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喜与恵と宝珠の視点
なんか、違う
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喜与恵は、ずっと慌てている。
「久しぶりだね」
「ホンマやで!電話でしか話してなかったから、記憶戻ってよかったわ」
「ってか、彼氏いなかった?」
喜与恵の言葉に、寂しい顔をした。
「20年やで!一緒におったん。何や、親に孫見せたいとか言ってな!若い子と結婚したわ!ほんで、人工受精して見事妊娠したから不倫相手になってやと!しょーもない奴と20年もおったわ」
「酷いね。いつ、別れたの?」
「去年の夏、ほんで、今年の春に不倫相手になってーやって!気心しれてるし、あっちの相性バッチリやからやって!」
「最低だな!」
「せやろ?わかってくれるん、宝珠だけやから!」
彼は、満月湊(まんげつみなと)、満月家(まんげつけ)長男でありながらゲイ。
成木さんに、誰かいないかと相談したら自分が会うと言ってきたのだ!
湊は、喜与恵と同じ歳だ!
見た目は、30代で通るけれど…。
「まさか!成木さんに、みなちゃんを紹介するの?」
「そのまさかだよ!私が、誰かいないかって聞いたんだよ。」
「傷心には、新しい恋やんか!きよちゃんわかってないなぁー。」
「新しいって、そんなすぐに忘れられるの?20年でしょ?」
「忘れられんでも、恋するんや!」
「とりあえず、車に行こうか」
「はいよ」
私は、湊と喜与恵を連れていく。
「20年って、相手も同じ歳だよね?」
「せやで!53歳やん!今さら、子供ってな!アホやろ」
「人工受精って事は、ゲイって」
「ゆうてへんで!あいつ、もう不倫相手見つけよったわ!きしょいな!」
湊は、そう言って笑ってる。
車に乗り込んで、発進する。
「泊まる所は?」
「あー。どっかホテルでええよ」
「家は、駄目かな?喜与恵」
「構わないよ」
怒っていながら、喜与恵はそう言うところは優しかった。
「そしたら、荷物置きに帰ろうか?」
「ええのに、別に!そっか、スーツ着替えなアカンのか」
「持ってきてるの?」
「うん、万珠さんに手合わせにいくつもりやから、持っとるよ。着替えるわ!」
そう言って、湊は笑ってる。
「ゲイでも子供欲しいのん。俺かってわかるで!百合の友達のゲイカップルが、百合の友達のレズカップルに子供産ませとったしな!せやけど、俺はそれを何かちゃうって思ってまうんよな!頭固いやろ?せやから、捨てられたんよな!」
「なんか、わかるよ。私も…」
「きよちゃんは、わかってくれんの?」
「私は、宝珠と私の遺伝子の入った存在が欲しいから…。そこに違う人がはいったら、それは違うから…。」
「せやろ?でもな、別れる前に、彼は、友達のレズカップルに頼んで産んでもらいたい言うてな!ほんで、一緒に育てようって!それは、何かちゃうゆうてもわかってくれんかったわ。何か、自分が惨めに感じたんや!お前には、無理やってゆわれてるみたいで…。しんどかったんや。」
「凄くわかるよ。みなちゃん」
喜与恵は、湊にそう言っていた。
「わかってくれる人がおってよかったわ!百合もわかるってゆうてくれてん。せやけど、そうする人もいるのはわかってんねん。別に、俺はそれがアカンとかは思ってないねん。ただ、俺はそれは違うってだけやから…。俺にとって、それは不正解やねん。」
バックミラーで、ちらりと見た湊は泣いていた。
20年も一緒に居た相手から、突然子供が欲しいと言われ、別の人間との間でもいいと言われた寂しさを考えると胸が締め付けられる。
「みなちゃん、辛かったね」
喜与恵の言葉に、湊は笑ってるようだった。
「アカンな!50回ったら湿っぽくなるわ。せやけど、何か…。お前は、アカンってゆわれたみたいで…。ホンマに辛かったわ!やっぱり、子供はいらん。嘘やでって!笑って帰って来てくれると思っとったのに!湊、嫁が妊娠したから、不倫相手としていようなって笑ってゆわれた時に、もっと惨めになったんや。」
家について、車を停めた。
湊の目からは、涙が流れてきていた。
「久しぶりだね」
「ホンマやで!電話でしか話してなかったから、記憶戻ってよかったわ」
「ってか、彼氏いなかった?」
喜与恵の言葉に、寂しい顔をした。
「20年やで!一緒におったん。何や、親に孫見せたいとか言ってな!若い子と結婚したわ!ほんで、人工受精して見事妊娠したから不倫相手になってやと!しょーもない奴と20年もおったわ」
「酷いね。いつ、別れたの?」
「去年の夏、ほんで、今年の春に不倫相手になってーやって!気心しれてるし、あっちの相性バッチリやからやって!」
「最低だな!」
「せやろ?わかってくれるん、宝珠だけやから!」
彼は、満月湊(まんげつみなと)、満月家(まんげつけ)長男でありながらゲイ。
成木さんに、誰かいないかと相談したら自分が会うと言ってきたのだ!
