10 / 65
桜の下の天使
共に歩く未来へ
しおりを挟む
先生の家で、1ヶ月過ごした。
「やっと、片付け終わった」
「よかったな」
「で、どこにするんだっけ?」
「ここだよ」
俺と倫は、この街から離れて緑が豊かな街に行く事にした。
「スーツケース二つに、よく納めたね。倫」
「我ながら頑張ったよ。」
「じゃあ、明日には出発だね」
「うん」
もう、家の中のものは全て処分していた。
なにもない床に、二人で寝転がった。
「ジョーは、あのロッカーに預けてた荷物だけだよね」
「スーツケースだけ」
「蕪木さんにとってきてもらったの?」
「ああ、入院して一週間目にね。仕事場が借りてるところだったから、すぐに出ていけって言われて。ってか、蕪木のせいで毎回そんなんだったから…。荷物は、少ないんだ。ずっと…。」
倫は、俺を抱き締めてくれた。
「これからは、荷物を少し増やして重たくしない?」
「何だよ。それ」
「何となくだよ」
次の日、倫と住む街に倫の車で向かった。
「ここにしようか」
緑がたくさんある場所の一軒家に俺と倫は、住むことを決めた。
俺と倫は、この街で暮らし始めた。
月日は流れ、ここに来て半年が経った。
「はい、これ。お弁当買ってきたから」
倫は、何故かお弁当屋さんで働きだした。
「俺は、これ買ってきたよ」
俺は、スーパーで働きだした。
「いただきます」
「ジョー、スマホ。買いに行かないの?」
「ああ、忘れてた。」
俺は、スマホをあれから持っていなかった。
「だと思った。はい」
「契約してきてくれたのか?」
「うん、早くあがれたから」
俺は、倫の優しい所が好きだった。
「ありがとな」
「ううん」
体の関係は、いまだにない。
抱き締めたりは、するけど…
キスもない。
「ジョー」
「うん?」
「これ、買ってみたんだ。ネットで」
そう言って、倫はボーイズラブの漫画を差し出してきた。
「これ、なに?」
「男同士が、何するかっての」
俺は、中身を見つめる。
「R-18で買ったのか?」
「だって、46歳だし」
「これ通りにするのか?」
「まだ、したいだろ?ジョーだって」
「悪いけど、俺は、8年はないな。倫は?」
「同じ」
「だったら、いらねーだろ。なくても、生きれる。だろ?」
「でも、好きになったら触れたいだろ?」
「何だよ、それ。じゃあ、これも、これも、これも、したいのか?」
「見せないでよ。ご飯中だし」
「倫が、買ったんだろ?」
「そうなんだけどさ」
俺は、倫の隣に座った。
倫を抱き締める。
「こうしてるだけで、スゲー幸せなんだよ。多幸感ってやつ。わかるだろ?」
「うん」
「倫を抱き締めるだけで、全部が満たされる。不思議と快感もあってさ。別に膨らんだりとかじゃないんだよ。ここに、快感が走るんだよ。」
「心の中にって事」
「あぁ、変だよな」
「私もわかるよ。何かジョーに抱き締められてるだけで、満たされる。一つに重なる以上の快感と安心感がある。不思議な感覚」
「倫とは、心がちゃんと繋がってるんだな」
俺は、もっと倫を強く抱き締める。
「ジョー、ごめん。あの漫画」
「やりたいなら、やるよ。」
「ううん、いらないよ。必要ない」
「キスぐらいは、しようか?」
「うん」
俺は、倫の頬にキスをした。
「恥ずかしいね」
「そうだな」
「ゆっくり先に、進んで行きたい」
「うん」
「もし、いつかしたくなったら受け入れてくれる?」
「当たり前だよ」
俺は、また倫を抱き締める。
二人だけの歩幅で、歩いていこう。
付き合うのに、正解も間違いもない。
俺達らしく、進めばいいだけだ。
「愛してる、倫」
「愛してる、ジョー」
俺は、また倫をきつく抱き締めた。
幸福感に包まれながら、おでこを寄せ合って笑い合った。
お揃いの物が、増えてきた日々を愛しく想いながら、俺達は、一日一日を過ごしていくんだ。
あの、桜の下で倫に出会わなかったら今の俺は、存在していなかった。
この先の未来は、全部、全部
倫【ジョー】のものだよ
重なる想いは、二つ
未来へ繋がっていく
