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消せない気持ち…

信用させてみ?

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広大(ごうだい)さんは、私に近づいてきた。

「あんなぁー。宝珠(ほうじゅ)。あの方がゆうてたやろ?この苛立ちは、封印せなアカンって!」

そう言って、私の胸ぐらを掴んだ。

「お前が、豊澄(とよす)と仲良くしたから、死んだんや!それ、わかっとるんか?」

「やめろよ」

『大丈夫だから、五条』

私は、五条を止める。

「豊澄(とよす)は、僕にとって可愛い、可愛い。弟みたいな存在やった。それを、お前なんかと関わり続けたせいで殺されたんや!わかるか?お前にこの苦しみが、痛みが…」

私の胸ぐらを、広大さんはもう一度、掴んだ。

「50を回ったおっさんが、やることか?」

五条は、煙草に火をつける。

「53歳になったんやで!凄いやろ?」

「ふっ!アホらしいわ」

「酷いやんかー。まだまだ、若いんやで!わかっとるやろ?」

「まあ、確かに。能力が強くなるのに20年から30年って言うからな」

五条は、煙草を消した。

「僕らは、長生きやからね。基本的に、80オーバーは当たり前やから、見た目も若いから得してるわ。」

「まあな!」

広大さんは、涙を拭ってる。

「30年以上も前の話やめろやって思っとるんやろ?」

「別に」

「せやけど。許されへんねん。」

そう言って、広大さんは私を睨み付ける。

「16歳で、満月の家にきた僕に居場所なんかなかったんや。毎日、毎日、気色悪いおっさんの血を飲まされて。能力やなんやって言われて。毎日、吐き気がしとった。そんな、僕の味方は3つ下の豊澄だけやった。豊澄は、長期の休みになると黒き能力者の元に行った。帰宅すると宝珠の話をようしとった。」

五条は、広大さんの隣に立った。

「こんな能力なんて嫌やね。」

五条は、広大さんを見つめる。

「ある日、三日月万珠(みかづきまんじゅ)がやってきたんや。豊澄が、後二週間で19歳になる時やった。一緒に強い霊を倒しに行きたいって話やった。糸埜(いとの)は、まだ弱いし、二条は別の案件があって行かれへんって。豊澄は、能力も白き能力者の中で別格やったから構わへんって三珠(さんじゅ)さんが決めた。」

「それで?」

「電気がパチッてつくみたいに、万珠さんの記憶が入ってきたんや。宝珠の為やから、わかってくれって誰かに言ってた。気色悪いもん喰わせてた。豊澄も、宝珠のせいでなるんだよって。」

私は、広大さんを見つめる。

「よー。わからんけど。三珠さんに豊澄を行かさんといてくれって頼んだんや。せやけど、アカンって!聞いてくれんかった。」

「それで、そのまま鍵になったって聞かされたのか?」

「せや!行ってくるで!帰ったら豚まん食おなーって笑った豊澄が、三日後鍵になって死にましたやって。情けのうて涙が出たわ」

「辛かったな」

五条は、頭を撫でてる。

「子供達にも言われるんよ。おとんは、幽霊には許せ許せゆうて自分は何も許せてへんやんけってな。せやけど、許されへんねん。愛しき幽体やゆうてたくせに。三日月から逃げて。MOON先生とかゆうて突然TVに出てきて!僕は、こいつが、とんでもなく許されへん。だって、僕は必死で強くなったんやで。豊澄を鍵から解くためにも、必死で…」

広大さんは、目に手を当てて泣いてる。

『ちゃんと、豊澄も救って終わらせるから…。信じて欲しい。』

涙目で、私を睨み付ける。

「せやったら、信用させてみ!お前がゆう、愛しき幽体が肉体を返しにきたら、一旦保留にしといて手伝ってやるわ!もし、返してけーへんかったら。お前の事は信用せーへん。まぁ、永久抹消やから二度と会わへんけどな」

『わかった。今日の12時までに肉体が戻らなかったら信じなくていい。』

「それなら、約束や!」

『あぁ、約束』

ガシャン、ガシャンと白き鎖が繋がった。

「契約違反なら、抹消される時の痛みは1000倍やで!覚悟しときーや。宝珠」

「昼御飯の支度がととのいましたよ」

喜与恵(きよえ)の声に、広大さんは手を上げて歩きだした。

「もう、そんな時間か…。宝珠は、ここにいるか?」

「あぁ」

「じゃあ、またあとでな」

五条は、そう言って歩いて行った。

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