【完結】復讐に燃える帝国の悪役令嬢とそれに育てられた3人の王子と姫におまけ姫たちの恋愛物語<キャラ文芸筆休め自分用>

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
上 下
16 / 54

王国民よ、私は帰って来た

しおりを挟む

 王国から長い道のりを馬車ではなく騎馬で移動するガブリエル、ミカエルに二人の母親ミェースチの3人。もちろん全員装備をしっかり整えた状態で舗装されていない道を進む。驚くのが本当に3人だけであり、ローブを着て顔を隠すだけであった。

 舗装されない理由はもちろん行軍するのを妨害するためである。都市と都市を繋ぐのは自国と多く増えた属国だけである。

 だからこそ……途中からは地図を頼りに畦道を通ったりと中々。冒険者や商人、道をよく知ったものでないといけない。

 しかし……ミェースチは全ての道を知り尽くしている。まるで……行軍するべき道を探しきったように。

「お母様……本当に地図なしで向かわれるのですね」

「頭に入れるのが一番よ。持っていたら捕まったとき何がどうするかバレてしまう。例えば……何処かの地図一枚で主戦場がわかるわ。偵察の基本よ? 学んだでしょう? 何を持たずに行くことがすべてよ」

「だから……お母様。帝国から王国までの道がどれだけあると思いですか? 全てお覚えきれませんよ?」

「大丈夫。1、2本なら覚えがある」

「母さん……ヤバイね」

「だって……その1本は私が帝国に売られる時の奴隷商人が使う道よ? 絶対に私が軍を持つならそこを通ると決めてるの」

((ひえ……))

 徹底した。徹底した復讐が見てとれ……ミカエルとガブリエルは背筋が冷える。

「そうそう、私は自由にするから……あなたたちもついたら自由ね」

「………はい」

「はい」

 二人は緊張し続ける中でミェースチは鼻歌をまじえて馬の手綱をもちつづけるのだった。







 到着したのは1ヶ月半後だった。早馬で途中、農村で馬を買い換えてもそれだけかかるほどの距離に首都がある。王国の首都、山のような鉄の城壁にガブリエルとミカエルはこれが有名な完全無欠とうたわれる鉄壁かと喋る。ミカエルは何度見ても凄いと心の中で思い。ガブリエルも実は見ている事をミェースチには黙っていた。

 半年家を留守にしていた二人はここに来たことがある。

「あのね……バレてるから隠さなくていいわよ。二人とも」

「……ガブ姉さん、だって」 

「……ミカエル。そうらしいわ」

「嘘つけばすぐにわかるわよ。だって……あなたたちの母ですからね。ガブリエル。癖があるわよ……手を頬に当てる」

「えっ……ミカエルはしってる?」

「知らなかった……そうなんだ」

「……ふふ。そうでしょね。嘘だから」

「え、ええ………」

「母さん……」

「機嫌がいいわ。本当に今日は……懐かしい臭いよ」

 ガブリエルは楽しそうな母に不安しか起きず。ミカエルは青い空を見ながら。ああ、綺麗だなと思う。

 そんな3人がそのまま城門前で衛兵に止めらた。しかし……

「はい、冒険者プレート」

「……わかりました。どうぞ入りください」

 偽名の冒険者である証明書合金板を見せ、難なく潜入する。あっさり過ぎて3人の王国評価がガクッと下がった。

「帝国では……見るだけではなく魔法で偽装かどうかも調べるし。時間かかるのに」

「ゆるい」

「ゆるくていいわ。入りやすいもんね」

 3人はパッと戦争前に潜入工作が出来るなと思い付いたが口には出さなかった。

(職業病ね……)

(この前と一緒で潜入しやすいのは変わらずか……)

(ふふふふふふふ……ふふふふふふふ!! 笑いたい)

 三者とも何も言わずにそのまま……宿を探すのだった。





 宿はミェースチは二つ。個室を取る。ひとつはミェースチ。ガブリエルとミカエルは同室にさせた。母親と寝る事はウリエルの嫉妬買うため……文句を言わずにそのまま受け入れ。旅の疲れを先に取ることを決める。

「ついたね、ミカエル」

「うん、ついたね。ガブ姉」

「……耳あり?」

「……無し……小さくね」

 耳ありとはミェースチが聞いているかどうかの二人の確認だ。話し声を聞かれているかどうかである。小さく話すために……ある事をする。

 ベットは2段。その一段目にガブリエルとミカエルは入る。顔を付き合わせて小声で話し合う。

 狙いは二つ。耳元で囁くように話が出来る事。仲のいい事を隠れ蓑でまーたやってると思われること。そして……そのまま眠れば空気をよんで近寄らない事があげられた。

「……でっ……お忍びで母さんは何をするだろうね? ガブ姉」

 ミカエルは綺麗な姉さんが目の前でもいつも通り、もちろんガブリエルも真面目に見つめる。

「ミカエル……わからない。動くのを待とう。夕食を誘うかも知れないね……でも……部屋を分けた理由は……」

「こっそり抜ける気だよね」

「……こっそり抜けるかもしれないね。ん……」

 ガブリエルがミカエルを抱き締める。ミカエルはふくよかな胸に押し付けられたまま目を閉じた。

ギィイイイイ。

「あら……旅で疲れたのね……はぁ……抱き合って寝てる……全く。仲が良すぎるのも問題ね。ベットひとついらないじゃない」

ツカツカツカ

 二人は寝息をたてるふりをする。ガブリエルは幸せそうにミカエルを抱き締めたまま。

「……」

スッ………

 ガブリエルとミカエルの頭に優しい手が乗り、微かに声を発した。

「おやすみ……本当にかわいい……」

ツカツカツカツカ

 撫でたあとに部屋に帰っていくのがわかった。それにガブリエルとミカエルは目を開けた。

「………動きはないかな? ガブ姉」

「夕食まで待とうか?」

「……夕食みんなで行くかな?」

「わからない。ミカエル。寝てなさい……夜中は任せる」

「ガブ姉さんも寝よう……」

「………そうしましょう」

 二人はナイフを装備し、扉にトラップを用意。鍵をかけ。窓の外、硝子と木枠の強度を確認後。今度は……ベットを使わずに床で寝ることにした。

 床から振動を聞きながら……二人は靴を履き。夜を待つのだった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

気だるげの公爵令息が変わった理由。

三月べに
恋愛
 乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。  王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。  そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。 「生きる楽しみを教えてくれ」  ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。 「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」  つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。  そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。  学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。 「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」  知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。 「無視してんじゃないわよ!」 「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」 「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」  そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。 「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」  ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。 (なろうにも、掲載)

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花
恋愛
アリス・デッセ侯爵令嬢と婚約者であるハース・マーヴィン侯爵令息の出会いは最悪だった。 そして、学園の食堂で、アリスは、「ハース様を解放して欲しい」というメルル・アーディン侯爵令嬢の言葉に、頷こうとした。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)

青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。 だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。 けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。 「なぜですか?」 「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」 イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの? これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない) 因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

処理中です...