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同じ匂い[洋]

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俺が、れんの頭を撫でていたられんは眠ってしまった。

亜香里の所に行くから、少し寝かせてあげよう。

亜香里のとこ行くなら、綺麗な方がいいかな。

俺は、カッターシャツを着て部屋をでた。

洗面所に行って、顔を洗った。

いてっ。お腹と足に痛みが走る。

拜島さんに湿布もらおうかな。

洗面所から出た時に、沙織が俺の前を通りすぎた。

何か嗅いだ事のある匂いがした。

あれっどこかで嗅いだことがある。

俺は、その場で少し考えた。

何だったっけ。誰だったけ。




拜島さんだ。

拜島さんの匂いがしたんだ。

って事は、拜島さんと沙織がまた何かあったのか?

俺は、足を引きずりながらリビングに向かって歩く。

沙織「洋、れんと拜島さんってどうなってるの?」

突然声をかけられた。

俺は、足を止めた。

洋「何が聞きたいの?」

俺の言葉に沙織は、冷ややかな目を向ける。

沙織「拜島さんとれんはどうなってるか聞いてんの」

苛立っている。

洋「俺は、何も知らないよ。」

そう言った俺に、

沙織「まぁ、いいけど。拜島さんは、私のものだから」とニヤッと笑った。

ゾッとする笑顔だ。

れんと拜島さんを傷つけられないから、俺を傷つけようとしているのがわかる。

洋「そうか、よかったな。」

そう言って、歩こうとする俺に

沙織「私、拜島さんと寝たの。」と言ってきた。

たぶん、これで俺が傷つくと思ってる。

洋「そう、よかったな。手に入って」

沙織は、俺に苛立って。

パチン頬を叩かれた。

いたっ。

沙織「心が手に入らないなら意味ないのよ。」

そう言って出ていった。

いてっ。

頬っぺた叩かれて、腹けられて、足捻挫して、次に俺何が起きるんだろう?

みんなの痛みつけられてるみたいだ。

ブーブー

洋「はい、もしもし」

叔母さんからだった。

「明後日くるんですね。」

「はい。」

「祖父から聞きました。」

「はい」

「祖母が楽しみにしています。」

「はい」

「どうぞ、お気をつけてお越しください」

「ありがとうございました。」

叔母さんは、珍しくおとなしかった。

お祖母ちゃん、そんなに悪いのかな。

痛くて立ってられなくて座った。

まだ、ここに住んで一日しか経ってないのに色々ありすぎだろう。

身体持つかな、一年も。

考えただけで、ゾッとする。

俺は、考えるのをやめた。

とりあえず、湿布もらおう。

俺は、足を引きずりながらリビングに行く。

誰もいない。

拜島さんは、キッチンかな?

俺は、足を引きずりながらキッチンへ行く。

時々、机にもたれたりソファーに座ったりしながら進んだ。

キッチンに向かうと拜島さんが、ボッーとシンクに立っていた。

足を引きずりながら近づく。

ザァーと水が流れている。

洋「拜島さん」遠くから声をかけても聞こえていないようだ。

俺は、拜島さんに近づいてシンクを見た。

ワインこぼしたわけじゃないよね。

すごい力でグラスを握り潰してる。

俺は、拜島さんの後ろから右手をとってコップを離そうとする。

けど、うまくいかない。

ギリギリと握りつぶす。

「拜島さん」「拜島さん」と言っ
てるのに聞こえてないみたいだ。

バリンって音と共に激痛が走る。
 
「いてーよ」俺は、拜島さんの耳元で叫んだ。

俺は、左手で、コップと拜島さんの指の間に、自分の指を入れたせいで、拜島さんは俺の手とコップを一緒に握りつぶした。

拜島さんは、ハッとして手を離してくれた。

拜島「すみません。」

洋「嫌、俺が悪いですから」

拜島「血だらけですよ」

洋「拜島さんでしよ?それは」

俺は、右手でキッチン鋏をとってカッターシャツを切った。

頑張って、止血する。

体の全身が痛くてたまらない。

拜島さんの手も頑張って止血した。

拜島「すみません。」

洋「痛くありませんか?」

拜島「はい。」

洋「俺、すごく痛いです。」

拜島「すみません。」

洋「いえ、俺なんかよりひどい怪我じゃないですか病院行きましょう。亜香里のとこにいく時に」

拜島「わかりました。」

ただ、俺達このままどうする。

とりあえず、キッチンペーパーで血を止めたりもするけど痛くてしかたない。

れんが、起きてくれたらいいんだけど。

俺は、とにかくキッチンにしゃがんで血が止まるのを待ってた。

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