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祈り……
いってらっしゃい
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【タイムリミットは、15分です。わかっていますね。】
『それを過ぎれば、世の中が動き出す。』
【はい、この雷雨が静まれば全て終わりです。礼珠(れいじゅ)、怖くはありませんか?】
三日月さんのお父さんは、首を横に振った。
『私は、息子の為に修行をつんできました。いつか、息子の代わりに鍵になる為に…。あの日、死んでよかった。生きていたら、代わってやれなかった。』
そう言って、笑った。
『礼珠、またいつか会おう』
『億珠(おくじゅ)さん、美琴に愛していたと伝えてください。』
『頑張れよ。礼珠』
『美条(びじょう)さん、ありがとう』
『また、いつか封印をといてやるからな』
『念珠(ねんじゅ)さん、私には向こうに可愛い息子がいるから大丈夫ですよ。』
『豊澄を頼むぞ』
『任せてください。』
三日月さんのお父さんは、頭を下げる。
「礼珠さん、豊澄をよろしくお願いします。」
『広大(ごうだい)、わかってるよ。』
「あいつ、寂しがり屋やから、ほんまにお願いします。」
『わかってるよ。心配しなくても、大丈夫。私が、守るから。豊澄を…。』
「おおきに」
広大さんは、ニコっと笑った。
『礼珠さん、いつかまた会いましょう』
『二条、戻ってきたら宝珠をよろしく頼むよ』
『はい』
三日月さんのお父さんは、さっきの場所に立つ。
【それでは、15分です。糸埜(いとの)、タイマーをセットしなさい】
糸埜さんは、タイマーを15分にセットした。
【礼珠、気をつけて】
ビカッ……真っ白な閃光に包まれた。
ドドーン、ドドーン、ドドーン
ザァー、ザァー、ザァー
眩しくて、目を閉じていた。
目を開けると、三日月さんのお父さんはいなくなっていた。
【皆、祈りを捧げなさい】
そういうと、天野神(あまのかみ)さんは、光の糸を足らす。
私達の腕に、絡み付いた。
【母上、連れてきました。】
三日月さんの肉体を、雨の中、神社の主(かみ)が連れてきた。
『かーらからーのホイホイ、ホイホイ』
三日月さんの使い魔が現れた。
【今から、悪しきものが、やってきます。封印が、成功していないからです。使い魔が、宝珠の肉体を守ります。宮部さんと美佐埜(みさの)は、一緒に中にいなさい。】
「「はい」」
私と美佐埜さんは、中に入る。
【喜与恵(きよえ)】
「はい」
【糸埜(いとの)】
「はい」
【五条】
「はい」
悪しきものに、黒き剣を刺すのです。
ガチャン、ガチャンと剣が三人の前に落ちてくる。
【他のものは、祈りなさい。わかりましたね。】
『「はい」』
皆さんの、声が響く。
ビカッ………
ドドーン
【来ます】
天野神(あまのかみ)さんは、エネルギーを送っている。
『ハハハ、三日月宝珠の肉を喰らいたい。』
『喰らいたい、喰らいたい』
鬼のような姿をしたものが、現れた。
「はっ、はー。」
ダンッ……
糸埜さんが、切りつけた。
『うわぁぁあああぁぁあぁぁ』
物凄い叫び声で、消えた。
ボタボタと真っ黒なおびただしい血が、透明なベールにかかる。
この結界に、全員が守られているのがわかった。
『宝珠、宝珠、愛しい宝珠』
顔が、どろどろに溶けた女の人がやってきた。
「はー、はっ、はっ」
五条さんが、切りつける。
『ぬぎゃぁぁぁぁぁぁぁ』
ボタボタとまた黒い血が降り注ぐ。
切っても、切っても、現れてくる。
『宝珠、宝珠、うまそうだな』
口の大きな男が、現れた。
「はぁー、はっ、はっ!」
案内人さんが、切りつけた。
『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
ボタボタとまた血が降ってくる。
きりがない。
『宝珠、宝珠、宝珠』
ダンッ……ボタボタ…
永遠とそれを繰り返していく。
三日月さんは、ピクリともしない。
どうか、三日月さんが帰ってきますように…。