「やっと、片付け終わった」
「よかったな」
「で、どこにするんだっけ?」
「ここだよ」
俺と倫は、この街から離れて緑が豊かな街に行く事にした。
「スーツケース二つに、よく納めたね。倫」
「我ながら頑張ったよ。」
「じゃあ、明日には出発だね」
「うん」
もう、家の中のものは全て処分していた。
なにもない床に、二人で寝転がった。
「ジョーは、あのロッカーに預けてた荷物だけだよね」
「スーツケースだけ」
「蕪木さんにとってきてもらったの?」
「ああ、入院して一週間目にね。仕事場が借りてるところだったから、すぐに出ていけって言われて。ってか、蕪木のせいで毎回そんなんだったから…。荷物は、少ないんだ。ずっと…。」
倫は、俺を抱き締めてくれた。
「これからは、荷物を少し増やして重たくしない?」
「何だよ。それ」
「何となくだよ」
次の日、倫と住む街に倫の車で向かった。
「ここにしようか」
緑がたくさんある場所の一軒家に俺と倫は、住むことを決めた。
俺と倫は、この街で暮らし始めた。
月日は流れ、ここに来て半年が経った。
「はい、これ。お弁当買ってきたから」
倫は、何故かお弁当屋さんで働きだした。
「俺は、これ買ってきたよ」
俺は、スーパーで働きだした。
「いただきます」
「ジョー、スマホ。買いに行かないの?」
「ああ、忘れてた。」
俺は、スマホをあれから持っていなかった。
「だと思った。はい」
「契約してきてくれたのか?」
「うん、早くあがれたから」
俺は、倫の優しい所が好きだった。
「ありがとな」
「ううん」
体の関係は、いまだにない。
抱き締めたりは、するけど…
キスもない。
「ジョー」
「うん?」
「これ、買ってみたんだ。ネットで」
そう言って、倫はボーイズラブの漫画を差し出してきた。
「これ、なに?」
「男同士が、何するかっての」
俺は、中身を見つめる。
「R-18で買ったのか?」
「だって、46歳だし」
「これ通りにするのか?」
「まだ、したいだろ?ジョーだって」
「悪いけど、俺は、8年はないな。倫は?」
「同じ」
「だったら、いらねーだろ。なくても、生きれる。だろ?」
「でも、好きになったら触れたいだろ?」
「何だよ、それ。じゃあ、これも、これも、これも、したいのか?」
「見せないでよ。ご飯中だし」
「倫が、買ったんだろ?」
「そうなんだけどさ」
俺は、倫の隣に座った。
倫を抱き締める。
「こうしてるだけで、スゲー幸せなんだよ。多幸感ってやつ。わかるだろ?」
「うん」
「倫を抱き締めるだけで、全部が満たされる。不思議と快感もあってさ。別に膨らんだりとかじゃないんだよ。ここに、快感が走るんだよ。」
「心の中にって事」
「あぁ、変だよな」
「私もわかるよ。何かジョーに抱き締められてるだけで、満たされる。一つに重なる以上の快感と安心感がある。不思議な感覚」
「倫とは、心がちゃんと繋がってるんだな」
俺は、もっと倫を強く抱き締める。
「ジョー、ごめん。あの漫画」
「やりたいなら、やるよ。」
「ううん、いらないよ。必要ない」
「キスぐらいは、しようか?」
「うん」
俺は、倫の頬にキスをした。
「恥ずかしいね」
「そうだな」
「ゆっくり先に、進んで行きたい」
「うん」
「もし、いつかしたくなったら受け入れてくれる?」
「当たり前だよ」
俺は、また倫を抱き締める。
二人だけの歩幅で、歩いていこう。
付き合うのに、正解も間違いもない。
俺達らしく、進めばいいだけだ。
「愛してる、倫」
「愛してる、ジョー」
俺は、また倫をきつく抱き締めた。
幸福感に包まれながら、おでこを寄せ合って笑い合った。
お揃いの物が、増えてきた日々を愛しく想いながら、俺達は、一日一日を過ごしていくんだ。
あの、桜の下で倫に出会わなかったら今の俺は、存在していなかった。
この先の未来は、全部、全部
倫【ジョー】のものだよ
重なる想いは、二つ
未来へ繋がっていく
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる