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3日後ー
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ピンポーン
「はい」
「あの、宮部です。」
「あー。糸埜。今出掛けててね。ちょっと、あがって待ってて」
「美佐埜さん」
「はい」
「先に、取材してもよろしいですか?」
「えーー。お茶だけにしよう」
「そうですね」
美佐埜さんは、そう、言って笑ってくれた。
「ミルクティー飲める?」
「はい」
「私ね、大好きなの」
お弟子さんが、ミルクティーを2つ渡してくれた。
「乾杯」
「乾杯」
美佐埜さんは、ニコッと微笑んだ。
「宮部さんは、まだ宝珠が好き?」
「バレてますか?」
「目が、腫れてるから」
「毎日、泣いてます」
カラカラとストローで、ミルクティーをかき混ぜる。
「もう、暑いね。」
「そうですね」
「私も、縁を切ったのに亮の事思い出すのよ。写真が、あるから」
「辛いですか?」
「そうね、辛い。でも、自分で決めた事だからね。」
「そうですよね。私も、そうです。」
「三日月宝珠を好きだった事実があれば、充分?」
「そうですね」
私は、美佐埜さんに笑いかけた。
「はい、ハンカチ」
「泣いてましたね」
私は、涙を拭った。
「気づいたら、泣いてるのよね。私もだから、わかるよ。」
「愛していましたから、短かったけど。ハッキリと、そう感じました。」
「そうやね!長さやないよね」
美佐埜さんも、涙を拭っている。
「ハンカチは、何枚ですか?」
「基本的に、4枚は持ってる。」
「凄いですね!」
「みんな、泣くから…。三日月のものと話したら…」
「そうですよね。わかります」
「雑誌、一番に見ていい?」
「はい、どうぞ」
私は、美佐埜さんに雑誌を渡した。
「どれどれ」
美佐埜さんは、雑誌を捲る。
.
.
.
雑誌の一部、中身。↓
【お守りは、対象者を守るためのものだった。ついになる鏡(きょう)神社の呪いから守るために…。桜の季節にしか出会えない神社に導かれていたという。【恋喰愛喰巫女】と書かれたお守りをけしてなくしてはいけない。必ず持ち歩くことで守られるという。三つのルールを守ったものに、呪いが発動する仕組みだった。お守りをきちんと持っていれば防げた出来事だった。そこで、けしてお願いをしてはいけない。そこの、桜の木の下を通ってはいけない。そこで、恋愛の願いをかけてはいけない。それは、もう過去のお話。もしも、あなたが桜の季節にその神社に辿り着いたならお願い事をしてお守りを買って帰って欲しい。そこにいるのは、心優しい一族だから…。終】
美佐埜さんは、雑誌を閉じた。
「よく、かけてるね。」
「はい」
「次は、糸埜の話を書くの?」
「はい」
「三日月の話を書いてもらえるのは、嬉しいわ」
「本当ですか?オカルト雑誌ですよ。」
「それでも、嬉しい」
美佐埜さんは、ニコニコ笑った。
「もう、そろそろ帰ってくるかな?庭に寄ってからだと思うから、ちょっと外に出ない?」
「はい」
私は、美佐埜さんに連れられて庭に出た。
「凄い、庭ですね」
「師匠が好きだったのよ。あんな人だけどね。花や木は、大好きだったの」
「素敵ですね」
「あの人も、子宝に恵まれてたらあんな人間になっていなかったと思うの。追い詰められていたんだと思う」
「師匠さんですか?」
「そう」
美佐埜さんは、お花を撫でている。
「姉さん」
糸埜さんの声がした。
「宮部さん、いらっしゃいませ」
「はい」
「お帰り、先に雑誌読んだよ。」
三日月さん…………。
「宮部さん、どうかされましたか?」
「あっ、いえ」
「こちら、初めてでしたね」
「初めまして…………。」
私は、その人に引き寄せられた。
彼だけに、スポットライトが当たった。
何も、耳に入らなくて、聞こえなくて、こんな気持ちは不思議だった。
三日月さん…………。
私は、三日月宝珠が好きでした。
まるで、最初から出会うのが決まっていたみたいな、そんな日だった。
