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さよなら、空。(ゐ空)
空の想い
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ドクン………。
宝珠君を通して、ビジョンが流れる。
「ゐ空、今日はね。こんなに食べられたの」
「凄いね。偉いよ。先生から、今日はケーキ食べても大丈夫だって聞いたから持ってきたよ。」
「わぁ、ありがとう。美味しそう。」
何となく、私の病気が何かゐ空は気づいてるのかしら…。
大好きなモンブランを食べる。
それでも、私はゐ空には言いたくない。
だって、ゐ空といる時間はこんな風に全てを忘れられるの。
「個室は、いつぐらいになったらいけるのかな?」
「空きが、ないのよ。妥協して二人部屋で許してって言われたの。」
「次の人は、どんな人?」
「小さな子供がいるお母さんよ。毎日、毎日、面会ギリギリまで旦那さんと赤ちゃんがいるのよ。」
「辛くない?」
ゐ空は、私の手を取って頬に当てる。
「辛い」
「そうだよね」
隣の人がいなくてよかった。
いたら、嫌な思いをしたわよね。
私は、ゐ空がいる間は何も考えなくてすむの。
でも、ゐ空がいない時間は、苦しくて悲しくて辛くて、絶望なの。
だって、病室から外に出ても子供がいる人に会うんだもの。
私には、手に入らないものをもってるのよ。
それでも、ゐ空がいる時間だけは忘れられる。
「泣かないで、空」
ゐ空は、私の頬に手を当てて涙を拭ってくれる。
「食べさせて欲しい」
「いいよ、あーん」
「あーん」
モンブランをゐ空に、食べさせてもらう。
ゐ空は、どこにも行かないで
肌を重ねられないからと、私を捨てないで
「ゐ空は、子供欲しい?」
「いや、私は…。」
初めて聞いた。
「あれは?」
「行為の事かな?」
「そう!したい?」
「いや、私は…。その」
ゐ空は、言いづらそうにしながら小さな声で言った。
「機能しないんだ。」
ホッとした。
よかったと思った。
出来ない事で、捨てられないと思った。
「気にしないで、私も出来ないから」
「ごめんね。付き合うのは、それもって事をわかってはいたんだ。」
「いいのよ。私は、いいの。それがなくても、全然。だって私も」
「私も?」
私は、小さな声で言った。
「機能しないの。」
それをしたいと感じないの、性欲がわかないの、言葉にするのが難しいからそう言った。
「よかった」
ゐ空は、ボロボロと泣き出した。
「どうしたの?」
「捨てられるのかと思った。いらないって、言われるのかと思った。」
「それは、私の台詞よ。ゐ空」
「君みたいな魅力的な女性を捨てる人間はいないよ」
やっぱり、私はゐ空を愛してる。
ゐ空といる時間が、増えれば忘れていられるのに…。
結婚も、子供も…。
何もかも…。
結婚したら、子供が欲しくなるから、私、結婚やめるの。
隣の病室で、二度と子供が出来ない体になったと言う亜沙美さんが言った。
私も、ゐ空と結婚したらゐ空の子供が欲しくなるのよね。
それなら、ゐ空と結婚出来てもしたくない。
「ゐ空、私を愛していて。最後の瞬間まで…。」
「当たり前だよ。空。私は、空以外いらないよ。欲しくない。必要じゃない。重い事を言うけど、初めて人を好きになったんだ。だから、私は空しかいらない。」
「ゐ空」
私は、ゐ空に抱きついた。
ゐ空、あなたといる時間は、何もかも忘れられるの
でも、あなたがいない時間は絶望しかないの。
助けて、ゐ空
「泣かないで、空。」
「うん」
ゐ空は、その日面会が終わるまでいてくれた。
私だけ、どうしてこんな体になったの。
22歳の時に、ゐ空に出会っていたら私はゐ空の子供だって産めたはずよ。
何で、こんな体になったの…。
何で、私には何もか手に入らないの…。
幼い頃に、想い描いた全てが泡に消えた。
シャボン玉みたい。
ゐ空、私には掴めないものが多すぎる。
ゐ空、助けて
ゐ空、私消えたい
死ぬのなんか何も怖くないの
生きている事の方が、苦痛なの
【明日、1日生きていれば幸せです。そう思って生きていきましょうね。】
同じ病気の彼女は、そう言って亡くなるまで言っていたけれど…。
ごめんなさい。
