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封印、抹消の戦い

弱い心

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『美琴は、お前が大嫌いだった』

『うるさい』

『お前が、気持ち悪くて怖くて、毎日、毎日、私に相談した』

『うるさい、黙れ』

『お前を愛していくのは無理だと言った』

『黙れ、黙れ』

『そしたら、お前の親父までもが、お前を嫌いだと言った』

『うるさい、うるさい』

『お前を殺してくれと二人から毎日懇願された』

『黙れ、黙れ、黙れ』

師匠は、私の弱い心根を揺さぶり始める。

『私は、お前を育てる事にした。お前が生きてるのは、私のお陰だ!わかるだろ?宝珠』

『あんたは、私を育てただけだ。暴言をはいたり、殴ったではないか』

『45歳まで、生きれた分際でよくそんな事が言えるな』

【目を合わせては、なりませぬ】

私は、師匠と目を合わせてしまった。

『喜与恵(きよえ)と添い遂げようとしたか…お前は、相変わらず気色悪い事しか考えていない脳みそだな』

ドンッ……

『いっ…』

腹を蹴りあげられた。

『ハハハハハハハハハハ、手を出せないだろ?宝珠』

【一発で仕留めるのです。ただし、ルールがあります。手を出すのは仕留める時のみです。それ以外で、出してしまえば抹消は不可能です。】

『ふざけるな』

『口だけは、いっちょまえになったか』

グサッ……

『あー、あぁぁぁぁぁ』

掌を刺された。

『あんたは、いつだって私を傷つける事を楽しんだ』

『それが、何が悪い』

ガンガンと髪を掴まれて、床に頭を叩きつけられる。

『あんたは、私を好きな時などなかった』

『そうだな!大嫌いだったよ』

心臓に手を入れられて、握りつぶされる。

『ぁぁああああああ、うっ、うっ』

『威勢がいいのもこれまでか』

『うわぁーーー。』

手を抜かれた。

ボタボタと口から、出血する。

『私を倒す為に、化け物になったか』

ベロンと私の血を舐めた。


『はぁ、はぁ、はぁ』

『魂は、何をされても痛みを感じないと思っていたか?』

私は、首を横に振った。

『そうだよなーー。お前は知ってるよな!二条の痛みも、柊真琴の痛みも…。ハッハッハ』

師匠は、楽しそうに笑っている。

『あなたは、何がしたいのですか?私だけを殺せばいいではなないか』

『それは、何が楽しい?お前が、ノタウチ回ったあの日、身体中から快感が走ったよ。あー。こいつをいじめてやりたい!切り刻んでやったら、幸せだと思った。お前には、絶望がお似合いだ』

涙が流れてくる。

【宝珠、気持ちを建て直すのです。】

師匠を嫌いになりたくなかった。

【宝珠、負けてはなりませぬ】

心根を引っこ抜かれてしまう。

『何度も何度も苦しめるのに、お前は幽体に幸せにされて』

『『やめろーー』』

五木結斗と二条さんが、師匠の首を締める。

バンッ……

師匠は、懐にしまっていた拳銃で成木さんのお腹を撃った。

ボトボトと血を流す。

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

五木結斗と二条さんが叫んだ。

『二人を殺されたくなかったら、まだ話を聞くよな?宝珠』

『は、はい。聞きます』

『だってさ!よかったな。あの方は、死人でも喜んでくれるから私はどっちでもよかったからな!宝珠』

バンッ………

『いっだぁぁぁぁぁ』

私は、太ももを撃たれて、その場でノタウチ回る。

『それは、どこから?』

『カエちゃんの入れ墨にあったんだよ。宝珠君』

『どこまでも、卑怯ですね』

『そっちだって、あっちに何千って兵士がいるだろ?お前だけが、こんな風にされて、皆はお人形さんでな』

師匠は、そう言って笑った。

『人形に悪さをすると、私も偉い目にあうだろ?だから、宝珠を痛め付けるしかないんだ。わかるだろ?』

『あんたは、どこまでも卑怯だよ。昔から、ずっとあんたは!』

『だから、なんだ?それで、お前の弱さを隠せるか?死にたくなかったら、最後まで話を聞けよ』

頭に銃を押し付けられる。

幽体でありながら、手が震える。

昔の、弱い自分が戻ってくる。

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