5 / 20
温もりと誕生日
しおりを挟む
「なっこ、寝ようか?」
暫く目を瞑っていた私の耳元で、静樹が声をかけた。
「うん」
「歯磨きしていくから、横になってて」
「うん」
私は、涙を拭って寝室に向かった。
ルームウェアを脱いで、パジャマに着替えた。
カチャ…
着替え終わると静樹が、現れた。
「私も着替えていい?」
「いいよ」
私は、静樹を見ないようにベッドに入る。
パジャマに着替えて、静樹はベッドにやってきた。
「なっこ」
「何?」
「もう、私達、4年も一緒にいるわ」
「うん」
「そろそろ、私。なっこがしたいなら、手伝うつもりよ」
「いらない」
私は、首を横にふる。
「なっこ、本当は彼に触れられた記憶を手繰り寄せたいんじゃないの?出会った時からずっと」
静樹は、私の事を引き寄せて顔を向ける。
「この闇を照らせるなら、私はどんな事でも、なっこにしてあげたいの」
友情や愛情なんて言葉で、私達を縛りつける人がいるのなら、ぶん殴ってやりたい。
「私も静樹の闇を拭ってあげたいよ」
出会った日から、私達はお互いの闇に触れていた。
「なーに、あんたさ。そんな真っ暗な目をしてどうしたの?」
「そっちも言えないし」
「あんた、大事な人亡くしてるわね」
「はあ?マスター、珈琲」
「はいはい」
「あんた、そんな砂糖いれたら死ぬわよ」
「うっせーな。甘味なんてないんだよ。苦いんだよ。ずっと」
「私が、あんたを助けるから」
「ほっといてよ」
「ほっとけるわけないじゃない」
静樹に抱き締められた瞬間。
涙が、止まらなかった。
生きている人間の暖かさに触れたのは、どれくらいぶりだっただろうか?
自分以外の人間の暖かさに触れたのは、どれくらいぶりだっただろうか?
水道管が破裂したみたいに、泣いた。
「ぁーぁぁあああああぁあぁぁ」
私は、狂ったように泣いた。
静樹は、私を抱き締めてくれていた。
「静樹、充分だよ」
「キスぐらい出来るかもよ」
私は、首を横にふる。
「明日で、41歳になるの」
「もう、今日よ。知ってるわ」
「目が覚めてからよ。あのね、静樹、明日の夜中に私にキスして」
「いいの?」
「それで、丸20年になるの。静樹は、まだ先だけど…。」
「私、女の子は好きになれない。でも、なっこなら頑張ってみたい」
静樹は、私の手に頬を当てる。
「無理は、しないで」
「無理したいの」
静樹は、私の涙を拭ってくれる。
あの日、折れた翼を見つけた。
私と静樹は、磁石のようにピッタリとくっついた。
恋や愛じゃない。
ただ、傍にいてあげたいと強く惹かれ合った。
その想いは、一度も変わることなく、今日までやってきた。
これから先だって、変わることなんてない。
「珍しく誕生日が、日曜日じゃない?」
「本当だ。」
「ケーキ買いに行きましょう?欲しいものも買ってあげる」
「本当に?」
「本当よ」
静樹は、私をギュッと抱き締めてくれた。
私は、その体温に包まれて眠った。
チュンチュンと言う、鳥の鳴き声で目が覚めた。
私は、ルームウェアを洗濯機に持っていく。
「ふぁー。」
「おはよう、なっこ」
何時に寝ても、静樹は七時に目が覚める。
「あれ、サンデーLOVE見てないの?」
静樹は、決まって日曜日の七時から始まる。
サンデーLOVEを見ていた。
最新コスメや最新グッズがやっていて、NEWSはいっさいやらないのだ。
「なんかね、同じNEWSなのよ」
卵をかき混ぜなから、静樹が言った。
「なんか、大事件なのかな?」
私は、TVをつける。
暫く目を瞑っていた私の耳元で、静樹が声をかけた。
「うん」
「歯磨きしていくから、横になってて」
「うん」
私は、涙を拭って寝室に向かった。
ルームウェアを脱いで、パジャマに着替えた。
カチャ…
着替え終わると静樹が、現れた。
「私も着替えていい?」
「いいよ」
私は、静樹を見ないようにベッドに入る。
パジャマに着替えて、静樹はベッドにやってきた。
「なっこ」
「何?」
「もう、私達、4年も一緒にいるわ」
「うん」
「そろそろ、私。なっこがしたいなら、手伝うつもりよ」
「いらない」
私は、首を横にふる。
「なっこ、本当は彼に触れられた記憶を手繰り寄せたいんじゃないの?出会った時からずっと」
静樹は、私の事を引き寄せて顔を向ける。
「この闇を照らせるなら、私はどんな事でも、なっこにしてあげたいの」
友情や愛情なんて言葉で、私達を縛りつける人がいるのなら、ぶん殴ってやりたい。
「私も静樹の闇を拭ってあげたいよ」
出会った日から、私達はお互いの闇に触れていた。
「なーに、あんたさ。そんな真っ暗な目をしてどうしたの?」
「そっちも言えないし」
「あんた、大事な人亡くしてるわね」
「はあ?マスター、珈琲」
「はいはい」
「あんた、そんな砂糖いれたら死ぬわよ」
「うっせーな。甘味なんてないんだよ。苦いんだよ。ずっと」
「私が、あんたを助けるから」
「ほっといてよ」
「ほっとけるわけないじゃない」
静樹に抱き締められた瞬間。
涙が、止まらなかった。
生きている人間の暖かさに触れたのは、どれくらいぶりだっただろうか?
