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桜の木の桜木さん
さよなら、先生
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結局、上條と一緒に49日まで家を片付けに行った。
通帳とか、いろんなものの手続きは、校長先生が弁護士さんに頼んだ。
「こちら、慰謝料です。」
校長先生と弁護士さんから、慰謝料を渡された。
「えっ?」
「遺書がありまして、そちらに書かれていました。慰謝料を渡す事が…。伊納さんに、家の片付けはしていただきたかったようです。伊納さんが、卒業してすぐに遺言書を書かれていたようです。学校の机の中に、しまわれていました。」
私は、この日、前野先生から慰謝料を受け取る事になった。
手続きは、速やかに進められた。
しばらくして、私の通帳に1000万が振り込まれた。
お金なんかより、先生が欲しかった。
私は、先生を家の近くの永代供養の墓地に埋葬した。
ずっと、上條が付き合ってくれた。
私は、先生を失ってどん底だった。
「伊納さん、大丈夫?」
私を支えたのは、中学二年に一度クラスメイトになっただけの存在の、菅野義人だった。
私は、あの日の先生のように菅野の愛を受け入れたのだ。
ペラペラと教科書を捲るように、塗り替えられていく記憶。
きっと誰でも、よかったんだ。
そして、高校卒業後。
私は、看護士になる事にした。
「結婚しよう、円香」
私は、卒業式にされた菅野のプロポーズをお断りした。
「話が違うじゃん。桜の木の桜木さんに頼めば全て手に入るんじゃなかったのかよ」
「それ、どういう意味?」
「俺ね、卒業式の日に伊納の事を願ったんだよ。やり方は、伊納だってしってるだろ?前野先生の世界を手に入れられたのにな」
そう言って、菅野は私に先生との写真を見せた。
「これ、全部。義人が…」
「学校にも俺がチクった。そして、亡くなる一週間前に円香が迷惑してるって伝えてやった。椎名に協力までしてもらってさ」
「何で、そんな酷い事するのよ」
「仕方ないじゃん、欲しかったんだから」
菅野は、冷ややかな笑みを浮かべた。
「義人、何で」
私は、ボロボロと泣いていた。
責められなかった。
私は、菅野と同じことをした人間だった。
「まあ、いいや。もう、充分楽しんだし。先生の記憶消せたし、もう、いいわ。じゃあな」
そう言って、菅野はいなくなった。
「伊納、大丈夫か?」
「上條」
私は、上條に全て話した。
「そんなの迷信だから」
「でも…」
上條は、もし居ても桜木さんは悪いやつじゃないと私に話した。
私は、それから学業に全神経を注いで生きた。
校長先生が、あの日私に片付けをするように話したのは、全て前野先生の遺言書に書かれていたと看護士になって一年目に聞かされた。弁護士さんは、すぐに手配していたと教えてくれた。
.
.
.
.
