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彼の気持ち
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【なっこへ】
9歳の時に、なっこが桜の木の下で寂しそうに言いました。
青々とした葉をつけた桜の下で…
「私の誕生日には、いっつもここの桜は緑なの。なんか、凄く寂しい。まだ、花が残ってたらいいのに…。その中で、お誕生日おめでとうって、ケーキを差し出されたら幸せなのに…」
なっこは、覚えてないかもしれんけど、俺はずっとなっこが好きやったから覚えとったよ。
いつか、見つけたる。
そう思っとったのに、引っ越しが決まってしもたから…。
中々、探せんかった。
やっと、探しにこれたんは、18歳になってこっちに来た時やった。
桜の季節に探すんやけど、一年に一度のせいで中々見つけられんくて…。
20歳の誕生日になっこに会いに行って、ケーキを渡したけど。
あの、約束は守れんかった。
俺ね、小学一年でなっこに出会ってから、ずっーと好きやってんで。
だから、なっことそうなれた時は心臓が飛び出るほど嬉しかったし。
このまま、死んでもいいって思ってしまったんや。
実際は、死にたくなんかないし。
なっことずっと一緒に生きてくつもりやし、離さんし。
あの日なっこと昼間で過ごした帰り道に、たまたま見つけたんや。
まだ、咲いてた。
俺、プレゼントはもう用意してたから…。
後は、ここに呼び出すだけやった。
で、今ちゃんとプロポーズ出来んかったら嫌やから書いてるねん。
親父の借金返さなアカンくなったから、暫くは傍にいられへんけど絶対浮気すんなよ。
なっこのとこにも親父の借金の相手が行くと思うねん。
せやけど、無視してくれてええから…。
30歳の誕生日に迎えに行けるように必ずするから、絶対待っといてや。
なっこを絶対幸せにしたるから
俺だけのものでいてや
俺の人生は、全部なっこや
俺の全てを全部なっこや
忘れんといて、俺にはなっこしかいないって事
だから、なっこにも俺しかいないって思って欲しい
俺、ヤキモチ妬きやから
独占欲強いみたいやわ
これから、一生傍に居て幸せにするから…。
だから、ずっと一緒に居てください。
愛してます。結婚しよう、なっこ
【光】
手紙を読み終えた私は、小さな箱を開いた。
小さなダイヤモンドが、キラキラと光る。
「ぁーぁぁあああああ」
私は、壊れた。
「なっこ、なっこ」
静樹が、背中を撫でつつけてくれていた。
「なっこさん」
「はい」
泣き止んだ私に、彼の弟が近づいてきた。
栗色の瞳が、私を見つめる。
「僕も先に読みました。」
「そうですか」
「なっこさん、もう兄に縛られないで下さい。」
そう言うと、春樹さんは私の手を掴んだ。
「例え、殺されたとしても約束を先に破ったのは兄です。だから、なっこさんも破っていいんですよ。」
栗色の瞳は、私を優しく見つめてくれる。
「出来ません」
私は、首を横にふった。
「いいんです。兄を忘れて、幸せになっていいんです。なっこさんは、充分、苦しんだんですから」
私は、その言葉にまた泣いていた。
「あの、刑事さん」
「はい」
「犯人の動機は、もうわかったのですか?」
「まだ、ハッキリした事はわかっていません。」
「彼の骨は?」
「まだ、見つかっていません」
「そうですか」
私は、フラフラと立ち上がった。
「なっこ、帰るの?」
「うん」
須藤刑事は、「わかりました」と言った。
私は、渡されたものを鞄に入れた。
「失礼します。」
「また、何かわかりましたら、川北さんに連絡します。」
「はい」
私達は、警察署をあとにした。
「なっこさん」
冬木さんの声に、立ち止まった。
「さっき、春樹もゆうてたけど。ほんまに、幸せになってええんですよ。先に、なっこさんを裏切ったんは、光なんやから」
「だったら、冬木さんが幸せにしてくれるんですか」