湊は、喜与恵と同じ歳だ!
見た目は、30代で通るけれど…。
「まさか!成木さんに、みなちゃんを紹介するの?」
「そのまさかだよ!私が、誰かいないかって聞いたんだよ。」
「傷心には、新しい恋やんか!きよちゃんわかってないなぁー。」
「新しいって、そんなすぐに忘れられるの?20年でしょ?」
「忘れられんでも、恋するんや!」
「とりあえず、車に行こうか」
「はいよ」
私は、湊と喜与恵を連れていく。
「20年って、相手も同じ歳だよね?」
「せやで!53歳やん!今さら、子供ってな!アホやろ」
「人工受精って事は、ゲイって」
「ゆうてへんで!あいつ、もう不倫相手見つけよったわ!きしょいな!」
湊は、そう言って笑ってる。
車に乗り込んで、発進する。
「泊まる所は?」
「あー。どっかホテルでええよ」
「家は、駄目かな?喜与恵」
「構わないよ」
怒っていながら、喜与恵はそう言うところは優しかった。
「そしたら、荷物置きに帰ろうか?」
「ええのに、別に!そっか、スーツ着替えなアカンのか」
「持ってきてるの?」
「うん、万珠さんに手合わせにいくつもりやから、持っとるよ。着替えるわ!」
そう言って、湊は笑ってる。
「ゲイでも子供欲しいのん。俺かってわかるで!百合の友達のゲイカップルが、百合の友達のレズカップルに子供産ませとったしな!せやけど、俺はそれを何かちゃうって思ってまうんよな!頭固いやろ?せやから、捨てられたんよな!」
「なんか、わかるよ。私も…」
「きよちゃんは、わかってくれんの?」
「私は、宝珠と私の遺伝子の入った存在が欲しいから…。そこに違う人がはいったら、それは違うから…。」
「せやろ?でもな、別れる前に、彼は、友達のレズカップルに頼んで産んでもらいたい言うてな!ほんで、一緒に育てようって!それは、何かちゃうゆうてもわかってくれんかったわ。何か、自分が惨めに感じたんや!お前には、無理やってゆわれてるみたいで…。しんどかったんや。」
「凄くわかるよ。みなちゃん」
喜与恵は、湊にそう言っていた。
「わかってくれる人がおってよかったわ!百合もわかるってゆうてくれてん。せやけど、そうする人もいるのはわかってんねん。別に、俺はそれがアカンとかは思ってないねん。ただ、俺はそれは違うってだけやから…。俺にとって、それは不正解やねん。」
バックミラーで、ちらりと見た湊は泣いていた。
20年も一緒に居た相手から、突然子供が欲しいと言われ、別の人間との間でもいいと言われた寂しさを考えると胸が締め付けられる。
「みなちゃん、辛かったね」
喜与恵の言葉に、湊は笑ってるようだった。
「アカンな!50回ったら湿っぽくなるわ。せやけど、何か…。お前は、アカンってゆわれたみたいで…。ホンマに辛かったわ!やっぱり、子供はいらん。嘘やでって!笑って帰って来てくれると思っとったのに!湊、嫁が妊娠したから、不倫相手としていようなって笑ってゆわれた時に、もっと惨めになったんや。」
家について、車を停めた。
湊の目からは、涙が流れてきていた。
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