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苛立ちと悲しみと憎しみと愛
三日月宝珠の痛み
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私は、車から降りた。
幽体である私は、一瞬で神社に戻ってきた。
真理亜………
行くのを躊躇ってしまった。
喜与恵(きよえ)、そうだ喜与恵の所に行こう。
「朝から、何度も言わせるな!あの方の怒りに触(ふ)れれば、ここもなくなるのです。宝珠が、決めた事を喜与恵は尊重しないのですか?」
「お願いします。どうか、私の永遠抹消の代わりに宝珠をもう一度人に戻して下さい。お願いします。」
「喜与恵、いい加減にしなさい。」
「巫女様」
喜与恵は、項垂れて現れた。
「ほ、宝珠」
喜与恵は、ギョッとした目で私を見つめた。
『永遠抹消っとは、どういうつもりだ。』
「すみません。私は、宝珠に人としての幸せを手に入れて欲しいのです。」
『喜与恵、私としようか?』
「はい?」
喜与恵は、目をパチクリさせる。
『もう、何も要らぬ。だから、喜与恵』
「や、やめて下さい。」
凄い力で、巫女の部屋に入れられた。
「宝珠、魂のままの状態で喜与恵と関係を持てば、喜与恵も宝珠も抹消されるのをわかっているのか?」
巫女は、赤い目で私を睨み付ける。
『それでも、私は喜与恵と…』
「お前が、能力者でいる限り。それは、望めぬ事だと忘れたか」
『どうしてですか?愛するものと愛し合いたい。それが、いけない事なのですか?』
「いけない事だ!」
『そんな事ばかりの人生です。私は…。』
涙が、ポタポタ流れ落ちる。
「宝珠、こちらに来なさい」
私は、巫女の傍に行く。
「あの方の痛みをも飲み干してしまったのですね。血を飲みすぎた反動です。幽体にも、酷いことを言ってしまったのですね。」
私は、巫女の言葉に涙が溢(あふ)れて止まらない。
『私は、有里(ありさと)から性的行為を受けていました。』
「知っておる。」
『初めて受けたのは、22歳の時です。私は、感じていた。最初は、犯人だと知らなかった。だから、有里との行為を受け入れた。』
「いつ、気づいた?」
『25歳の時です。私のTVの特集を担当していた方が犯罪者の名前や犯罪の資料を私に渡してくれました。それで、知りました。私は、愛する人を強姦殺人した犯人に毎晩抱かれ感じていた。』
「そんな自分が許せなかったのですね」
『はい』
「荻野美花のビジョンを見て、自分と重ねてしまった。そして、村井美鶴(むらいみつる)が怒るのもわかっていた。それなのに、師匠がビジョンを見せたのですね?」
『はい』
「村井美鶴を止めなければならないですよ。彼は、まだ奥底に怒りがある。誰かわかった以上、殺す可能性もあります。」
『はい』
巫女は、私の髪を撫でる。
「宝珠、喜与恵と1つにはなれません。それは、いつの世でも二人に決められた運命(さだめ)です。しかし、キスはいくらでも出来ますよ。」
巫女は、今までに見た事のない程の笑顔で笑う。
「宝珠に引き寄せられる魂は、最初から悲しい幽体が多かったですね。特に、子を宿せぬ幽体が多かった。それは、宝珠も同じだからです。宝珠が報われぬのは、強き能力者の証なのです。ただ、宮部希海とは、宝珠の愛する幽体達の力のお陰でうまくいけたはずですよ。」
巫女は、また私の髪を撫でる。
「失くし癖のついてるものは、自ら手放す。うまくいかぬと諦める。今回も同じだと決めつける。今世で、最後の愛だったかも知れぬのに…。宝珠は、自らそれを手放したのです。」
私は、巫女を見つめた。
「残念だが、宝珠が例え、今人間に戻ろうとも、宮部希海との縁はもう断ち切られています。」
『宮部さんには、新しい運命の相手がもう出来たのですね』
「…………。」