彼の雰囲気を纏う冬木さんに、私はそう叫んでしまった。
9歳の時に、なっこが桜の木の下で寂しそうに言いました。
青々とした葉をつけた桜の下で…
「私の誕生日には、いっつもここの桜は緑なの。なんか、凄く寂しい。まだ、花が残ってたらいいのに…。その中で、お誕生日おめでとうって、ケーキを差し出されたら幸せなのに…」
なっこは、覚えてないかもしれんけど、俺はずっとなっこが好きやったから覚えとったよ。
いつか、見つけたる。
そう思っとったのに、引っ越しが決まってしもたから…。
中々、探せんかった。
やっと、探しにこれたんは、18歳になってこっちに来た時やった。
桜の季節に探すんやけど、一年に一度のせいで中々見つけられんくて…。
20歳の誕生日になっこに会いに行って、ケーキを渡したけど。
あの、約束は守れんかった。
俺ね、小学一年でなっこに出会ってから、ずっーと好きやってんで。
だから、なっことそうなれた時は心臓が飛び出るほど嬉しかったし。
このまま、死んでもいいって思ってしまったんや。
実際は、死にたくなんかないし。
なっことずっと一緒に生きてくつもりやし、離さんし。
あの日なっこと昼間で過ごした帰り道に、たまたま見つけたんや。
まだ、咲いてた。
俺、プレゼントはもう用意してたから…。
後は、ここに呼び出すだけやった。
で、今ちゃんとプロポーズ出来んかったら嫌やから書いてるねん。
親父の借金返さなアカンくなったから、暫くは傍にいられへんけど絶対浮気すんなよ。
なっこのとこにも親父の借金の相手が行くと思うねん。
せやけど、無視してくれてええから…。
30歳の誕生日に迎えに行けるように必ずするから、絶対待っといてや。
なっこを絶対幸せにしたるから
俺だけのものでいてや
俺の人生は、全部なっこや
俺の全てを全部なっこや
忘れんといて、俺にはなっこしかいないって事
だから、なっこにも俺しかいないって思って欲しい
俺、ヤキモチ妬きやから
独占欲強いみたいやわ
これから、一生傍に居て幸せにするから…。
だから、ずっと一緒に居てください。
愛してます。結婚しよう、なっこ
【光】
手紙を読み終えた私は、小さな箱を開いた。
小さなダイヤモンドが、キラキラと光る。
「ぁーぁぁあああああ」
私は、壊れた。
「なっこ、なっこ」
静樹が、背中を撫でつつけてくれていた。
「なっこさん」
「はい」
泣き止んだ私に、彼の弟が近づいてきた。
栗色の瞳が、私を見つめる。
「僕も先に読みました。」
「そうですか」
「なっこさん、もう兄に縛られないで下さい。」
そう言うと、春樹さんは私の手を掴んだ。
「例え、殺されたとしても約束を先に破ったのは兄です。だから、なっこさんも破っていいんですよ。」
栗色の瞳は、私を優しく見つめてくれる。
「出来ません」
私は、首を横にふった。
「いいんです。兄を忘れて、幸せになっていいんです。なっこさんは、充分、苦しんだんですから」
私は、その言葉にまた泣いていた。
「あの、刑事さん」
「はい」
「犯人の動機は、もうわかったのですか?」
「まだ、ハッキリした事はわかっていません。」
「彼の骨は?」
「まだ、見つかっていません」
「そうですか」
私は、フラフラと立ち上がった。
「なっこ、帰るの?」
「うん」
須藤刑事は、「わかりました」と言った。
私は、渡されたものを鞄に入れた。
「失礼します。」
「また、何かわかりましたら、川北さんに連絡します。」
「はい」
私達は、警察署をあとにした。
「なっこさん」
冬木さんの声に、立ち止まった。
「さっき、春樹もゆうてたけど。ほんまに、幸せになってええんですよ。先に、なっこさんを裏切ったんは、光なんやから」
「だったら、冬木さんが幸せにしてくれるんですか」
彼の雰囲気を纏う冬木さんに、私はそう叫んでしまった。
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