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シークレット作品②

【温度】⑥

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「一輝、気持ちいい」

まだ、やられてる。

「ねえー。キスしながらしよう」

「それは、ごめん。今日は、無理」

「じゃあ、後ろからして」

「わかった」

一輝は、桜に後ろからする。

「いいよ、一輝。気持ちいい」

目を閉じると、花香さんが浮かんできた。

「ごめんね」

「足、捻挫してない?大丈夫?」

「大丈夫だよ。気にしないで」

桜の腰を持つ。

花香さんの腰を持ったのを思い出した。

綺麗だった。

目のラインも唇も、いい匂いだった。

「ダメ、一輝。もう、いく。あー、孝輔」

えっ?!

はあ?

「ハア、ハア、妊娠しちゃったらどうする?一輝」

「しないよ」

馬鹿みたいだ、俺。

「おやすみ、愛してる」

「おやすみ」

愛してるって何だよ。

パジャマを整えて、桜は眠った。

飲み物飲めばいいのに…。

桜の寝息を聞いて、俺は起き上がった。

スマホを持ってリビングに行く。

ソファーに、ゴロッと横になった。

ブー、ブー

「はい」

花香さんからの着信に、すぐに出てしまった。

『最後に、桜って言われたんです。』

「大丈夫?」

『私、何の為に抱かれたのかな?』

「俺も同じだよ」

『一輝さんも、同じ事されたんですね』

「うん。きっと、離したくなくなったんじゃないかな?花香さんと俺が会ったの、何か直感で気づいたのかな?不倫してる人って鋭いって聞くから…。花香さん、やめる?」

『やめません。慰謝料もらって別れます。』

「二人が会うの目撃して、写真撮ったり会話録ったりって考えたら…。その間、今日みたいな事が起きるかもしれないよ。」

『それでも、一人じゃないから。一輝さんもいるのわかってますから…。だから、頑張ります』

「本当にいいの?」

『はい』

「わかった。じゃあ、やろう!証拠突き付けて、慰謝料もらおう」

『はい』

「じゃあ、明日から宜しくね」

『はい、宜しくお願いします。』

「少し、早めに会わない?服、変えなきゃ駄目でしょ?」

『そうですね。明日は、パートないので私は大丈夫です。一輝さんは?』

「俺も、休みだから大丈夫。じゃあ、お昼ご飯一緒に食べない?」

『いいですよ』

「それと、敬語やめよう!これから、カップルのフリして動くから…。ねっ?」

『わかった!直すね』

「うん。じゃあ、明日の11時にbarの前でどう?」

『わかった。』

「おやすみ、また明日ね」

『おやすみ』

プチッ…

プー、プー

花香との電話が終わって一輝は、ゴロリとソファーに横になった。

【浮気してるやつほど気づきやすいんだよ。】

学生の時、先輩の彼女が浮気してて、先輩が後輩の女の子とご飯食べに行ったらバレたって話したのを一輝は、思い出していた。

浮気してる相手は、悪びれる事もなく先輩を責めたと言ってた。

桜が、自分を求めてきたのは自分が花香と話したからではないか?

少なからず、花香の匂いがしたのではないか?

そして、花香の方もそのせいでされたのではないか?

一輝は、これから先、自分はこの状況に耐えれても、花香は大丈夫なのか不安で堪らなかった。

それでも、花香が頑張ると言っていた以上は、必ず慰謝料をもらって別れさすと一輝は決めた。

明日に備えて、一輝はゆっくりと目を閉じる。

画面が、切り替わり花香に変わる。

電話を切った花香は、泣きながら膝を抱えていた。

「私、絶対別れるよ」

孝輔に未練はあった、でもそれを捨てたくなった。

最後の言葉に、孝輔の愛はもう自分にはないと花香は気づいてしまった。

例え、また同じ事が起きても花香は自分の心だけは折れないようにしようと決めた。

悲しくて、辛くて、痛い。

でも、孝輔との結婚生活を続ける事よりは、その心の気持ちの方が耐えられる。

花香は、ソファーに横になってスマホの写真を見つめる。

「孝輔は、私を、何で?抱いたの?離婚したい程の相手なのに?」

考えれば、考える程、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく花香だった。


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