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準備と残り時間…
肉体返還まで、残り6時間…
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「それでは、私達は一旦帰宅します。明日の朝、5時30分に来ますのでよろしくお願い致します。」
「わかりました。」
弟子達は、帰宅した。
「私は、夕食の準備をしてきます。」
喜与恵(きよえ)は、そう言って行ってしまった。
「ほら、またやんか。」
「どれですか?」
糸埜(いとの)は、広大(ごうだい)さんに近づく。
「何か、変やろ?音」
「本当ですね。」
「鈴足りんなるやろか?」
「どうでしょうか?後で、喜与恵に聞いてみます。」
私は、それを見ていた。
まだ、三日月の家に居た頃、よく皆でこれを作り上げた。
あの鈴を…。
「宝珠、どうかな?」
「何か、変な音だよ」
「二条、これは?」
「かけてる。」
これは、命を守るもの…。
だから、失敗は許されない。
念珠(ねんじゅ)さんや、美条(びじょう)さんや師匠の為に、三人で作った。
夏休みになったら、豊澄(とよす)
も一緒にやった。
込み上げてくる涙を、押さえられなかった。
「懐かしいか?」
『目が合ったから、読まれたか。』
「すまん。さっき、人形に血をうつしたからonになったままだった。」
『別に、構わないよ。賀珠(かじゅ)』
賀珠は、私を見つめる。
「いけない能力だってわかってる。目を見つめて相手の記憶を取り込める。そんなの駄目だってわかってる。でも、ガキの頃は今より切り替えが出来なくてみんなの記憶が流れてきた。宝珠もそうだっただろ?」
『あぁ、そうだった。』
「私もそうだった。だから、隣に居た親友の好きな子を平気で言った。何も言ってないのに、賀珠なに?って言われて私は、初めて口に出してはいけない能力だと知った。」
賀珠は、そう言いながら私を見つめる。
「いつしか、好きな相手に使うようになった。恋をして目を見つめる。興味がなければ、次に行く。そんな事を続けていくうちに、恋愛なんか楽しめなくなった。」
『だから、お見合いしたのか?』
「誰と一緒になっても、同じ事だとわかっていたから。目を見れば相手の事がわかる。普段はoffにしているが…。悪意のないこのメンバーといると気が緩んでonにしてしまってる。ダメな奴だな。」
私は、賀珠の腕を掴んだ。
『私が、いなくなった後。糸埜を支えであげて欲しい。』
「わかってる。今までだって、そうしてきたんだ。これからだって、そうするよ。」
『それと、私達から悪意を感じなくてよかったよ。』
「そうだな」
喜与恵が入ってきた。
「向こうで、宴会の準備が出来てます。皆さん、どうぞ」
皆は、喜与恵について出ていった。
『私は、ご飯は食べないから』
「じゃあ、また後で」
『あぁ』
皆が、出て行った。
『宝珠、辛いですね』
『真理亜、そっちは?』
『明日、また準備をするので』
『懐かしいね。豊澄(とよす)さんも思い出すかな?』
『どうだろうか?記憶はあるのだろうか?』
『さあね。宝珠は、どう思う?』
『記憶があって欲しいと思う』
私は、私の人形の顔を撫でる。
『それは、広大さんの為でしょ?』
『そうだと思う。やっぱり、お別れは必要だよ。』
『宮部さんとお別れがしたいの?』
『でも、戻ってくるかわからない。』
『信じてないの?』
真理亜の言葉に、私は外に出る。
『信じている。でも、その気持ちよりも冴草健斗の気持ちがわかる。もし、私が今、人に戻されて宮部さんと会えたら。私は、帰るのを躊躇う。だって、やっぱり』
『触(ふ)れ合っていたいからでしょ?』
真理亜は、私の手を握った。
『後、6時間だね』
『あぁ』
『帰ってこなこれば、永久抹消。』
『あぁ。』
『それなら、私も楽しんでいいよね』
『えっ?』
真理亜は、私にキスをする。
『皆が来たらどうするんだよ』
『大丈夫』
そう言って、真理亜は私の手を引っ張る。
『ここは、真理亜が休んでた部屋だろ?』
