桜髪の乙女は元兄上様、魔女で絶対な悪役令嬢へと堕落す。弟を奪うために

書くこと大好きな水銀党員

文字の大きさ
上 下
22 / 71
悪役令嬢になる前の兄上

イジメを気にしない兄上

しおりを挟む

 私の婚約者の噂はすぐに広まる。それは止めどなく川の流れのように流れ続け。いつしか濁流となって学校を支配する。

 一番話題の一番今面白い話なのだ。だが……非常に難しい状況でもある。

 そう、私は確実に3人に好意を寄せられたのだ。それがどう意味するかは……クラスに入ってわかる。

「おはようございます」

「「「「……」」」」

 そう、私が挨拶をしても帰ってくる声は……

「おはよう!! エルヴィス!! 今日は逃がさないわよ!!」

 バーティス嬢だけである。私はキョトンとして鞄を置き席に座るとちくっと痛みがして針が刺さる。

「痛い!?」

「あっエルヴィス。針あるよ」

「バーティス!? もっと早く言ってよ!!」

「いやぁ~魔法使いでしょ? 回復できるでしょ? 絶対にヒナトさんが怪我したら治してた筈」

「くっ……そうです。治してました。あたた……」

 私は針を取り、持ってきたゴミ袋に入れる。回復をしてから目の前でニコニコするバーティスに怪訝な顔をする。

「苛めですね。バーティスもですか?」

「苛めを静観する事を頼まれたの。静観はする」

「バーティス……あなたも一緒に苛められるぞ。離れた方がいい」

「嫌、私の親友と一緒に苛められる事を選ぶわ。これも実体験になるし、それに……」

 バーティスは私の顔を覗きこみ、屈託ない笑みを向ける。

「エルヴィス一人占め。あなたは結構、八方美人で柔らかい物腰。意志疎通を簡単に出来るから。私みたいに我が強いのと比べてすぐに他人と仲良くなって……一人にさせられるから。願ったり叶ったり」

「バーティス……ありがとう。はは……なんだろう。イジメぐらい全然大丈夫と思ってたけど。バーティスがいると本当に心強い」

「エルヴィスが私を護る言ってたのにぃねぇ~」

「バーティスのがイジメられると思った」

「はぁ!? この!! この口が悪いのか?」

「あたた」

 頬をつねられて私は痛みを我慢する。やさしめのつねりであり。冗談、罵りあえる仲なんだなと嬉しく思った。

「痛い!! なんでまだつねるの!!」

「頬、やわらかい。頬……すべすべ……憎たらしい!!」

「あだだだ!? それだめぇ!!」

 バーティスの手を叩き落とす。危うく千切られるかと感じたのだ。

「あら、ごめんなさい……にしても本当に肌綺麗ね。何してるの?」

「何もしてない。と言えば嘘になるんですけど……」

 バーティスが興味津々なので私は鞄から、小さな瓶を取り出す。それを机に置き……説明をした。

「寝る前にこれをつけると!! みずみずしいお肌が!! 油と水を混ぜ、魔法を使い拡散。分離せずしっかりと保湿も出来る商品です。試供品で、まだ作りの段階ですがどうぞ」

「へぇ~これ、あなたが作ったの?」

「もちろん、肌の手入れをしないといけないのを知っているし。これは儲かるとわかったらつい実験を……自分で」

「貰うわ。本当に男だったのかしらね」

「男だから、ちょっと強いですよ」

「ふーん。そうね、イジメられてギャーピーギャーピー言わないもんね。立派立派」

「へへへ……なんか褒められると照れ臭いですね」

「エルヴィス。かわいい~」

「それは本当に恥ずかしいからやめて」

「ふふふ」「ははは」

 二人で談笑し、明るく楽しくする。すると、周りのクラスの子も陰口をチクチクと大きい声で言うが気にせず。反応も見せない。

「そうそう、そういえば……あなたのこの前着てきた服。あれってまだ非売品? なんか結構話題で冒険者の方々から欲しい声もあるし、私も着てみたい」

「着てみたいですか? あれ、まだ量産も何も考えてないんです。ですが!! そんな声もあると噂で聞いたので持ってきました」

「何を?」

 私は鞄から、一冊の本を取り出す。それを広げてバーティスに見せた。

「カタログ作って来ました!!」

「鞄の中の教科書は?」

「家に置いてきました」

「エルヴィス!?」

「商人では教科書よりも必要なのは商品リストのカタログです。さぁ、バーティス嬢!! これの事ですね」

 私は広げたカタログに書き込まれた衣装の絵を見せる。隣に四角いカラーバリエーションの絵も用意して。

「量産ではなくオーダーメイドです。ですが、色も決められるのです」

「……白だけど?」

「バーティスさん……ここにカラーパレットがあります。この小さな魔法杖でここに触れて。衣装に当てると……」

 私は筆の魔法杖を使い、カラーパレットから色を覚えさして筆で衣装に色を塗る。すると衣装に色がのり。淡い黒色で染め、刺繍は金色で装飾する。

 そう、目の前で絵を描くように色を足していく。

「ふぁあああ!? すごい!? 黒だとかっこいいのね」

「そうです!! 黒だとかっこいいです。黒大好きです。バーティスさんの髪はちょっと黒よりの赤なので……白色などの光色。明るめの色にするとすごくいいと思います。白一色ではなく……このように淡い灰色など加えてもいいですね。刺繍は黒にしてもいいかな?」

