146 / 202
準備と残り時間…
肉体返還まで、残り7時間…
しおりを挟む
「さて、準備を始めましょう」
私は、喜与恵(きよえ)と皆のとこに行く。
「端を持っていてくれ。」
「はい」
賀珠(かじゅ)と糸埜(いとの)が、布を切っている。
黒、白、赤、青…。
その布で、私達の肉体を守る器を作るのだ。
「これ、変な音やないか?」
「何か、リンリンってよりジンジンって感じだな」
「交代やな」
広大さんと祐大さんは、鈴を、黒、白、赤、青の糸で繋げていく。
皆が、向こうに帰る時刻になるとこの鈴が鳴り響く。
そして、その音と共に皆は去り、私は、永久に封印の鍵となる。
「喜与恵、これでいいか?」
「どれどれ」
五条と喜与恵は、儀式の祝詞を作っている。
これは、すべての神社の言葉を混ぜた祝詞だ。
普通の神社のような祝詞ではない。
「ついたてをお持ちしました。」
三日月と千川の、弟子達も手伝いに来た。
「そっちだな。」
「この布を巻き付けていく。」
ついたてが、皆を守る器だ。
人間でいう肉体なのだ。
「ペンキをお持ちしました」
「ありがとう」
黒、白、赤、青のペンキがおかれる。
布の一番下に、四色をつかい魂を描(えが)くのだ。
これを、幽体は魂と勘違いする。
味方の幽体を守る為なのだ。
一人、一人が、自分の能力の色で魂を描(えが)く。
黒き能力者代表として、魂を描(えが)くのは糸埜だ。
「これですね」
妙にリアルな子供の人形がやってくる。
これが、皆の変わりをするのだ。
破壊されれば、死しかない。
だから、きちんとこれに自分の血を与えるのだ。
「宝珠さん」
「私には、いらぬよ。」
「お願いします。糸埜さんからの命(めい)を受けて持ってきた宝珠さんの人形(ひとがた)です。」
三日月のものとして、一人立ちした時に人形師の手によって作られる人形だ。
自らの顔で、型をとり、作り上げられる。
なので、自分の顔にそっくりなのだ。
『私は、死にゆく身だ。これに、守れるわけがない。』
「それでも、お願いします。」
人形(これ)は、自分達と同じ能力を一時的に持つのだ。
本体が、やられそうになる時。
これが、本体を守るのだ。
授けられた力によって…。
「明後日の夜中の2時でしたね。宝珠さん。」
『はい』
「宝珠さん、出来る限り生きて下さいね。」
『ありがとう』
「では、血を入れて下さい。」
『はい』
ギザギザの形をした刃物を渡される。これは、三日月の封印の儀式の時にも使われる。
「あっ、肉体が帰ってくるまで無理でした。すみません」
『ハハ、栄珠(えいじゅ)。構わないよ』
「すみませんでした。」
『あぁ、では用意を始めよう』
栄珠は、皆の場所に行った。
「祭壇の準備は、明日朝から夜中の12時までかけておこないます。」
祭壇は、朝の6時から組まれる。
引き裂いた布を手作業で、つけていくのだ。
特殊な祭壇である。
そこに、私達の人形が祭られる。
その前に、組まれるのがついたてで囲う魂の器だ。
黒、白、赤、青の布をつけたついたてで囲うのだ。
その器の真ん中に、真っ白な布が敷かれる。
その布に、一時間に一滴ずつ、戦うものの血を混ぜたペンキを落とすのだ。
私だけが、布の外にいる。
鈴の音の合図と共についたてを閉じる。
皆は、この神社に戻ってきて私は鍵になる。
ついたての周りを囲むのは、幽体だ。
念珠(ねんじゅ)さん、美条(びじょう)さん、億珠(おくじゅ)さん、真理亜、率いる幽体達が、私に力を与える。
あの方と巫女と喜与恵と虎珠(とらじゅ)さんと沙梨摩(さりま)さんは、私に遠隔で力を与える。
「宝珠、肉体が戻ればこれをつけてください。」
糸埜に、数珠を渡される。
『これは?』
「もしかすると、宝珠を守ってくれるかも知れません。先程、届きました。青き能力者の血の中に一日浸けていたものだそうです。私達も、こちらを今日の夜中の12時から明日の夜中の12時まで、皆の血に浸けておきます。」
そう言って、糸埜は透明の水晶の数珠のネックレスを掲げる。
『助けようとしなくていいんだよ。糸埜。助けられなかった時に苦しんで欲しくない。』
「それでも、私は、宝珠の為に一つでも多くの事をやります。できる限り生きる事を考えて下さい。これは、私から宝珠への命(めい)です。」
そう言って、糸埜は私の左の肩を三回叩いた。
これは、命令だよって合図だった。
私は、喜与恵(きよえ)と皆のとこに行く。
「端を持っていてくれ。」
「はい」
賀珠(かじゅ)と糸埜(いとの)が、布を切っている。
黒、白、赤、青…。
その布で、私達の肉体を守る器を作るのだ。
「これ、変な音やないか?」
