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エピローグ

あれからの日々…

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私は、あの日から7日間家にほぼ缶詰状態で記事を書き上げた。

「おはようございます。」

「宮部、顔ヤバイな」

「だって、頑張ったんですよ」

「いい記事だな!連載にしていこう」

「ありがとうございます。」

私は、編集長に頭を下げた。

「あのさ、宮部」

「何ですか?先輩」

「私小説の話」

「はい」

「大海さん、意識不明で入院中だからなしだわ!電話したら、奥さんに言われた」

「そうですか、わかりました。」

「ただ、神社の話は、もう少し詳しく調べて欲しいってさ!編集長が言ってた。」

「わかりました。」

私は、編集部を出て糸埜さんに会いに行く。

「やっぱり、ないんだ。」

神社は、もうなかった。

三日月家に、むかった。

ピンポーン

「はい」

「あの、宮部です。」

凄い、お屋敷だった。

「宮部さん、お久しぶりですね」

糸埜さんが、現れた。

「あの、神社はもうなかったです。」

「ないのではなくて、見えなくなっただけですよ。一緒に行けば入れますよ。行きますか?」

私は、首を横に振った。

「宝珠に会うのが、怖いですか?」

「はい」

「記憶は、もどっていないままですからね。無理もないです。」

「皆さんとは、仲良くやられているんですか?」

「案内人と仲良くやっていますよ。」

「喜与恵さんは、人間に戻ったのですよね?」

「はい、来月には神社を出なければいけないようです。喜与恵も宝珠も、能力がないただの人間(ひと)ですから…。」

「どうするのですか?お二人は」

「暫くは、宝珠が住んでいたマンションに行く予定ですよ。引っ越したら、行きますか?」

「遠慮しておきます。」

「そうですか…」

糸埜さんは、少しだけ目を伏せた。

「立ち話も何ですので、お茶でも飲んで下さい。」

「いいのですか?」

「はい、どうぞ」

「失礼します。」

私は、三日月のお屋敷にあげてもらった。

「どうぞ」

応接室のような場所に通された。

「お茶をお願いします。」

「かしこまりました。」

お弟子さんが、出ていった。

「あの、3日後。発売するんです。雑誌」

「あー。記事になったのですね」

「はい、それであの神社のお話を詳しく知りたくて、三日月さんに聞く予定だったので…。」

「わかりました。」

糸埜さんから、私は話を聞いた。

それをボイスレコーダーにとる。

「失礼します」

お茶とお茶菓子が置かれた。

「失礼しました。」

お弟子さんが、出ていった。

「三日月の人は、みんな羊羮が好きなんですよ。糖分が、いりますから…ハハハ」

糸埜さんは、そう言って笑った。

「あの、大海力は意識不明で入院中だそうです。」

「本体は、どこを漂っているのでしょうか?それとも、師匠が抹消してしまったのでしょうかね?」

「わかりません。三日月さんなら、見つけられますか?」

「かも、知れませんね」

糸埜さんは、遠くを見つめていた。

「3日後、雑誌を持ってくるので取材をさせていただけませんか?」

「構いませんよ」

「それなら、よかったです。」

「宮部さん、たくさん泣いたのですね。」

「バレてますか?」

「目が、腫れていますから…。」

「すみません」

「いえ、私は気にしてないですよ。ただ、思い出してくれた方が嬉しいですよね。例え、結ばれなくても相手の中に自分がいた。それだけで、嬉しいですよね。」

糸埜さんは、そう言って寂しそうに笑った。

「同じ気持ちだった日が、一度でもあった。その事実だけで救われる事もありますね。いただきます」

私は、羊羮を食べて笑った。

「そうですね。宝珠が、思い出してくれればいいのですがね。」

「生きているだけで、充分です。それ以上、望むとバチがあたりますよ。ごちそうさまでした。」

「それも、そうですね」

「はい、では帰りますね」

「はい、また3日後。お待ちしています。」

「失礼します。」

「お気をつけて」

私は、糸埜さんに手を振って、三日月家をあとにした。


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