『いいでしょ。幽体になって、初めてなのだから…。ねっ?宝珠』
「お前は、誰だ?」
『えっ』
そう言って、扉が開いた。
「わかりました。」
弟子達は、帰宅した。
「私は、夕食の準備をしてきます。」
喜与恵(きよえ)は、そう言って行ってしまった。
「ほら、またやんか。」
「どれですか?」
糸埜(いとの)は、広大(ごうだい)さんに近づく。
「何か、変やろ?音」
「本当ですね。」
「鈴足りんなるやろか?」
「どうでしょうか?後で、喜与恵に聞いてみます。」
私は、それを見ていた。
まだ、三日月の家に居た頃、よく皆でこれを作り上げた。
あの鈴を…。
「宝珠、どうかな?」
「何か、変な音だよ」
「二条、これは?」
「かけてる。」
これは、命を守るもの…。
だから、失敗は許されない。
念珠(ねんじゅ)さんや、美条(びじょう)さんや師匠の為に、三人で作った。
夏休みになったら、豊澄(とよす)
も一緒にやった。
込み上げてくる涙を、押さえられなかった。
「懐かしいか?」
『目が合ったから、読まれたか。』
「すまん。さっき、人形に血をうつしたからonになったままだった。」
『別に、構わないよ。賀珠(かじゅ)』
賀珠は、私を見つめる。
「いけない能力だってわかってる。目を見つめて相手の記憶を取り込める。そんなの駄目だってわかってる。でも、ガキの頃は今より切り替えが出来なくてみんなの記憶が流れてきた。宝珠もそうだっただろ?」
『あぁ、そうだった。』
「私もそうだった。だから、隣に居た親友の好きな子を平気で言った。何も言ってないのに、賀珠なに?って言われて私は、初めて口に出してはいけない能力だと知った。」
賀珠は、そう言いながら私を見つめる。
「いつしか、好きな相手に使うようになった。恋をして目を見つめる。興味がなければ、次に行く。そんな事を続けていくうちに、恋愛なんか楽しめなくなった。」
『だから、お見合いしたのか?』
「誰と一緒になっても、同じ事だとわかっていたから。目を見れば相手の事がわかる。普段はoffにしているが…。悪意のないこのメンバーといると気が緩んでonにしてしまってる。ダメな奴だな。」
私は、賀珠の腕を掴んだ。
『私が、いなくなった後。糸埜を支えであげて欲しい。』
「わかってる。今までだって、そうしてきたんだ。これからだって、そうするよ。」
『それと、私達から悪意を感じなくてよかったよ。』
「そうだな」
喜与恵が入ってきた。
「向こうで、宴会の準備が出来てます。皆さん、どうぞ」
皆は、喜与恵について出ていった。
『私は、ご飯は食べないから』
「じゃあ、また後で」
『あぁ』
皆が、出て行った。
『宝珠、辛いですね』
『真理亜、そっちは?』
『明日、また準備をするので』
『懐かしいね。豊澄(とよす)さんも思い出すかな?』
『どうだろうか?記憶はあるのだろうか?』
『さあね。宝珠は、どう思う?』
『記憶があって欲しいと思う』
私は、私の人形の顔を撫でる。
『それは、広大さんの為でしょ?』
『そうだと思う。やっぱり、お別れは必要だよ。』
『宮部さんとお別れがしたいの?』
『でも、戻ってくるかわからない。』
『信じてないの?』
真理亜の言葉に、私は外に出る。
『信じている。でも、その気持ちよりも冴草健斗の気持ちがわかる。もし、私が今、人に戻されて宮部さんと会えたら。私は、帰るのを躊躇う。だって、やっぱり』
『触(ふ)れ合っていたいからでしょ?』
真理亜は、私の手を握った。
『後、6時間だね』
『あぁ』
『帰ってこなこれば、永久抹消。』
『あぁ。』
『それなら、私も楽しんでいいよね』
『えっ?』
真理亜は、私にキスをする。
『皆が来たらどうするんだよ』
『大丈夫』
そう言って、真理亜は私の手を引っ張る。
『ここは、真理亜が休んでた部屋だろ?』
『いいでしょ。幽体になって、初めてなのだから…。ねっ?宝珠』
「お前は、誰だ?」
『えっ』
そう言って、扉が開いた。
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