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7 人はお腹がすくとイライラする
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遠藤さんと二人介助でハナさんをベッドから車イスに移乗する。私はハナさんの後ろから体を密着させゆっくり持ち上げた。車イスの前にいる遠藤さんが、ハナさんのひざの上を持ち、二人で抱えて車イスに移した。うまくできた。
「あんた肥えたわね」
車イスに座ったハナさんが言った。えっ? 遠藤さんのこと? まさか、私?
「あたしも思ってた。太ったよね。智子さん」
遠藤さんにも言われてしまった。施設のヘルスメーターで計った。確かに太った2㎏増えていた。ショック! ダイエットしなきゃ。
イライラしながら帰宅。
「おかえり♪
見て、見て。今日は特に腕を振るったよ」
いつも以上にハイテンションな天使。テーブルにアップルパイ、ドーナツ、マドレーヌ、クッキー、ドライフルーツがぎっしり入ったパウンドケーキなどがいっぱい乗っていた。
「極細パスタもあるよ」
なんか、うっとうしい。
「炭水化物ばっかりじゃない」
「僕の名前のムニエルはね、粉屋を意味する“ムニュ”からきてるんだ。
そのせいか、小麦粉を使った料理が一番得意なんだ」
「食べないわよ」
「え?」
「小麦は体に悪いの。体調不良のすべての元凶なんだから」
「それは誤解だよ。アレルギーの人にはよくないけど、そうじゃなければ排除する必要ないんだよ。
それどころか小麦は幸せな気分にしてくれるよ」
「それは中毒症状なの。おいしく感じるのは中毒なんだから」
「どうしたの? 今日の智子、すごくイライラしてるね」
「2㎏も太ったわ。もう何も作らないで。私は太りなくないの。母親みたいな体型にはなりたくない」
「体重が増えたの? それは健康的になっただけだよ、今までが痩せすぎなんだよ。栄養のバランスはいいから、変な太り方はしないよ。食べることを楽しんでほしいな」
天使はドーナツを一つ持って、私の頭の上で天使の輪っかみたいにしている。
「イライラしてるときこそ、小麦粉がいいんだよ。
精神安定の効果がある。それに老化防止にもなる」
パスタの皿を持ってすすめてくる。
「無理に食べさせるのは〈メシハラ〉よ」
振り払った手がぶつかり、皿が床に落ちて割れた。でも知らない。私は悪くない。
「スリムな体形を維持したいの。邪魔しないで。それを片づけてもう二度と現れないで」
悲しそうな天使。だけど知らない。私は部屋に入った。私は悪くない。
僕は、床に落ちたものやお菓子を片づけている。
おいしいものが、心と体を癒し、幸せにすると思っていた。だけど……
片づけてアパートを出た。
「あんた肥えたわね」
車イスに座ったハナさんが言った。えっ? 遠藤さんのこと? まさか、私?
「あたしも思ってた。太ったよね。智子さん」
遠藤さんにも言われてしまった。施設のヘルスメーターで計った。確かに太った2㎏増えていた。ショック! ダイエットしなきゃ。
イライラしながら帰宅。
「おかえり♪
見て、見て。今日は特に腕を振るったよ」
いつも以上にハイテンションな天使。テーブルにアップルパイ、ドーナツ、マドレーヌ、クッキー、ドライフルーツがぎっしり入ったパウンドケーキなどがいっぱい乗っていた。
「極細パスタもあるよ」
なんか、うっとうしい。
「炭水化物ばっかりじゃない」
「僕の名前のムニエルはね、粉屋を意味する“ムニュ”からきてるんだ。
そのせいか、小麦粉を使った料理が一番得意なんだ」
「食べないわよ」
「え?」
「小麦は体に悪いの。体調不良のすべての元凶なんだから」
「それは誤解だよ。アレルギーの人にはよくないけど、そうじゃなければ排除する必要ないんだよ。
それどころか小麦は幸せな気分にしてくれるよ」
「それは中毒症状なの。おいしく感じるのは中毒なんだから」
「どうしたの? 今日の智子、すごくイライラしてるね」
「2㎏も太ったわ。もう何も作らないで。私は太りなくないの。母親みたいな体型にはなりたくない」
「体重が増えたの? それは健康的になっただけだよ、今までが痩せすぎなんだよ。栄養のバランスはいいから、変な太り方はしないよ。食べることを楽しんでほしいな」
天使はドーナツを一つ持って、私の頭の上で天使の輪っかみたいにしている。
「イライラしてるときこそ、小麦粉がいいんだよ。
精神安定の効果がある。それに老化防止にもなる」
パスタの皿を持ってすすめてくる。
「無理に食べさせるのは〈メシハラ〉よ」
振り払った手がぶつかり、皿が床に落ちて割れた。でも知らない。私は悪くない。
「スリムな体形を維持したいの。邪魔しないで。それを片づけてもう二度と現れないで」
悲しそうな天使。だけど知らない。私は部屋に入った。私は悪くない。
僕は、床に落ちたものやお菓子を片づけている。
おいしいものが、心と体を癒し、幸せにすると思っていた。だけど……
片づけてアパートを出た。
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