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嘘つきな人

過ぎ行く日々

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歩君の次のターゲットは優等生の野村さんだった。

「買ったら、ジュースとピーリーセットな」

「くそ、たけーじゃん、まぁ、了解」

ピーリーとは、みんなが大好きなフライドチキンでお馴染みのお店だった。

また、やっていた。

結局、野村さんを落とすのにはかなりの時間がかかっていた。

その間も、私と歩君の秘密の日々は、続いていた。

「なぁ。早乙女、俺無理かな?」

お皿を洗ってる私の背中に、おでこをくっつけてきた。

「知らないよ。落とせない人もいるんでしょ?」

「それは、絶対ありえねー」

「だったら、頑張ればいいじゃん」

私は、お皿を洗い終わった。

「なに?」

「キスしよう」

「無理」

私は、歩君から離れた。

冷凍庫から、アイスを取り出した。

「はい、チョコバー」

「どうも」

「幸せホルモン不足なんじゃないの?」

「なんで?」

「なんか、そんな変な脳ミソしてるから」

私は、笑ってチョコバーを食べる。

「早乙女を好きになったら、キスしてくれんの?」

「好きになったらね」

「じゃあ、これもしてくれんの?」

「アイス食べる時に、しょっちゅうそれするのやめてよ」

「なあ、早乙女」

「好きになるなら、なんだってしてあげるよ」

私は、そう言って歩君に笑った。

結局、中三になってやっと野村さんは恋におちた。

満開の桜の木の下

「私、歩君が好きなの」

「イェーイ、俺の勝ち。」

野村さんをおとしながら別の人もおとしていた。

「なに、それ?」

「悪いな、賭けだったんだよ」

「最低」

バシン

桜の木の下で、歩君は殴られていた。

可哀想、野村さん。

「歩、ひでーよな」

「女なんて、振り回してなんぼだろ?」

刺されて、死ねばいいのに…。

結局、歩君のお遊びは卒業まで続いた。

高校に入っても、同じだと思っていた。

「早乙女、俺。寮つきの高校になった。」

「なんで?」

「お母さんに、捨てられた」

「えっ?どこの高校?」

「ごめん。約束守ってくれよ」

「そっちも、守っててよ」

「ああ。高校二年の夏に会いに来る。そん時に、俺が早乙女を好きだったら、約束な」

「うん、約束」

高校で歩君は、隣からいなくなった。

つまらない高校生活だった。

二年生の夏に、本当に歩君がやってきた。

「早乙女、元気だった」

「両親いないよ、今日」

「なんで?」

「お姉ちゃんとこに行ってる、久々の休みだから」

「早乙女は?」

「私は、バイトしてるから行かなかったよ。ってか、携帯持ってるなら手紙に書いてよ」

「あっ、ごめん。早乙女、俺。早乙女を好きだと思う。まだ、わからない。ごめん。それでも、早乙女を失いたくない。」

「嬉しい」

それだけで、嬉しい。

今までと違って、嬉しい。

その日、歩君は私の家に泊まった。

「キスしていいかな?」

「うん」

「ちゃんと初めてだった?」

「当たり前だよ」

ぎこちないキスをされた。

「初めてだった?歩君も」

「初めてに決まってるだろ。早乙女にとってた」

「加奈枝だから」

「加奈枝に、とってた。」

「嬉しい、嬉しい、嬉しい」

私は、歩君に抱きついた。

「次の、夏休みに…その…」

「キス以上する?」

「嫌か?」

「ううん、嬉しいよ。とっとくから」

「うん、約束」

その日、私は歩君に抱き締められながら眠った。

次の日の朝一番に帰っていった。

また、つまらない日々の繰り返しだった。

キスをしった私は、キスがしたくてしたくて、堪らなかった。

それでも、我慢して、我慢して

勉強にうちこんだ。

部活は、しなかった。

高校に入って、女友達が二人だけ出来たけど…。

その二人も、三年生には彼氏が出来ていた。

三年生の夏休み、歩君はやってきた。

「加奈枝、ちゃんと約束守った?」

「うん」

「大学行くんだろ?」

「音楽の先生になるつもりだよ」

「それ、スゲー素敵な夢だな」

「ありがとう、歩君は?」

「俺は、就職。大学行ったら住もうか?加奈枝」

「うん」

私は、この日初めてを無事に卒業した。

「ごめん。なんか、下手くそで」

「別に、私もだから」

「いや、いいよ。慣れてないのがお互い」

「そうだね」

この日も、両親はお姉ちゃんの所に行っていて、私と歩君は朝まで覚えたての行為を続けていた。


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