「何か、リンリンってよりジンジンって感じだな」
「交代やな」
広大さんと祐大さんは、鈴を、黒、白、赤、青の糸で繋げていく。
皆が、向こうに帰る時刻になるとこの鈴が鳴り響く。
そして、その音と共に皆は去り、私は、永久に封印の鍵となる。
「喜与恵、これでいいか?」
「どれどれ」
五条と喜与恵は、儀式の祝詞を作っている。
これは、すべての神社の言葉を混ぜた祝詞だ。
普通の神社のような祝詞ではない。
「ついたてをお持ちしました。」
三日月と千川の、弟子達も手伝いに来た。
「そっちだな。」
「この布を巻き付けていく。」
ついたてが、皆を守る器だ。
人間でいう肉体なのだ。
「ペンキをお持ちしました」
「ありがとう」
黒、白、赤、青のペンキがおかれる。
布の一番下に、四色をつかい魂を描(えが)くのだ。
これを、幽体は魂と勘違いする。
味方の幽体を守る為なのだ。
一人、一人が、自分の能力の色で魂を描(えが)く。
黒き能力者代表として、魂を描(えが)くのは糸埜だ。
「これですね」
妙にリアルな子供の人形がやってくる。
これが、皆の変わりをするのだ。
破壊されれば、死しかない。
だから、きちんとこれに自分の血を与えるのだ。
「宝珠さん」
「私には、いらぬよ。」
「お願いします。糸埜さんからの命(めい)を受けて持ってきた宝珠さんの人形(ひとがた)です。」
三日月のものとして、一人立ちした時に人形師の手によって作られる人形だ。
自らの顔で、型をとり、作り上げられる。
なので、自分の顔にそっくりなのだ。
『私は、死にゆく身だ。これに、守れるわけがない。』
「それでも、お願いします。」
人形(これ)は、自分達と同じ能力を一時的に持つのだ。
本体が、やられそうになる時。
これが、本体を守るのだ。
授けられた力によって…。
「明後日の夜中の2時でしたね。宝珠さん。」
『はい』
「宝珠さん、出来る限り生きて下さいね。」
『ありがとう』
「では、血を入れて下さい。」
『はい』
ギザギザの形をした刃物を渡される。これは、三日月の封印の儀式の時にも使われる。
「あっ、肉体が帰ってくるまで無理でした。すみません」
『ハハ、栄珠(えいじゅ)。構わないよ』
「すみませんでした。」
『あぁ、では用意を始めよう』
栄珠は、皆の場所に行った。
「祭壇の準備は、明日朝から夜中の12時までかけておこないます。」
祭壇は、朝の6時から組まれる。
引き裂いた布を手作業で、つけていくのだ。
特殊な祭壇である。
そこに、私達の人形が祭られる。
その前に、組まれるのがついたてで囲う魂の器だ。
黒、白、赤、青の布をつけたついたてで囲うのだ。
その器の真ん中に、真っ白な布が敷かれる。
その布に、一時間に一滴ずつ、戦うものの血を混ぜたペンキを落とすのだ。
私だけが、布の外にいる。
鈴の音の合図と共についたてを閉じる。
皆は、この神社に戻ってきて私は鍵になる。
ついたての周りを囲むのは、幽体だ。
念珠(ねんじゅ)さん、美条(びじょう)さん、億珠(おくじゅ)さん、真理亜、率いる幽体達が、私に力を与える。
あの方と巫女と喜与恵と虎珠(とらじゅ)さんと沙梨摩(さりま)さんは、私に遠隔で力を与える。
「宝珠、肉体が戻ればこれをつけてください。」
糸埜に、数珠を渡される。
『これは?』
「もしかすると、宝珠を守ってくれるかも知れません。先程、届きました。青き能力者の血の中に一日浸けていたものだそうです。私達も、こちらを今日の夜中の12時から明日の夜中の12時まで、皆の血に浸けておきます。」
そう言って、糸埜は透明の水晶の数珠のネックレスを掲げる。
『助けようとしなくていいんだよ。糸埜。助けられなかった時に苦しんで欲しくない。』
「それでも、私は、宝珠の為に一つでも多くの事をやります。できる限り生きる事を考えて下さい。これは、私から宝珠への命(めい)です。」
そう言って、糸埜は私の左の肩を三回叩いた。
これは、命令だよって合図だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
転生して異世界の第7王子に生まれ変わったが、魔力が0で無能者と言われ、僻地に追放されたので自由に生きる。
黒ハット
ファンタジー
ヤクザだった大宅宗一35歳は死んで記憶を持ったまま異世界の第7王子に転生する。魔力が0で魔法を使えないので、無能者と言われて王族の籍を抜かれ僻地の領主に追放される。魔法を使える事が分かって2回目の人生は前世の知識と魔法を使って領地を発展させながら自由に生きるつもりだったが、波乱万丈の人生を送る事になる
傭兵を雇う傭兵、報酬は美味い食事にフカフカのベッド、不遇の製作魔法から始める下剋上
まったりー
ファンタジー
とある多人数戦闘ゲームを楽しんでいた主人公は、その大会があるという事で出場しました。しかしその大会は実は異世界に行くための選抜で、トップ10入りしたプレイヤーは異世界に飛ばされてしまいます。
ステータスはそのままで、ゲームと同じ様に傭兵として戦う事になった主人公は、製作魔法を使う後衛者のままで戦う事を決めます。
北新地物語─まるで異世界のような不夜街で彼女が死んだわけ─
大杉巨樹
ミステリー
彼女がなぜ死ななければならなかったのか、物語は一つの心中事件を追う展開となります。
第1部では彼女が死んだ事件に涼平(りょうへい)が出くわすまでの出来事を、高級クラブの黒服となった涼平の経緯とともに、高級クラブという職場の生活を黒服目線で描きながら進んでいきます。
第2部では高級クラブのホステスである萌未(めぐみ)の目線を通して高級クラブの世界を描きながら、事件の真相を追っていきます。
第3部は解決編です。事件の真犯人が分かるとともに、北新地に関わる様々な人たちの群像劇ともなっています。
本作は黒服、ホステス、客という三者の立場で見える北新地の姿を描きながら、殺人事件の真相を追っていくミステリーとなっております。最終回まですでに書き終えており、なかなかリアルな高級クラブの世界を描き切れたのではないかと自負しております。お水エンターテインメント作品として楽しんでいただければ幸いです。
※本作品はフィクションです。実在する人物、団体、出来事とは関係ありません。
前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。
神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。
どうやら、食料事情がよくないらしい。
俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと!
そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。
これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。
しかし、それが意味するところは……。
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。
何度も死に戻りした悪役貴族〜自殺したらなんかストーリーが変わったんだが〜
琥珀のアリス
ファンタジー
悪役貴族であるルイス・ヴァレンタイン。彼にはある目的がある。
それは、永遠の眠りにつくこと。
ルイスはこれまで何度も死に戻りをしていた。
死因は様々だが、一つだけ変わらないことがあるとすれば、死ねば決まった年齢に戻るということ。
何度も生きては死んでを繰り返したルイスは、いつしか生きるのではなく死ぬことを目的として生きるようになった。
そして、一つ前の人生で、彼は何となくした自殺。
期待はしていなかったが、案の定ルイスはいつものように死に戻りをする。
「自殺もだめか。ならいつもみたいに好きなことやって死のう」
いつものように好きなことだけをやって死ぬことに決めたルイスだったが、何故か新たな人生はこれまでと違った。
婚約者を含めたルイスにとっての死神たちが、何故か彼のことを構ってくる。
「なんかおかしくね?」
これは、自殺したことでこれまでのストーリーから外れ、ルイスのことを気にかけてくる人たちと、永遠の死を手に入れるために生きる少年の物語。
☆第16回ファンタジー小説大賞に応募しました!応援していただけると嬉しいです!!
カクヨムにて、270万PV達成!
田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
田舎貴族であるユウマ-バルムンクは、十五歳を迎え王都にある貴族学校に通うことになった。
最強の師匠達に鍛えられ、田舎から出てきた彼は知らない。
自分の力が、王都にいる同世代の中で抜きん出ていることを。
そして、その価値観がずれているということも。
これは自分にとって普通の行動をしているのに、いつの間にかモテモテになったり、次々と降りかかる問題を平和?的に解決していく少年の学園無双物語である。
※ 極端なざまぁや寝取られはなしてす。
基本ほのぼのやラブコメ、時に戦闘などをします。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる