俺とつがいになる決心はついたか?」

サンゴ礁から帰ってきた二人は、月明かりの下で熱いキスを交わしあっていた。
いっとき前に浜辺で濡れた身体を乾かそうとした途端に、静かな浜辺で逞しい身体に、ゆっくりと押し倒されてしまった。逆らう気などまったくない柔らかな身体を柔らかな毛布の上に、そっと横たえられ、独特の香しい香りが漂ってきて耳元で心地よい美声に、そっと囁かれた。
心の返事はもちろんイエスだ。けれどもそのまま耳たぶを齧られてしまって、返事をする間もなく代わりに甘い声が自然に喉から漏れた

「ぁん…」
「そうだ! 言い方が違うんだったな、リナ、こっちを向け」
「んん…」

胸を弄っていた両手が、そっと頬に添えられる。
紺碧の瞳が、こちらを真剣な様子で見つめてくる。

「リナ、愛している、幸せにするから俺と結婚してくれ」
「え? あ……」

思いがけない突然の愛の告白に、頭が一瞬ブランクになり、次の瞬間喜びが一気に湧出して心まで溢れた!

「シンっ、嬉しいっ! もちろん答えはイエスよ。あなたと喜んで結婚するわっ!」
「よしっ! 良かった、俺も嬉しいぞ。やっぱり言い方が違ったんだな」

納得したように呟くと、シンは嬉しそうに、額をコツンと合わせてきた。
鼻の頭をスリスリと擦り合わせては、幸せで震える唇をペロンと舐められ、軽いキスを繰り返してくる。

(ああ、こんな事って、嬉しすぎる……)

「シン、愛してるわ」
「シンディオン・ダイモーン、だ」

本当の名前を教えてくれた!

今夜は嬉しい出来事の連続だ。
愛しいシンが愛してる、とはっきり言ってくれて、プロポーズをされ、フルネームまで教えてもらった!

「シンディオン、愛しているわ」
「カトリアーナ、愛している」

二人で見つめ合うと、そっと包み込むような優しいキスを交わした。
お互いを抱き合う二人のその姿は、月明かりの下で真っ裸だ。
先ほど服がびちょぬれになっていたので、浜辺で後ろを向いてタオルで拭こうと裸になった途端、シンに押し倒されてしまった為だ。恥ずかしい~、と照れてしまう反面、しなやかで張りのある熱い肌を手の平に感じて、逞しい身体に直に触れていると心が浮かれてくる。
シンがそのまま身体をズラして鎖骨、胸の膨らみまで唇で辿っていくと、肌にピリッとした衝撃が走る。

「ん…シン? 何をしているの?」
「俺のものだ、という印を付けているだけだ。念の為にな」

胸の膨らみに脇やおへその周りなど、その刺激はドンドン身体の至る所に移動していく。
太ももの内側にその刺激を感じた時、好奇心を抑えられなくなって、顔を上げて胸の刺激が走った部分をさすってみた。

(あ、何か赤い痕が残っているわ…)

この赤い痕のことを、『印』と言っているらしい。
確かにそれは、手紙の送り主を示す封印シールによく似ている。

(ふふふ……)

シンのものだと、堂々と宣言されるのも悪くない。
見えない所にしかそれは点々としか残されていないが、それはそれで二人だけの秘密でいいような気がする。

「ふ…ぁ…ぁん」
「俺以外の男には、決して見せるなよ」

太ももを片手でかかげて、柔らかい内股やドレスで隠れる際どいギリギリの線を唇で辿りながら美声が言い聞かせてくる。「当たり前よ、こんな恥ずかしい事、シン以外に許すわけないでしょう」と真っ赤になって掠れ声で応えた。

こんな行為はシンだからこそ許すのだ、他の男となぞ考えられない……
そんなことをのぼせるような頭で考えていると、いつの間にか身体を裏返しにされていた。

「はぁ…ん…」
「やっぱり、こっちも感じるんだな」

背中の肩甲骨のあたりを唇と手で優しくなぞられると、ゾクゾクと背中が震えて知らずにヨガリ声が唇からこぼれる。あぁぁ…と自分の声とは思えないような声が耳に入ってくる。
ツーと優しく指で白い肌を撫でられ、唇で強く吸われると、ビクウ、と電気が走ったような痺れが腰まで走った。そのまま、へなへなと力が抜けそうになってしまった。

「あ、ダメ…こんな…」
「いいから、気持ち良くなれ」

背中の感じる所に口づけられながら、片手で胸を揉まれ蕾まで弄られると、あぁもう気持ちいい、としか感じられなかった。

(シン、シン、ああ……)

そのうちまた身体を裏返しにされて、太ももにガッチリ腕が巻きついてくる。
うっとり陶然としたまま気が付いた時には、もう既に溢れだしている蜜を、即座に、じゅる、と啜られていた。

「あ…うそ…ぁあ…ぁっ…やっ」
「やはり、甘いな」

毎日優しく指や膝や、唇で秘所を掻き回されるので、シンの愛撫に身体はすぐに、トロトロに蕩けてしまう。
溺れそうになる快感にたまらず咄嗟に瞼を持ち上げると、視界に飛び込んできたのは満天の星の夜だ。
夜空の星々までもが二人を祝福するように、優しくチカチカと瞬いていた。

「んん…っ…んっ…」

柔らかく、ぐちょぐちょに濡れそぼった蜜口に満足したシンは、時を置かず、敏感に膨らんだ花芽を口に含んできた。
ずきん、ずきん、と鼓動の速さと共に疼く花芽を、舌で舐められ跳ね上げられ唇で吸い上げられる。すると身体の中心の奥から、熱い愛蜜がとめどなく溢れ出てきた。

