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準備と残り時間…

肉体返還まで、残り7時間…

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「さて、準備を始めましょう」

私は、喜与恵(きよえ)と皆のとこに行く。

「端を持っていてくれ。」

「はい」

賀珠(かじゅ)と糸埜(いとの)が、布を切っている。

黒、白、赤、青…。

その布で、私達の肉体を守る器を作るのだ。

「これ、変な音やないか?」

「何か、リンリンってよりジンジンって感じだな」

「交代やな」

広大さんと祐大さんは、鈴を、黒、白、赤、青の糸で繋げていく。

皆が、向こうに帰る時刻になるとこの鈴が鳴り響く。

そして、その音と共に皆は去り、私は、永久に封印の鍵となる。

「喜与恵、これでいいか?」

「どれどれ」

五条と喜与恵は、儀式の祝詞を作っている。

これは、すべての神社の言葉を混ぜた祝詞だ。

普通の神社のような祝詞ではない。

「ついたてをお持ちしました。」

三日月と千川の、弟子達も手伝いに来た。

「そっちだな。」

「この布を巻き付けていく。」

ついたてが、皆を守る器だ。

人間でいう肉体なのだ。

「ペンキをお持ちしました」

「ありがとう」

黒、白、赤、青のペンキがおかれる。

布の一番下に、四色をつかい魂を描(えが)くのだ。

これを、幽体は魂と勘違いする。

味方の幽体を守る為なのだ。

一人、一人が、自分の能力の色で魂を描(えが)く。

黒き能力者代表として、魂を描(えが)くのは糸埜だ。

「これですね」

妙にリアルな子供の人形がやってくる。

これが、皆の変わりをするのだ。

破壊されれば、死しかない。

だから、きちんとこれに自分の血を与えるのだ。

「宝珠さん」

「私には、いらぬよ。」

「お願いします。糸埜さんからの命(めい)を受けて持ってきた宝珠さんの人形(ひとがた)です。」

三日月のものとして、一人立ちした時に人形師の手によって作られる人形だ。

自らの顔で、型をとり、作り上げられる。

なので、自分の顔にそっくりなのだ。

『私は、死にゆく身だ。これに、守れるわけがない。』

「それでも、お願いします。」

人形(これ)は、自分達と同じ能力を一時的に持つのだ。

本体が、やられそうになる時。

これが、本体を守るのだ。

授けられた力によって…。

「明後日の夜中の2時でしたね。宝珠さん。」

『はい』

「宝珠さん、出来る限り生きて下さいね。」

『ありがとう』

「では、血を入れて下さい。」

『はい』

ギザギザの形をした刃物を渡される。これは、三日月の封印の儀式の時にも使われる。

「あっ、肉体が帰ってくるまで無理でした。すみません」

『ハハ、栄珠(えいじゅ)。構わないよ』

「すみませんでした。」

『あぁ、では用意を始めよう』

栄珠は、皆の場所に行った。

「祭壇の準備は、明日朝から夜中の12時までかけておこないます。」

祭壇は、朝の6時から組まれる。

引き裂いた布を手作業で、つけていくのだ。

特殊な祭壇である。

そこに、私達の人形が祭られる。

その前に、組まれるのがついたてで囲う魂の器だ。

黒、白、赤、青の布をつけたついたてで囲うのだ。

その器の真ん中に、真っ白な布が敷かれる。

その布に、一時間に一滴ずつ、戦うものの血を混ぜたペンキを落とすのだ。

私だけが、布の外にいる。

鈴の音の合図と共についたてを閉じる。

皆は、この神社に戻ってきて私は鍵になる。

ついたての周りを囲むのは、幽体だ。

念珠(ねんじゅ)さん、美条(びじょう)さん、億珠(おくじゅ)さん、真理亜、率いる幽体達が、私に力を与える。

あの方と巫女と喜与恵と虎珠(とらじゅ)さんと沙梨摩(さりま)さんは、私に遠隔で力を与える。

「宝珠、肉体が戻ればこれをつけてください。」

糸埜に、数珠を渡される。

『これは?』

「もしかすると、宝珠を守ってくれるかも知れません。先程、届きました。青き能力者の血の中に一日浸けていたものだそうです。私達も、こちらを今日の夜中の12時から明日の夜中の12時まで、皆の血に浸けておきます。」

そう言って、糸埜は透明の水晶の数珠のネックレスを掲げる。

『助けようとしなくていいんだよ。糸埜。助けられなかった時に苦しんで欲しくない。』

「それでも、私は、宝珠の為に一つでも多くの事をやります。できる限り生きる事を考えて下さい。これは、私から宝珠への命(めい)です。」

そう言って、糸埜は私の左の肩を三回叩いた。

これは、命令だよって合図だった。

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