自分以外の人間の暖かさに触れたのは、どれくらいぶりだっただろうか?
水道管が破裂したみたいに、泣いた。
「ぁーぁぁあああああぁあぁぁ」
私は、狂ったように泣いた。
静樹は、私を抱き締めてくれていた。
「静樹、充分だよ」
「キスぐらい出来るかもよ」
私は、首を横にふる。
「明日で、41歳になるの」
「もう、今日よ。知ってるわ」
「目が覚めてからよ。あのね、静樹、明日の夜中に私にキスして」
「いいの?」
「それで、丸20年になるの。静樹は、まだ先だけど…。」
「私、女の子は好きになれない。でも、なっこなら頑張ってみたい」
静樹は、私の手に頬を当てる。
「無理は、しないで」
「無理したいの」
静樹は、私の涙を拭ってくれる。
あの日、折れた翼を見つけた。
私と静樹は、磁石のようにピッタリとくっついた。
恋や愛じゃない。
ただ、傍にいてあげたいと強く惹かれ合った。
その想いは、一度も変わることなく、今日までやってきた。
これから先だって、変わることなんてない。
「珍しく誕生日が、日曜日じゃない?」
「本当だ。」
「ケーキ買いに行きましょう?欲しいものも買ってあげる」
「本当に?」
「本当よ」
静樹は、私をギュッと抱き締めてくれた。
私は、その体温に包まれて眠った。
チュンチュンと言う、鳥の鳴き声で目が覚めた。
私は、ルームウェアを洗濯機に持っていく。
「ふぁー。」
「おはよう、なっこ」
何時に寝ても、静樹は七時に目が覚める。
「あれ、サンデーLOVE見てないの?」
静樹は、決まって日曜日の七時から始まる。
サンデーLOVEを見ていた。
最新コスメや最新グッズがやっていて、NEWSはいっさいやらないのだ。
「なんかね、同じNEWSなのよ」
卵をかき混ぜなから、静樹が言った。
「なんか、大事件なのかな?」
私は、TVをつける。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あなたと別れて、この子を生みました
キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。
クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。
自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。
この子は私一人で生んだ私一人の子だと。
ジュリアとクリスの過去に何があったのか。
子は鎹となり得るのか。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
⚠️ご注意⚠️
作者は元サヤハピエン主義です。
え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。
誤字脱字、最初に謝っておきます。
申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ
小説家になろうさんにも時差投稿します。

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

【コミカライズ&書籍化・取り下げ予定】お幸せに、婚約者様。私も私で、幸せになりますので。
ごろごろみかん。
恋愛
仕事と私、どっちが大切なの?
……なんて、本気で思う日が来るとは思わなかった。
彼は、王族に仕える近衛騎士だ。そして、婚約者の私より護衛対象である王女を優先する。彼は、「王女殿下とは何も無い」と言うけれど、彼女の方はそうでもないみたいですよ?
婚約を解消しろ、と王女殿下にあまりに迫られるので──全て、手放すことにしました。
お幸せに、婚約者様。
私も私で、幸せになりますので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる