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三日月のもの達の集い
一番の能力者
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『実はな、虎珠(とらじゅ)に聞いたのだが、500年前は万珠(まんじゅ)が黒き能力者だったようだ。』
「えっ?それなら」
『破門にされた、あの方に…。』
「どうしてですか?」
『万珠は、傲慢で、強欲だった。自己の為には、何でもするが幽体の為には何もしない人間だった。勿論、金を貰わない仕事は一切しなかった。その為、何百人の人々が、死んだのだと言う。』
「それで、破門ですか」
『黒き能力者は、見返りを求めずに助けなければならぬという掟を破ったからだ。万珠にそれを教えたのが、鏡(きょう)神社の前の主だった。』
「どうして、あちらにいけたのですか?」
『宝珠(ほうじゅ)だよ』
私は、億珠(おくじゅ)さんを見つめる。
『幼き頃の宝珠は、自分の能力を全くコントロール出来なかった。あちらの封印も三歳の頃に破って行ってしまったのだ。それを、迎えに行ったのが万珠だった。』
「そして、向こうの主に話を聞いたのですね。」
『太古の昔、宝珠と二条の一番目の前世によって封印させられた。あれは、人が大好きだった。しかし、その気持ちがエスカレートして、人間を脅かしたり、穢(けが)れをつけたり、命を縮めたり、そんな振る舞いにこの神社の主が怒り、二条と宝珠に封印させた。それから、あれは黒き能力者を忌み嫌うようになっていったのだ。』
「その封印が、現世で解かれたのですね?」
『四つの能力者の最強の能力者が、産まれ落ち揃う年封印は解かれる。黒、白、赤、青、それぞれに最強の能力者が産まれたのだ。そして、40年前、この地で皆、合流した。』
「その時に、封印が解かれたのですね」
『幼き皆の血を万珠は、あれに飲ませた。そして、19歳の豊澄(とよす)をアレに喰わせた。』
「最後の十代の歳の肉体が一番の力になり、交代するって話しは本当だったのですが?伝説だとばかり」
億珠さんは、眉間に皺を寄せる。
『本当だ。アレは、豊澄だ。お前達に、豊澄が抹消出来るのか?』
「豊澄を支えてるのが、桜木、桜宮、師匠 水石の四名ですが。」
『呪い返しで、魂を喰らわせ続けている。その結果、強くなっている。そして、今日万珠は998体目の幽体を喰らった。後、二体だ。』
「1000体喰らえばとめられないですよね。」
『あの方を持ってしても無理だ。』
「1000体喰らう時に器と二条と五木結斗が必要なのですよね?」
『時間は、稼いでおるが二条は救えなかった。虎珠の檻もいつまで持つかわからぬ。ただ、明日は皆が集う。そんなひ弱な霊力で現れれば協力などせん。だから、皆やすみなさい。』
「わかりました。」
糸埜(いとの)の言葉に、億珠さんが消えた。
「明日は、力の強い能力者達がやってきます。なので、休んで下さい。」
「姉も戦わせるのですね。」
「美佐埜(みさの)さんは、独身で子がいません。霊力も強いです。なので、仕方ありません。朝一番に、巫女がお話すると思います。糸埜さんは気になさらずにお休みください。」
喜与恵は、布団を持ってきて敷いた。
糸埜は、泣きながら眠る。
『呪い返しの絵馬の血痕は、二条さんと私のですね。喜与恵』
「はい。なので、あの方がお守りを…。」
『呪い返しだとは、知りませんでした。お守りで、呪いから守っているのだとは思っていましたが…。』
「この神社の呪いは、かけるよりも返す方が数千倍の力を発揮すると聞いています。」
『それで、私も死んだのね。ほら、真理亜ってあったじゃない。ここに、来ていないのに…』
真理亜の言葉に、喜与恵が話す。
「おそらく、真理亜さん、二条さん、万条さん、豊澄(とよす)さん、礼珠さんなど、こちらに絵馬をかけていないものの絵馬をかけたのは、万珠さんだと思っています。」
『師匠が…』
「本当の事は、会って本人に聞きましょう。」
『私は、明日には向こうに戻ってくるわ。皆の力が必要でしょ?今日は、宝珠と眠りたい』
「では、私は」
『喜与恵も一緒に眠ろう』
私の肩に真理亜が頭を乗せ手を繋ぎ目を閉じる。
喜与恵も同じようにする。
私達三人は、座りながら眠った。
「えっ?それなら」
『破門にされた、あの方に…。』
「どうしてですか?」
『万珠は、傲慢で、強欲だった。自己の為には、何でもするが幽体の為には何もしない人間だった。勿論、金を貰わない仕事は一切しなかった。その為、何百人の人々が、死んだのだと言う。』
「それで、破門ですか」
『黒き能力者は、見返りを求めずに助けなければならぬという掟を破ったからだ。万珠にそれを教えたのが、鏡(きょう)神社の前の主だった。』
「どうして、あちらにいけたのですか?」
『宝珠(ほうじゅ)だよ』
私は、億珠(おくじゅ)さんを見つめる。
『幼き頃の宝珠は、自分の能力を全くコントロール出来なかった。あちらの封印も三歳の頃に破って行ってしまったのだ。それを、迎えに行ったのが万珠だった。』
「そして、向こうの主に話を聞いたのですね。」
『太古の昔、宝珠と二条の一番目の前世によって封印させられた。あれは、人が大好きだった。しかし、その気持ちがエスカレートして、人間を脅かしたり、穢(けが)れをつけたり、命を縮めたり、そんな振る舞いにこの神社の主が怒り、二条と宝珠に封印させた。それから、あれは黒き能力者を忌み嫌うようになっていったのだ。』
「その封印が、現世で解かれたのですね?」
『四つの能力者の最強の能力者が、産まれ落ち揃う年封印は解かれる。黒、白、赤、青、それぞれに最強の能力者が産まれたのだ。そして、40年前、この地で皆、合流した。』
「その時に、封印が解かれたのですね」
『幼き皆の血を万珠は、あれに飲ませた。そして、19歳の豊澄(とよす)をアレに喰わせた。』
「最後の十代の歳の肉体が一番の力になり、交代するって話しは本当だったのですが?伝説だとばかり」
億珠さんは、眉間に皺を寄せる。
『本当だ。アレは、豊澄だ。お前達に、豊澄が抹消出来るのか?』
「豊澄を支えてるのが、桜木、桜宮、師匠 水石の四名ですが。」
『呪い返しで、魂を喰らわせ続けている。その結果、強くなっている。そして、今日万珠は998体目の幽体を喰らった。後、二体だ。』
「1000体喰らえばとめられないですよね。」
『あの方を持ってしても無理だ。』
「1000体喰らう時に器と二条と五木結斗が必要なのですよね?」
『時間は、稼いでおるが二条は救えなかった。虎珠の檻もいつまで持つかわからぬ。ただ、明日は皆が集う。そんなひ弱な霊力で現れれば協力などせん。だから、皆やすみなさい。』
「わかりました。」
糸埜(いとの)の言葉に、億珠さんが消えた。
「明日は、力の強い能力者達がやってきます。なので、休んで下さい。」
「姉も戦わせるのですね。」
「美佐埜(みさの)さんは、独身で子がいません。霊力も強いです。なので、仕方ありません。朝一番に、巫女がお話すると思います。糸埜さんは気になさらずにお休みください。」
喜与恵は、布団を持ってきて敷いた。
糸埜は、泣きながら眠る。
『呪い返しの絵馬の血痕は、二条さんと私のですね。喜与恵』
「はい。なので、あの方がお守りを…。」
『呪い返しだとは、知りませんでした。お守りで、呪いから守っているのだとは思っていましたが…。』
「この神社の呪いは、かけるよりも返す方が数千倍の力を発揮すると聞いています。」
『それで、私も死んだのね。ほら、真理亜ってあったじゃない。ここに、来ていないのに…』
真理亜の言葉に、喜与恵が話す。
「おそらく、真理亜さん、二条さん、万条さん、豊澄(とよす)さん、礼珠さんなど、こちらに絵馬をかけていないものの絵馬をかけたのは、万珠さんだと思っています。」
『師匠が…』
「本当の事は、会って本人に聞きましょう。」
『私は、明日には向こうに戻ってくるわ。皆の力が必要でしょ?今日は、宝珠と眠りたい』
「では、私は」
『喜与恵も一緒に眠ろう』
私の肩に真理亜が頭を乗せ手を繋ぎ目を閉じる。
喜与恵も同じようにする。
私達三人は、座りながら眠った。
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