「伊納、まだ手紙読んでないんだろ?」
「うん」
「怖いのか?」
「それもあった。けど、どうせなら先生の年齢越えた日に読もうかなって」
「次の誕生日か?」
「そうだよーー」
「いいんじゃないか」
「上條、ずっと友達で居てくれてありがとう」
「なんだよ、それ」
「何もかもしってるの、上條だけだったからさ。本当、よかったよ。上條がいてさ」
「それは、どうも。ってかさ、伊納。結婚とか子供とか諦めたみたいになっちゃったんじゃない?」
「まあ、兄と姉が出来がよすぎて、親孝行だったんでいいんですよ。」
上條は、笑っていた。
「それにさ、前野先生以外としたくなかったんだよね。驚くほど、純粋にそう思ったんだよね。おかしいよね」
「別におかしくないんじゃないか?俺は、あの日々は、前野先生も伊納もお互いに全力だったと思うよ。誰も入れない二人だけの世界だった。二人の関係、凄く好きだったよ。助けられなかったのが、残念だった。今なら、救急車を待ってる間に色々できた。」
「それは、私も同じだから」
「だよな」
上條と語り合って、私と上條は帰宅した。
通帳とか、いろんなものの手続きは、校長先生が弁護士さんに頼んだ。
「こちら、慰謝料です。」
校長先生と弁護士さんから、慰謝料を渡された。
「えっ?」
「遺書がありまして、そちらに書かれていました。慰謝料を渡す事が…。伊納さんに、家の片付けはしていただきたかったようです。伊納さんが、卒業してすぐに遺言書を書かれていたようです。学校の机の中に、しまわれていました。」
私は、この日、前野先生から慰謝料を受け取る事になった。
手続きは、速やかに進められた。
しばらくして、私の通帳に1000万が振り込まれた。
お金なんかより、先生が欲しかった。
私は、先生を家の近くの永代供養の墓地に埋葬した。
ずっと、上條が付き合ってくれた。
私は、先生を失ってどん底だった。
「伊納さん、大丈夫?」
私を支えたのは、中学二年に一度クラスメイトになっただけの存在の、菅野義人だった。
私は、あの日の先生のように菅野の愛を受け入れたのだ。
ペラペラと教科書を捲るように、塗り替えられていく記憶。
きっと誰でも、よかったんだ。
そして、高校卒業後。
私は、看護士になる事にした。
「結婚しよう、円香」
私は、卒業式にされた菅野のプロポーズをお断りした。
「話が違うじゃん。桜の木の桜木さんに頼めば全て手に入るんじゃなかったのかよ」
「それ、どういう意味?」
「俺ね、卒業式の日に伊納の事を願ったんだよ。やり方は、伊納だってしってるだろ?前野先生の世界を手に入れられたのにな」
そう言って、菅野は私に先生との写真を見せた。
「これ、全部。義人が…」
「学校にも俺がチクった。そして、亡くなる一週間前に円香が迷惑してるって伝えてやった。椎名に協力までしてもらってさ」
「何で、そんな酷い事するのよ」
「仕方ないじゃん、欲しかったんだから」
菅野は、冷ややかな笑みを浮かべた。
「義人、何で」
私は、ボロボロと泣いていた。
責められなかった。
私は、菅野と同じことをした人間だった。
「まあ、いいや。もう、充分楽しんだし。先生の記憶消せたし、もう、いいわ。じゃあな」
そう言って、菅野はいなくなった。
「伊納、大丈夫か?」
「上條」
私は、上條に全て話した。
「そんなの迷信だから」
「でも…」
上條は、もし居ても桜木さんは悪いやつじゃないと私に話した。
私は、それから学業に全神経を注いで生きた。
校長先生が、あの日私に片付けをするように話したのは、全て前野先生の遺言書に書かれていたと看護士になって一年目に聞かされた。弁護士さんは、すぐに手配していたと教えてくれた。
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「伊納、まだ手紙読んでないんだろ?」
「うん」
「怖いのか?」
「それもあった。けど、どうせなら先生の年齢越えた日に読もうかなって」
「次の誕生日か?」
「そうだよーー」
「いいんじゃないか」
「上條、ずっと友達で居てくれてありがとう」
「なんだよ、それ」
「何もかもしってるの、上條だけだったからさ。本当、よかったよ。上條がいてさ」
「それは、どうも。ってかさ、伊納。結婚とか子供とか諦めたみたいになっちゃったんじゃない?」
「まあ、兄と姉が出来がよすぎて、親孝行だったんでいいんですよ。」
上條は、笑っていた。
「それにさ、前野先生以外としたくなかったんだよね。驚くほど、純粋にそう思ったんだよね。おかしいよね」
「別におかしくないんじゃないか?俺は、あの日々は、前野先生も伊納もお互いに全力だったと思うよ。誰も入れない二人だけの世界だった。二人の関係、凄く好きだったよ。助けられなかったのが、残念だった。今なら、救急車を待ってる間に色々できた。」
「それは、私も同じだから」
「だよな」
上條と語り合って、私と上條は帰宅した。
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