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消せない気持ち…

やはり、好きなのだ

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その声に、皆が宮部さんを見つめていた。

宮部さんの声に、心が波打つ。

私は…やっぱり…

「あの、こんにちは」

「こんにちは」

「あの…」

宮部さんが、困っているのがわかった。

「宮部さん、こちらに来ていただけますか?」

近くで、話を聞いていた喜与恵(きよえ)が宮部さんを連れて行く。

「はい」

私は、その姿を見つめていた。やはり、私は宮部さんが好きなのだ。

「あんなほっそい縁やのに、よう惹かれあったね?」

広大(ごうだい)さんが、私を見つめて言った。

『悪いですか』

「誰も悪いなんかゆうてへんやん。あの子が察しがええんやなーって思って」

『そうですね。そのせいで、宮部さんを苦しめています。』

私の言葉に、祐大さんは私に近づいてきた。

私にしか聞こえないように話す。

「宮部さんは、宝珠を好きな事を後悔なんかしてなどいない。ただ、別の縁に会わなくてよかったな。」

『見えたのか?』

「ああ、見えた。でも、誰にも言わないでいてやるよ。」

『ありがとう』

「俺も、前世の縁にぶっつり断ち切られたからわかる。まさか、三日月のものと同じ感情(きもち)をもつなんてな。不思議なものだな」

祐大さんは、そう言って笑った。

「三日月のものは、苦しんだ事がないと思っていたのですか?」

賀珠(かじゅ)は、そう言って私達を見ていた。

「三日月は、本家やから。苦しめられる事は、少ないと思ってたよ。分家は、それだけ馬鹿にされる事も多かった。俺達が、向かったら三日月のもんやったらスマートやったのにと言われた事も何回もある。」

「そこにきて、師匠が弟を精神異常者にした。だから、許せなかったのですね。」

「賀珠、皆と話す時はoffにしなさい。」

糸埜(いとの)の言葉に、賀珠は目を伏せた。

「いいよ、別に…。知られてまずい事なら、考えないから…。」

「すみません。」

「別に、気にしてない。俺は、ただ大(だい)をあんな風にした。三日月万珠(みかづきまんじゅ)を許せないだけだ。」

『私がいなくならなければ、そんな事にはならなかった。祐大さん、今まですみませんでした。』

「宝珠、何故三日月を去ったのだ?」

その言葉に、糸埜が私を見つめていた。

『師匠のやり方が嫌いだった。幽体を抹消する考えが嫌いだった。だから、私は三日月を去りました。その後は、力の強い二条さんを師匠は連れていたようです。』

「宝珠、お前も苦しんでいたんだな。」

祐大さんは、私の手を掴んだ。

『私はずっと、三日月万珠(みかづきまんじゅ)が大嫌いでした。しかし、そんな事を言えるはずがありません。私にとっての家は、あそこでした。私を養ってくれたのは、紛れもなく万珠なのです。』

「宝珠」

糸埜と賀珠は、私を見つめていた。

『師匠は、私に何かあれば鍵になって死んでしまえと言いました。私は、死にたくなどなかった。二条さん、糸埜、豊澄。それだけでは、ありません。師匠以外の三日月のもの達と私は離れたくなどなかった。この世で、皆と一緒に生涯をまっとうして生きて行きたかった。しかし、師匠はそれを許してくれませんでした。』

「まさか、骨を喰らわされていたのか?」

祐大さんは、私からのビジョンを受け取り驚いていた。

「宝珠、本当ですか?」

『歴代の三日月のもの達の骨を砕いたものを飲むように言われていました。能力を強くする為だと…。骨を喰らえる期間は、僅か1ヶ月です。出来るだけ多くの骨を喰らえと言われました。万珠が、その砕いたものを持ってきて私は、薬のようにして飲みました。』

「まさか、それが修行だと言っていたのか?」

『はい。より強くなる修行だと言われました。私は、万珠に捨てられたくなくて死にたくなくて、必死でした。』

「師匠は、そんな酷い事を昔から共用していたのですね」

糸埜は、泣いていた。

『万珠もまた必死だったんだと思います。行く先々で、子がいない事を馬鹿にされていた。私を早く立派な能力者にして、馬鹿にしていた奴を見返したかったのだと思います。』

「宝珠、俺は三日月が嫌いだ。でも、お前が大(だい)と同じ事をされてきたのがわかった。だから、俺はお前に協力する。お前の為に、三日月万珠(みかづきまんじゅ)を抹消する」

私は、祐大さんの言葉に泣いていた。

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