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準備と残り時間…

まだ、生きてる

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『これ、ちょうだい』

女の子は、糸埜(いとの)さんに数珠のネックレスをもらう。

『はい』

「ホンマにいけるん?」

「どうなってるのですか、礼珠さん」

やっぱり、三日月さんのお父さんだった。

その人は、数珠を握りしめると

手の中に、数珠から、血を抜き取った。

【見えぬのと死んだのは、違う事だ。】

そう言って、三日月さん、案内人さん、真理亜さんがいた場所にその血を降り注いだ。

「宝珠(ほうじゅ)、喜与恵(きよえ)、真理亜さん」

三人が、浮かび上がった。

【えー、まー。呼べるな!奴を、繋がれておるけど】

『はい、はーい。行ってきまーす。』

彼女達は、消えた。

【虎珠(とらじゅ)、五木結斗の血を持ってこい。私は、戻らねばならぬ。糸埜】

「はい」

【宝珠のつけてる数珠のネックレスを渡してくれ】

「はい」

さっきの数珠のネックレスの血を三日月さんがつけていた数珠にうつしかえる。

【先も、ずっと青き血と黒き血が宝珠を守る。】

そう言って、ネックレスを返す。

【また、時間がある時に会おう】

そう言って、三日月さんのお父さんは消えてしまった。

『礼珠(れいじゅ)は、今もまだ修行をつんどるとは聞いていたが』

『かなり、強くなったな』 

『息子を守れる父になりたいと言ってたからな』

そう言って三人は、三日月さんのお父さんが消えた先を見つめている。

『連れてきました。』

「に、二条、何故です」

『時間がない。始めるよ』

『持って参りました。五木結斗の血です。こちらをお使い下さい』

「虎珠さん」

『幽体でも、手首を切れるナイフです。では、私は檻に戻ります。』

二条さんと呼ばれたその人は、五木結斗の血を三人にかける。

『始めます。』

そう言うと自分の手首を切りつけた。

ポタポタと三人に、その血が降り注いでいく。

『黒き血を分け与えられた子よ。そなたの真の力を引き出す時がきました。三日月宝珠(みかづきほうじゅ)の幽体抹消の契約を無効にします。』

【やはり、きたか!!二条】

『こんな契約は、無効です。』

【そうだな。まだ、12時だからな。】

その声の主は、ハッハハと笑った。

『黒き血は、神の使い。変わらぬ使いをやりとげる為に、今この場所にて再び生を受けとる事となった。』

真理亜さん、三日月さん、案内人さんは、さらに色が濃くなる。

【やりすぎですよ。黒宮(くろみや)】

キラキラと輝く綺麗な女の人が、降りてきた。

【ハッハハ、幽体に体を貸したからだ。しかし、今回は契約を守っていたのは全て見ていた。母よ。そなたに、全てを託します。】

【わかりました。黒宮(くろみや)。二度目は、ありませんよ】

【はい】

【下がりなさい】

【はい】

黒宮と呼ばれる方は消えていた。

その人は、三人の前に立った。

【二条、よく頑張りました。戻りなさい】

『はい』

「二条…。」

糸埜さんは、泣いている。

【黒き能力者としての全てを真っ当してから死になさい。宝珠、万珠(まんじゅ)を止めるのは、そなたの役目です。それから、あの子と交わした約束も守らねばなりませぬよ。そして、喜与恵、真理亜。宝珠が生きる世で宝珠を支えるのは、そなた達の役目です。自分の役割を真っ当せずに、死ぬ事は許されませぬよ。】

ビカッと稲光りが走った。

ドーンと音が、響き。

黄金色の閃光に包まれて、一瞬何も見えなくなってしまった。

どうなったのか、わからなかった。

ただ、三日月さんがいた事が嬉しくて、嬉しくて、私は三日月さんの肉体を泣きながら抱き締めていた。

【そなたが、やらねばならぬのですよ。三日月宝珠(みかづきほうじゅ)】

ドドーンと雷の音と閃光がまた闇夜を包んだ。



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