【完結】復讐に燃える帝国の悪役令嬢とそれに育てられた3人の王子と姫におまけ姫たちの恋愛物語<キャラ文芸筆休め自分用>

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
上 下
49 / 54

シャルティエ女王と好色王子

しおりを挟む

 場所を移し、ラファエルは汚れを落とした後にシャルティエの寝室に出向く。用意された服を着こみ。レイチェルの隣の椅子に座る。


「ミェースチ姉さんが来ているんですね……」


「はい。お母さん」


「そうです。女王……母上は復讐しようとするでしょう」


「………その時がやっときたのですね」


 シャルティエは疲れた顔で二人を見る。


「あなたは……私を恨みますか?」


「恨みません。関わりもないです。それに復讐はみっともないです。私の父は母を殺しましたが。それで復讐してもあまりよろしくないと思っています。復讐は恐ろしい。復讐は復讐を呼び。多くの犠牲者が出ます。しかし、何もなかった事はできないですが。区切りを持つ必要はあります。難しい問題ですね」


「……そうなんですね。てっきり……恨まれているかと思いました」


「安心してください。帝国民は感謝をしてます。悲しい理由でしょうがあなたが王国の女王でよかったと言うことです。帝国側ではですね」


「はい……」


「お母さん。お母さんは私の母親でよかった……」


「レイチェル?」


「母の子だから。今こうしてラファエル様にも会えたし……捨てられてもいい子としてるから自由も手にはいったんです。感謝してます」


「そうです。女王……別にあなたが悩む必要はないですよ」


 ラファエルはシャルティエに優しい笑みを向けて好印象を与えようとする。ラファエルは何故か抱いてみたいなぁーと好色の癖が出てしまい。レイチェルに足を踏まれ続けても微笑むのやめない。鋼の意思を見せる。


「……悩む必要ですか? ふふ……あなたたちは知らないのでしょう。ずっと比較される辛さは……」


「いや。他人ですし。比較にならないでしょう?」


「母上、あれは別の生き物です。そんな考えがおかしいです。魔物と人間の違いを考えますか?」


「………」


 二人がバッサリと否定を口にする。レイチェルも少しの期間で考えを改めたのだ。


「……シャルティエ女王。それよりもあなたは罪の意識があるようですね」


「それは……私のせいで……ミェースチ姉さんは……」


「……王国の母上とシャルティエ女王に抗争を家族皆で調べました。内容は簡単……ミェースチ母上は努力し、努力したのに婚約者を奪われて怒り苛めるのですがそこも問題ですね」


「ラファエル様。お義母さんのことバカにしますね」


「ええ、だってそうでしょう。王子に相談すればいい。誰にも相談せず個人でやるから悪いんです。逆にシャルティエ女王もそういう婚約者がいながらに王子にベッタリで甘えるのもいけなかった。王子もです。婚約者がいながらにして問題の解決を先伸ばしにしてますし、母上だけを悪者にした。まぁ……10才ならそこまで考えることは出来ませんけどね。それに母上は……手加減してた。殺せばよかったのに生かしましたし」


 シャルティエ女王はその言葉に何も言えず口を閉ざす。今になって、直接、皆が悪かったことを咎められている気がしたのだ。それも一回りも下の子に。


「まぁ結論。全員悪かったと私たちは結論づけてます。なのでシャルティエ女王もそこまで過去を気にしないでいいのではと思います。若輩者で色々言いましたが……すいません。もう過去ですし……」


「そうそう。お母さん……ラファエル様の言う通り。過去を気にしすぎてもね。ただ……ミェースチお義母さんが会っても許してくれるかわからないけど」


「わかりませんね……はぁ……シャルティエ女王。雲隠れしませんか? 会ってもよくないことしかおきませんよ」


「…………………ふふふ……ふふふふふふ」


 シャルティエは笑い出す。久しぶりに大きく大きく笑い出す。


「ははははははは………ははは」


 唐突な笑い声にレイチェルとラファエルは首を傾げる。そして……ゆっくりと泣き声に変わり二人が慌ててシャルティエの背中をさすり出す。


「……そうですね。なんでずっと過去でああすればとか……色々考えて……全く意味がないんですよね……ふふ……」


「お母さん……」


「レイチェル……お母さんね……ミェースチ姉さんに会ってみる」


「「!?」」


「大丈夫……死んでも大丈夫よ……だって……こんなに二人が幸せになれそうなら。挨拶しなきゃ」


 ラファエルとレイチェルは冷や汗を掻き出すのだった。戦争になると。







 レイチェルを置いてラファエルは慌てて家族を宿の寝室に呼び出す。ミェースチ以外の家族に話をする。


「シャルティエ女王の説得失敗した……」


「ラファエル。君を信じた僕がいけなかった」


「ラファエルお兄様。今までありがとうございます。これからは兄弟3人でがんばります」


「ラファエルお兄ちゃん。騎士やめたら?」


「なかなかに厳しい」


 ラファエルは申し訳無さそうに囁く。


「レイチェルと説得した。殺されると。でも……固く固く意思を曲げずにいらっしゃるので」


「仕方がない……母上の案がそのまま使用されるとは……」


 ラファエルはレイチェルのお陰で忍び込めたが……ミェースチはどうするか皆がわからないのだ。


 ただ一つ奇策を行おうとしている。それは異常な賭けのような事。頭が重い。


「あれ……やるのか? ウリエル」


「やるでしょうね。鎧も用意されてます……」


「ガブ姉さん……ヤバイね」


「ええ……敵地ですもんね」


 家族はその賭け、ミェースチがただひとつ考えた最悪なイタズラの決行を覚悟するのだった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

気だるげの公爵令息が変わった理由。

三月べに
恋愛
 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。  王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。  そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。 「生きる楽しみを教えてくれ」  ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。 「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」  つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。  そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。  学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。 「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」  知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。 「無視してんじゃないわよ!」 「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」 「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」  そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。 「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」  ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。 (なろうにも、掲載)

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

処理中です...