「ぁん…ダメ…や…あぁぁーっ」

一際強く水音を立てて吸い上げられると、悲鳴のような甘い声が夜空に響き渡る。
身体は痺れたように、ビクンビクン、と痙攣してしまって、上手く呼吸ができそうにない。
頭はフワフワしていて、手足を投げ出すようにして、ハアハアと荒い息をはいていると、腰に両手がかかるのを感じた。そんな状態で身体を裏返しにさせられて、ひょいと、腰を持ち上げられ膝を立たせるような格好にさせられる。
やあ、こんな格好、恥ずかしい!とは思うものの、もう黙ってシンの好きにさせてしまう。
硬く昂ぶった屹立がグッチョリ濡れてきた足の間に挟まれ、身体が揺さぶられはじめた。
シンが腰を動かすと熱い屹立が敏感な足の間を、ゆっくりとこすってゆく。

(は…ぁん、ダメ…力が…)

「リナ、愛してる、俺のものだ」
「は…ぁ…んん…」

気持ちよすぎて両腕に力が入らない。
程なく蜜口に硬い屹立が少しづつ侵入していて、あ、と思った時には圧迫感を感じた。

「リナ、大丈夫だ、力を抜け」
「ん…ぁぁん…」

(シン、シン、大好き……)

胸の頂きを指でつままれると、あ、と気が逸れて一瞬力が抜けていった。
その瞬間、ズン、と一気に灼熱の塊に身体を貫かれた。

「んんっーーっ」

初めて感じる膣内なかへの侵入感に、抵抗するかのように身体に力が入ってしまう。

(シンが、私の中に……)

それは、痛みを伴う不思議な感覚だった。

「っ…リナ…」

耳元で低く甘く名前を囁かれると、一瞬感じた痛みも忘れて心がシンへの愛しさで溢れだし、切なさで身体が小さく震えた。気分を落ち着けるような良い香りが、どこともなく鼻腔に流れてくる。
ハアハアと身体全体で荒い息をしていたリナも、そのままじっと動かずに中に居座っている屹立にようやく慣れてきて力が抜けてきた。
初めは違和感しか感じなかったその圧迫感も、やがてゆっくり、グチュ、グチュと動き出した腰の揺れに、いつからかそれは甘い陶酔感にすり替わっていた。そのうち、自らもその動きを追うように腰を揺らしている。

(もっと、もっと、あなたを感じさせて……)

「あ…ぁ…はぁ…」

甘いため息のような喘ぎ声が、絶えず喉から溢れてくる。
柔らかい胸を包みこみ指先で蕾をいじっていたシンの手が、いつの間にか背中を撫でている。

「リナ…ほんと綺麗な背中だな……」

肩甲骨の辺りを優しく撫でられて、ちゅ、と口づけられると、ビクン、と身体全体が震えて反応した。

(や、そこは、何か……)

「はあ、堪らないな…」

そのまま、ちゅう、チュっと唇で優しく背中にキスを繰り返されると、ワナワナと細く震えて腕に力が全然入らない。その癖、身体の中にいるシンの屹立を、キュウキュウと知らず知らずうねるように締め付けてしまっていた。
両手にのせた顔を横に向けて、激しい呼吸を繰り返すうちに、以前にも感じた腰の奥の熱が抑えらきれないほど高まってきた。熱源が湧き上がってくる感覚に、ぎゅうと太ももに力が入って、身体が大きく、ビクンビクンと震えてくる。

「くっ…」

シンの高ぶりを何気に、きゅうんと締め付けてしまい、次の瞬間には身体を貫かれたまま片足が持ち上げられた。
身を任せて斜め横になったリナに、シンはそのまま覆いかぶさってくる。
そしてギリギリまで抜いた屹立を、そのまま突き上げるように身体の奥にズンと突き入れられた。

「ぁん…ぁぁ…っ」

(や、こんな、深い……)

突き入れられるたびに腰の奥が痺れて、目の前がチカチカしてしてくる。
味わい尽くすような力強い差し入れは、腰の奥にたまっていた快感を一気に引き上げてゆく。
奥から湧き上がってくる熱い快感に、力なく背中が震えてきた。

(だめ、だめ、や…っぁああ…)

脳内の叫びは声にはならず、フワッと温かい愛液が一気に溢れ出た。
次の瞬間、無自覚にも膣内なかのシンを、きゅうん、きゅうんと今まで一番激しくうねるように締め付けてしまっていた。

「っ…」

動きを止めたシンは、その締め付けを味わうように、グッと腰をさらに押し付けてきた。
長い腕が身体の周りに回され、固く抱きしめられて口づけられる。
その瞬間身体の奥に、熱い液体のような飛沫が放たられたのを感じた。

(あ、シンの……)

その感覚は今まで感じたどの感覚とも違って、身体の奥の奥まで濡らされてゆく……
不思議な温かい感触がどんどん身体の中で広がって、溢れるような幸福感と陶酔感をもたらしてくれる。

(はぁぁん…凄い気持ちいい……)

酔ってしまいそうな香り立つ芳香がただよい、痺れるような甘美な陶酔感に身体が支配されてゆく。
そんな恍惚とした状態のままシンに大事そうに抱えられて、一緒に毛布の上に横向きにゆっくりと転がった。
唇を離して、ハアハアと荒い息をしていたリナの肩や首筋にキスの雨が降ってきた。
それでも動けない身体に、そっと頬ずりをされて低い声が優しく囁いてくる。

「リナ、愛している」
「シン…」

私も、という言葉は声にならず、酩酊したような意識は朦朧としてきて、ゆっくり重い瞼が降りてゆく。
突然襲ってきた心地よい睡魔に逆らわず、そうっと瞳は閉じていった。




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