私も、祈りを捧げる。
ダンッ……ボトボト…。
頭上では、ずっとそれが続けられている。
『それを過ぎれば、世の中が動き出す。』
【はい、この雷雨が静まれば全て終わりです。礼珠(れいじゅ)、怖くはありませんか?】
三日月さんのお父さんは、首を横に振った。
『私は、息子の為に修行をつんできました。いつか、息子の代わりに鍵になる為に…。あの日、死んでよかった。生きていたら、代わってやれなかった。』
そう言って、笑った。
『礼珠、またいつか会おう』
『億珠(おくじゅ)さん、美琴に愛していたと伝えてください。』
『頑張れよ。礼珠』
『美条(びじょう)さん、ありがとう』
『また、いつか封印をといてやるからな』
『念珠(ねんじゅ)さん、私には向こうに可愛い息子がいるから大丈夫ですよ。』
『豊澄を頼むぞ』
『任せてください。』
三日月さんのお父さんは、頭を下げる。
「礼珠さん、豊澄をよろしくお願いします。」
『広大(ごうだい)、わかってるよ。』
「あいつ、寂しがり屋やから、ほんまにお願いします。」
『わかってるよ。心配しなくても、大丈夫。私が、守るから。豊澄を…。』
「おおきに」
広大さんは、ニコっと笑った。
『礼珠さん、いつかまた会いましょう』
『二条、戻ってきたら宝珠をよろしく頼むよ』
『はい』
三日月さんのお父さんは、さっきの場所に立つ。
【それでは、15分です。糸埜(いとの)、タイマーをセットしなさい】
糸埜さんは、タイマーを15分にセットした。
【礼珠、気をつけて】
ビカッ……真っ白な閃光に包まれた。
ドドーン、ドドーン、ドドーン
ザァー、ザァー、ザァー
眩しくて、目を閉じていた。
目を開けると、三日月さんのお父さんはいなくなっていた。
【皆、祈りを捧げなさい】
そういうと、天野神(あまのかみ)さんは、光の糸を足らす。
私達の腕に、絡み付いた。
【母上、連れてきました。】
三日月さんの肉体を、雨の中、神社の主(かみ)が連れてきた。
『かーらからーのホイホイ、ホイホイ』
三日月さんの使い魔が現れた。
【今から、悪しきものが、やってきます。封印が、成功していないからです。使い魔が、宝珠の肉体を守ります。宮部さんと美佐埜(みさの)は、一緒に中にいなさい。】
「「はい」」
私と美佐埜さんは、中に入る。
【喜与恵(きよえ)】
「はい」
【糸埜(いとの)】
「はい」
【五条】
「はい」
悪しきものに、黒き剣を刺すのです。
ガチャン、ガチャンと剣が三人の前に落ちてくる。
【他のものは、祈りなさい。わかりましたね。】
『「はい」』
皆さんの、声が響く。
ビカッ………
ドドーン
【来ます】
天野神(あまのかみ)さんは、エネルギーを送っている。
『ハハハ、三日月宝珠の肉を喰らいたい。』
『喰らいたい、喰らいたい』
鬼のような姿をしたものが、現れた。
「はっ、はー。」
ダンッ……
糸埜さんが、切りつけた。
『うわぁぁあああぁぁあぁぁ』
物凄い叫び声で、消えた。
ボタボタと真っ黒なおびただしい血が、透明なベールにかかる。
この結界に、全員が守られているのがわかった。
『宝珠、宝珠、愛しい宝珠』
顔が、どろどろに溶けた女の人がやってきた。
「はー、はっ、はっ」
五条さんが、切りつける。
『ぬぎゃぁぁぁぁぁぁぁ』
ボタボタとまた黒い血が降り注ぐ。
切っても、切っても、現れてくる。
『宝珠、宝珠、うまそうだな』
口の大きな男が、現れた。
「はぁー、はっ、はっ!」
案内人さんが、切りつけた。
『うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
ボタボタとまた血が降ってくる。
きりがない。
『宝珠、宝珠、宝珠』
ダンッ……ボタボタ…
永遠とそれを繰り返していく。
三日月さんは、ピクリともしない。
どうか、三日月さんが帰ってきますように…。
私も、祈りを捧げる。
ダンッ……ボトボト…。
頭上では、ずっとそれが続けられている。
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