【完結】復讐に燃える帝国の悪役令嬢とそれに育てられた3人の王子と姫におまけ姫たちの恋愛物語<キャラ文芸筆休め自分用>

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
上 下
39 / 54

姫の初めての頭痛

しおりを挟む

「うっうっ……うっぐ……おえ」


「辛いでしょうが……頑張ってください」


 早朝、ラファエルはレイチェル姫の背中を擦りながら……二日酔いを癒していた。はじめての経験か嗚咽し、泣きながら吐瀉物を生み出す王国の姫に対し。こんな姿を王国民には見せられないなと思いながら……介抱する。


「ひっぐ……気持ち悪い……皆さん……どうして元気なんですかぁ~」


 皆は元気よく仕事に出掛ける。薬や魔法で強引に動かしているのだ。


「無理矢理です。まぁ……自分も薬と魔法で強引に抑えています」


「おええええええ」


「……」


 レイチェルを護る騎士ラファエルはしんどそうなレイチェル姫を担ぎ。布で口をふきソファに横にした。水と薬を置き、ラファエルはレイチェル姫の頭を膝に乗せる。


「あう……ラファエル様優しい……です」


「一夜を共にしたのです。呼び捨てて構いません。レイチェル」


「はい。ラファエル……あなたが実兄であったならどれだけ王国で幸せだったんでしょうか?」


「そんな事ないでしょう。兄弟で苦労するのもあります。付き合えませんからね……」


「………ウリエル様と?」


「そうです。あれが姉であれば良かったのですが」


「大好きですね……」


「尊敬してますから……」


「…………もし。私がこのまま王国に帰るとどうなるの?」


「わかりません。殺されるのかもしれないですし、まぁいい事はないでしょう。立場が利用しやすい。しかしそれも春までなのでよく考えられて行動してください」


「……その……居心地が……いいです……何も縛られず。何も考えず……」


「そうですか。まぁあまり身分とかないですからねここは」


「……なら……その。独楽の大会とか出てもいいのでしょうか?」


「残念ながら。すでに募集は終わっております」


「……そうですか」


 レイチェル姫は目を閉じ少し残念がる。それにラファエルはふと……提案をする。


「変わりに出ますか?」


「えっ?」


「……実は中々の手練れだと思っております。変わりにどうですか?」


「出れるのですか?」


「傭兵として。実は……この優勝賞金が莫大なんです。それも……騎士団の予算に入れたいほどに。参加費が高いこと、そのあまりの巨額に色んな事が起きたのです。騎士団員参加者がそれを手にし騎士団の特別予算を入れるだけで動きがよくなるのです」


「えっと……話がわからないです」


「簡単にいいます。1位のみ賞金が出ます。しかし、金持ちは賞金より順位を気にする。しかし、騎士団はお金を気にする。結果……騎士団が賞金半々の代理傭兵を使い勝ちに行くことも多々ありました。1位になれば予算の優遇もあるそうですね……裏で」


「……遊びですよね?」


「遊びですよ。だけど戦争です。私も優勝すれば全部騎士団の予算行きです。なお薔薇騎士団が傭兵なしの3連覇中です。ウリエル、ボロス等。個人で参加h費を払い出ても……強くて。魔法騎士団は……負け続けてます。どうですか? 出るだけなら……どうにかしましょう。権力で」


「……権力で……そんな……迷惑ばかりかけて……」


「王国の姫に恩を売るのは後々に生きると思いますがね……まぁそれよりも出るだけなら大丈夫です。出たいでしょう?」


「………出たい」


 ラファエルはその言葉に対し、頭を撫でて答えるのだった。


 しかし……これが……ラファエルの首を締める結果に結び付くとはラファエルも思っていなかったのだった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

気だるげの公爵令息が変わった理由。

三月べに
恋愛
 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。  王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。  そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。 「生きる楽しみを教えてくれ」  ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。 「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」  つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。  そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。  学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。 「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」  知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。 「無視してんじゃないわよ!」 「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」 「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」  そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。 「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」  ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。 (なろうにも、掲載)

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

処理中です...