私は、そうは思えない。
1日も生きていたくない。
こんな苦痛な朝を迎えるなら…。
宝珠君を通して、ビジョンが流れる。
「ゐ空、今日はね。こんなに食べられたの」
「凄いね。偉いよ。先生から、今日はケーキ食べても大丈夫だって聞いたから持ってきたよ。」
「わぁ、ありがとう。美味しそう。」
何となく、私の病気が何かゐ空は気づいてるのかしら…。
大好きなモンブランを食べる。
それでも、私はゐ空には言いたくない。
だって、ゐ空といる時間はこんな風に全てを忘れられるの。
「個室は、いつぐらいになったらいけるのかな?」
「空きが、ないのよ。妥協して二人部屋で許してって言われたの。」
「次の人は、どんな人?」
「小さな子供がいるお母さんよ。毎日、毎日、面会ギリギリまで旦那さんと赤ちゃんがいるのよ。」
「辛くない?」
ゐ空は、私の手を取って頬に当てる。
「辛い」
「そうだよね」
隣の人がいなくてよかった。
いたら、嫌な思いをしたわよね。
私は、ゐ空がいる間は何も考えなくてすむの。
でも、ゐ空がいない時間は、苦しくて悲しくて辛くて、絶望なの。
だって、病室から外に出ても子供がいる人に会うんだもの。
私には、手に入らないものをもってるのよ。
それでも、ゐ空がいる時間だけは忘れられる。
「泣かないで、空」
ゐ空は、私の頬に手を当てて涙を拭ってくれる。
「食べさせて欲しい」
「いいよ、あーん」
「あーん」
モンブランをゐ空に、食べさせてもらう。
ゐ空は、どこにも行かないで
肌を重ねられないからと、私を捨てないで
「ゐ空は、子供欲しい?」
「いや、私は…。」
初めて聞いた。
「あれは?」
「行為の事かな?」
「そう!したい?」
「いや、私は…。その」
ゐ空は、言いづらそうにしながら小さな声で言った。
「機能しないんだ。」
ホッとした。
よかったと思った。
出来ない事で、捨てられないと思った。
「気にしないで、私も出来ないから」
「ごめんね。付き合うのは、それもって事をわかってはいたんだ。」
「いいのよ。私は、いいの。それがなくても、全然。だって私も」
「私も?」
私は、小さな声で言った。
「機能しないの。」
それをしたいと感じないの、性欲がわかないの、言葉にするのが難しいからそう言った。
「よかった」
ゐ空は、ボロボロと泣き出した。
「どうしたの?」
「捨てられるのかと思った。いらないって、言われるのかと思った。」
「それは、私の台詞よ。ゐ空」
「君みたいな魅力的な女性を捨てる人間はいないよ」
やっぱり、私はゐ空を愛してる。
ゐ空といる時間が、増えれば忘れていられるのに…。
結婚も、子供も…。
何もかも…。
結婚したら、子供が欲しくなるから、私、結婚やめるの。
隣の病室で、二度と子供が出来ない体になったと言う亜沙美さんが言った。
私も、ゐ空と結婚したらゐ空の子供が欲しくなるのよね。
それなら、ゐ空と結婚出来てもしたくない。
「ゐ空、私を愛していて。最後の瞬間まで…。」
「当たり前だよ。空。私は、空以外いらないよ。欲しくない。必要じゃない。重い事を言うけど、初めて人を好きになったんだ。だから、私は空しかいらない。」
「ゐ空」
私は、ゐ空に抱きついた。
ゐ空、あなたといる時間は、何もかも忘れられるの
でも、あなたがいない時間は絶望しかないの。
助けて、ゐ空
「泣かないで、空。」
「うん」
ゐ空は、その日面会が終わるまでいてくれた。
私だけ、どうしてこんな体になったの。
22歳の時に、ゐ空に出会っていたら私はゐ空の子供だって産めたはずよ。
何で、こんな体になったの…。
何で、私には何もか手に入らないの…。
幼い頃に、想い描いた全てが泡に消えた。
シャボン玉みたい。
ゐ空、私には掴めないものが多すぎる。
ゐ空、助けて
ゐ空、私消えたい
死ぬのなんか何も怖くないの
生きている事の方が、苦痛なの
【明日、1日生きていれば幸せです。そう思って生きていきましょうね。】
同じ病気の彼女は、そう言って亡くなるまで言っていたけれど…。
ごめんなさい。
私は、そうは思えない。
1日も生きていたくない。
こんな苦痛な朝を迎えるなら…。
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