この日を、私はずっと忘れない。
「はい」
「あの、宮部です。」
「あー。糸埜。今出掛けててね。ちょっと、あがって待ってて」
「美佐埜さん」
「はい」
「先に、取材してもよろしいですか?」
「えーー。お茶だけにしよう」
「そうですね」
美佐埜さんは、そう、言って笑ってくれた。
「ミルクティー飲める?」
「はい」
「私ね、大好きなの」
お弟子さんが、ミルクティーを2つ渡してくれた。
「乾杯」
「乾杯」
美佐埜さんは、ニコッと微笑んだ。
「宮部さんは、まだ宝珠が好き?」
「バレてますか?」
「目が、腫れてるから」
「毎日、泣いてます」
カラカラとストローで、ミルクティーをかき混ぜる。
「もう、暑いね。」
「そうですね」
「私も、縁を切ったのに亮の事思い出すのよ。写真が、あるから」
「辛いですか?」
「そうね、辛い。でも、自分で決めた事だからね。」
「そうですよね。私も、そうです。」
「三日月宝珠を好きだった事実があれば、充分?」
「そうですね」
私は、美佐埜さんに笑いかけた。
「はい、ハンカチ」
「泣いてましたね」
私は、涙を拭った。
「気づいたら、泣いてるのよね。私もだから、わかるよ。」
「愛していましたから、短かったけど。ハッキリと、そう感じました。」
「そうやね!長さやないよね」
美佐埜さんも、涙を拭っている。
「ハンカチは、何枚ですか?」
「基本的に、4枚は持ってる。」
「凄いですね!」
「みんな、泣くから…。三日月のものと話したら…」
「そうですよね。わかります」
「雑誌、一番に見ていい?」
「はい、どうぞ」
私は、美佐埜さんに雑誌を渡した。
「どれどれ」
美佐埜さんは、雑誌を捲る。
.
.
.
雑誌の一部、中身。↓
【お守りは、対象者を守るためのものだった。ついになる鏡(きょう)神社の呪いから守るために…。桜の季節にしか出会えない神社に導かれていたという。【恋喰愛喰巫女】と書かれたお守りをけしてなくしてはいけない。必ず持ち歩くことで守られるという。三つのルールを守ったものに、呪いが発動する仕組みだった。お守りをきちんと持っていれば防げた出来事だった。そこで、けしてお願いをしてはいけない。そこの、桜の木の下を通ってはいけない。そこで、恋愛の願いをかけてはいけない。それは、もう過去のお話。もしも、あなたが桜の季節にその神社に辿り着いたならお願い事をしてお守りを買って帰って欲しい。そこにいるのは、心優しい一族だから…。終】
美佐埜さんは、雑誌を閉じた。
「よく、かけてるね。」
「はい」
「次は、糸埜の話を書くの?」
「はい」
「三日月の話を書いてもらえるのは、嬉しいわ」
「本当ですか?オカルト雑誌ですよ。」
「それでも、嬉しい」
美佐埜さんは、ニコニコ笑った。
「もう、そろそろ帰ってくるかな?庭に寄ってからだと思うから、ちょっと外に出ない?」
「はい」
私は、美佐埜さんに連れられて庭に出た。
「凄い、庭ですね」
「師匠が好きだったのよ。あんな人だけどね。花や木は、大好きだったの」
「素敵ですね」
「あの人も、子宝に恵まれてたらあんな人間になっていなかったと思うの。追い詰められていたんだと思う」
「師匠さんですか?」
「そう」
美佐埜さんは、お花を撫でている。
「姉さん」
糸埜さんの声がした。
「宮部さん、いらっしゃいませ」
「はい」
「お帰り、先に雑誌読んだよ。」
三日月さん…………。
「宮部さん、どうかされましたか?」
「あっ、いえ」
「こちら、初めてでしたね」
「初めまして…………。」
私は、その人に引き寄せられた。
彼だけに、スポットライトが当たった。
何も、耳に入らなくて、聞こえなくて、こんな気持ちは不思議だった。
三日月さん…………。
私は、三日月宝珠が好きでした。
まるで、最初から出会うのが決まっていたみたいな、そんな日だった。
この日を、私はずっと忘れない。
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