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お兄さん逃げずに愚弟をしばきに行く
しおりを挟むラファエルは一人で悩む。父上に相談したが……父上は母上に相談しろと逃げたので結局。悩んだ。
(兄さんを俺は……好きなのか?)
それは兄弟を越えた物なのかと疑問を投げる。兄の異常な母への囚愛のように自信にもあるのではと考えた。
ずっと兄を越えようとしたのは愛なのかと。
(………他人から見れば異常な執着です)
理解している。異常な執着や他の令嬢のように一歩引いて平等であり。兄のように八方美人であることを。
兄の交遊は母上一番、他兄弟2番とし……ボロス姉さんに戦友たち国民である。令嬢は……最後だ。
(自分もそれに近かったわけですね。兄が一番だった……)
兄を尊敬し、兄を慕い……そして。女装した兄に打ち明け。それを聞いても真っ直ぐにぶつかって来いと言っているのを思い出しながら胸が熱くなる。
優しい……とにかく。甘くて優しいと感じる。
「…………これが姉さんなら一目惚れしても間違いはないな」
だからこそ……ラファエルは呪いと薬で余計に悩む。
ウリエルを……兄を女にした場合。きっと憤るだろうとラファエルは思った。しかし……
あの、大柄で逞しいウルルン令嬢のような兄も見てみたいとも思い。苦しめる。
「はぁ……答えがでない」
「………答えがでない? ラファエルくん」
「!?」
ラファエルは驚いた顔でその人物を見る。あまいろの髪のミェースチの半身と言われる偉丈夫の女性ボロスがトゲのついた鎧を着たまま現れる。
その闘志にラファエルは座わるのをやめ、立ち上がった。
「そういえば……ウリエル大好きでしたね。ボロス姉さん」
「ええ、そうです。ガブリエルに教えてもらいましたよ異常な執着を見せていると……騎士団長様に貴方がここに居る事を教えてもらいました。決闘しませんか?」
「?」
「ウルルン令嬢を賭けて。姫を奪い合うのですよ」
唐突な申し出にラファエルは……
「ウリエルのいないところで賭けても……」
「ウルルン令嬢を騎士として賭けるのです。姫を賭けるは騎士の特権でしょう?」
「姫の心を奪うのは……という戦いですか?」
「そうよ……奪う機会を潰す。ついてきなさい」
「………ふふふ。はははは……」
「ん?」
「……そういう事ですね。わかりました。行きましょう」
ラファエルはボロスについて行く。決闘場に向けて。目の前の姉にあたる人を越えるか越えないか……悩む必要はない事に気が付くのだ。
勝てばそれでいいと、帝国式の昔からの決め方に決めたのだった。運命に身を任せると。
*
「はぁ……」
ウリエルは屋敷でため息を吐く。朝から駆け巡り疲れたぐったりとする。一応、貞操の守りのために騎士の鎧を着てしまっているあたり誰の目でも今の状況に恐怖を抱いていた。
「ミカエル……君の気持ちが少しわかったよ。ガブリエルの行きすぎた好意は恐怖でしかないね」
「すっごい悲しい……わかられ方。ウリエル兄ちゃん……そう。あと5割落ち着けばと思ってる。まぁラファエル兄ちゃんがウリエル兄ちゃんに誰よりも熱視線向けてたのは知ってたからね……同情する」
「……そうだったんですね。慕われていると思っていました」
「慕われているレベルなのかなぁ~なのかなぁ……」
ウリエルとミカエルは話をしながらラファエルについて考える。ミカエルはその悩んで頼られる事に少し喜びを感じてウリエルの隣に座っていた。
ウリエルはいつもラファエルや絶対に誰かと構われるのと、ミカエルはいつもガブリエルと一緒のため。珍しい組み合わせである。
「父上はミカエル?」
「お父さんは成り行きを楽しみにして、休日出勤お仕事中。先に都市防御の命令だけ決めるそうだよ」
「上が忙しい……これは会戦間近ですね」
「そうだよね……だから。勢いがつくんだ」
心残りがないように動くのだと二人は理解し……大いにラファエルについて悩む。
「ラファエルにどういった姿で会えばいいかわからない」
「女装はやめよう」
「もちろん。封印する……ミカエル。教えて欲しい。僕はどうすればいい?」
「ウリエル兄ちゃんはウリエル兄ちゃんのままでいいとおもう。そう……そのままで……これは俺の意見だけどね……いいや。僕の意見だ」
「ミカエル。僕を真似なくていいよ……でもそうだね。悩んでいるのは間違いかもしれない……嫌な物は嫌だと言おう。女になんかなりたくない。これが僕の意見だ」
ウリエルは立ち上がり、ミカエルの頭を撫でた。ミカエルはぶっちょう面でウリエルの手を払い除ける。
「いつだって子供扱いよくない」
「子供扱いじゃない……皆、僕の大切な弟。家族を護るために騎士になったんだ。だから……何年たっても弟扱いだ。変わることはない」
ミカエルはその言葉にガブリエルも含まれている事がわかり非常に爽やかな笑顔にドキッとする。そして……ミカエルは指を差した。
「ウリエルお兄ちゃん……そういうところ。そういう格好いい所が……人を惑わせる」
「…………すまない。格好いいのかい?」
「くっ……天然め」
ミカエルは顔を剃らしウリエルのその帝国よりも王国側の王子様みたいな眩しさに自分との差を感じた。
「本当に……他人から見てもらうしかわからないなミカエル」
「ウリエルお兄……後悔がないように」
「ありがとう。行って目を醒まさせて来る」
ウリエルは模擬剣を掴み。強鋼の鎧の背中をミカエルに見せる。
「……ウリエル兄さん。俺もついていっても?」
「ああ、手を握るかい?」
「それは。子供あつかい」
「………そうだね。大人げないな」しゅん
「ああ!! もう!! 兄さん!!」
ギュ
甲手を外したウリエルの手に。大人になったミカエルは掴んだ。恥ずかしさがあったがそれが全て驚きによってかきけされる。ミカエルはその手に触れた瞬間、ウリエルを見る。
「なんですか? ミカエル?」
「な、なんでもない。寂しさは紛れた?」
「ええ、紛れました。ありがとうござます」
ミカエルは手にウリエルは分厚く固く、そして重さを感じる。これが兄の手だと、多くを背負える手だと理解し……子供なのは自分なのではと思うのだった。
*
ガブリエルは決闘で行われる戦いを記憶していた。母上と父上に報告の義務を課せられ……ミカエルから離れて様子を見ている。
そのただ今、行われている決闘はラファエルは魔法は使うし、ボロスは模擬剣ではなく。おおきいハンマーの鈍器を振り回すやらで……死闘の様相を呈していた。一騎当千のラファエルとボロスによって決闘場はボロボロになる。
とにかく………
ウリエル姫を手に入れるために本気で戦っているのがわかる。
そして、驚くべき事に魔法を使ったラファエルが容赦なくボロスを叩きのめし。勝利を納めた。
勝った瞬間にあの好色王子は叫び。ボロスは悔し涙を流す。
そも決着にガブリエルはラファエルの魔導士の強さを再認識し、自分ならどう戦うかを考え……見ていた時だった。
ザッ……
その中で……決闘場に一人の影が近付き。ラファエルは笑みを溢し。ガブリエルは驚きに口を押さえる。
その人物は鋼の鎧を着込み。模擬剣を持ち現れた。
威風堂々とし、王子様が今度は自分だと言わんばかりに。剣を構えたのだった。
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