 目の前で、バーティスに似合いそうな色を足し、描き。一つの衣装を作る。刺繍の柄はバーティスの家紋とする剣を用いる。

「はぇ~エルヴィス。本当に多芸ね」

「それはもちろん。売上のために……オーダーメイドで高くなります。こちらが値段です」

「わぁ!? やっぱ高い!?」

「ですね。ですがこれは定価。取引のないお客様用です。バーティスなら……」

 私は金額にかけ算に少数点の数字を入れる。

「取引がある感じで値段を落とせます。友達ですしね」

「あっ……安い」

「元値がちょっと高めなんです。オーダーメイドは……ここまで落とせると思う。絵もあるし、納期は10日ほどで」

「待ちなさい……今の手持ちとを考えるわ」

 バーティスが鞄から硬貨を数えていく。そして……悩みながら。うーんと唸る。きっとお小遣いが少ないのだろうと察し。ある提案をした。

「今回、私から母上に言い。広報資金で落ちないかを相談します。もし、落ちる場合。試着品としてご提供させていただきます。変わりに必ず。ヴェイス家で買ったとお伝えください」

「えっ!? 本当に!?」

「はい。一応、契約書に明記します。サインください」

 私は魔法筆を取り出し、バーティスに手渡した。バーティスはすらすらと名前を書き込み。それを受けとる。

「契約ありがとう、バーティス。これから服の綿密に決めましょ」

「ええ!! 赤一色にしよ!!」

「赤を基調としてですね。はい」

 私はバーティスと衣装の色を決めていくのだった。




 用意された優等生隔離部屋に俺達は顔を合わせる。兄上から教わったお湯の入れ方。紅茶の作り方をそのまま実践し、二人にもてなす。

 兄上は魔力も勝手に込められるし、妖精が勝手に祝福するからほんの少し違うが……あまり分かりにくい変化なので俺は気にしない。
 
「今日はエルヴィス来ないのか? ヒナト」

「……ヒナト。エルヴィス嬢は?」

「……いや。わからないです。私が入れた紅茶に不服ですか?」

「いや……別に……」

 二人はそわそわしているのを眺めながら俺は俺で伝える。

「兄上はバーティス嬢から衣装の購入の依頼があり、忙しいらしいです」

「あのアマ……」

「……商魂逞しいですね本当に」

「二人とも。商家の出なんですから認めてあげてください。婚約者のそんな所も嫌と思うぐらいなら取り下げを推奨します」

「ヒナト……別に嫌いじゃないがなぁ……こう。関われないとなぁ」

「……そうですね。魔法の話もしたいです。あそこまでしっかりと勉強している令嬢は早々いません。便利な物しか思ってないのが多いです」

「ヒナト。エルヴィス連れてくるわ」

「……はぁ。ダメです。ハルト……バーティス嬢に兄上の過去を話をするといってました。秘密にしたくないと」

 二人はそれを聞き、立ち上がろうとして俺は扉に仁王立つ。

「……ばれないように盗み聞ける魔法を試したい」

「ヒナト、お前との異常な関係知るいい機会だ。エルヴィスは話したがらない。お前を想ってな」

「知ってます。知ってますよ……安心してください。お話……してもいいですよ?」

「ヒナト。お前?」

「……ヒナト?」

「兄上を奪おうとする親友に私からのお話です。これを聞いて……越えれるか見ます」

 俺は二人に着席を促し、二人は渋々といった表情で座る。そして俺は……席につき。過去の事を話をする。その前に……

「隠し事でしたが。私の背中の傷や体の傷は訓練でついた物は少ないです。それに……」

 一緒に水浴びする二人は俺の傷を見ている。だからこそ答える。

「兄上とは半分しか血は繋がっていません」

「「!?」」

 二人は驚いた顔をしたあと。俺は過去を話始めた……兄上と会う前の頃からを……







 私は覚えた魔法陣を使い。防音室を作りバーティス嬢をそこへ招き入れる。秘密にしていた事を話すために。

「エルヴィス、教えてくれると言うけど。本当に念入りね」

「……ヒナトの不利益になる。もしも……バラすなら。許さないから。俺はな」

「不利益になるほどそんな凄い話なの?」

「ヒナトは腹違いの子」

「……あら、よくある話じゃない? 愛人の子? 使用人? この業界よくあるわ」

「なんでしょうね。何の子なのか……お話します。色々あったんです……ヒナトは」

「まぁ、腹違いなら色々あるわね。静かに聞いてるわ」

「……はい」

 私は座るバーティスに向き直り。小さな声で語りだす。昔話を……ヒナトと私の過去を。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淡泊早漏王子と嫁き遅れ姫

梅乃なごみ
恋愛
小国の姫・リリィは婚約者の王子が超淡泊で早漏であることに悩んでいた。 それは好きでもない自分を義務感から抱いているからだと気付いたリリィは『超強力な精力剤』を王子に飲ませることに。 飲ませることには成功したものの、思っていたより効果がでてしまって……!? ※この作品は『すなもり共通プロット企画』参加作品であり、提供されたプロットで創作した作品です。 ★他サイトからの転載てす★

処理中です...