『そうですか、私は安心しました。教えていただき、ありがとうございます。』
私は、巫女に頭を下げた。
「宝珠、真理亜と喜与恵を大切にしなさい。残された道は、それだけです。」
巫女は、私の両手の鎖に触(ふ)れた。
「もう、全ての覚悟を決めているのですね。」
巫女は、私を見つめて泣いている。
喜与恵は、私と巫女の元へやってきた。
幽体である私は、一瞬で神社に戻ってきた。
真理亜………
行くのを躊躇ってしまった。
喜与恵(きよえ)、そうだ喜与恵の所に行こう。
「朝から、何度も言わせるな!あの方の怒りに触(ふ)れれば、ここもなくなるのです。宝珠が、決めた事を喜与恵は尊重しないのですか?」
「お願いします。どうか、私の永遠抹消の代わりに宝珠をもう一度人に戻して下さい。お願いします。」
「喜与恵、いい加減にしなさい。」
「巫女様」
喜与恵は、項垂れて現れた。
「ほ、宝珠」
喜与恵は、ギョッとした目で私を見つめた。
『永遠抹消っとは、どういうつもりだ。』
「すみません。私は、宝珠に人としての幸せを手に入れて欲しいのです。」
『喜与恵、私としようか?』
「はい?」
喜与恵は、目をパチクリさせる。
『もう、何も要らぬ。だから、喜与恵』
「や、やめて下さい。」
凄い力で、巫女の部屋に入れられた。
「宝珠、魂のままの状態で喜与恵と関係を持てば、喜与恵も宝珠も抹消されるのをわかっているのか?」
巫女は、赤い目で私を睨み付ける。
『それでも、私は喜与恵と…』
「お前が、能力者でいる限り。それは、望めぬ事だと忘れたか」
『どうしてですか?愛するものと愛し合いたい。それが、いけない事なのですか?』
「いけない事だ!」
『そんな事ばかりの人生です。私は…。』
涙が、ポタポタ流れ落ちる。
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私は、巫女の言葉に涙が溢(あふ)れて止まらない。
『私は、有里(ありさと)から性的行為を受けていました。』
「知っておる。」
『初めて受けたのは、22歳の時です。私は、感じていた。最初は、犯人だと知らなかった。だから、有里との行為を受け入れた。』
「いつ、気づいた?」
『25歳の時です。私のTVの特集を担当していた方が犯罪者の名前や犯罪の資料を私に渡してくれました。それで、知りました。私は、愛する人を強姦殺人した犯人に毎晩抱かれ感じていた。』
「そんな自分が許せなかったのですね」
『はい』
「荻野美花のビジョンを見て、自分と重ねてしまった。そして、村井美鶴(むらいみつる)が怒るのもわかっていた。それなのに、師匠がビジョンを見せたのですね?」
『はい』
「村井美鶴を止めなければならないですよ。彼は、まだ奥底に怒りがある。誰かわかった以上、殺す可能性もあります。」
『はい』
巫女は、私の髪を撫でる。
「宝珠、喜与恵と1つにはなれません。それは、いつの世でも二人に決められた運命(さだめ)です。しかし、キスはいくらでも出来ますよ。」
巫女は、今までに見た事のない程の笑顔で笑う。
「宝珠に引き寄せられる魂は、最初から悲しい幽体が多かったですね。特に、子を宿せぬ幽体が多かった。それは、宝珠も同じだからです。宝珠が報われぬのは、強き能力者の証なのです。ただ、宮部希海とは、宝珠の愛する幽体達の力のお陰でうまくいけたはずですよ。」
巫女は、また私の髪を撫でる。
「失くし癖のついてるものは、自ら手放す。うまくいかぬと諦める。今回も同じだと決めつける。今世で、最後の愛だったかも知れぬのに…。宝珠は、自らそれを手放したのです。」
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「…………。」
『そうですか、私は安心しました。教えていただき、ありがとうございます。』
私は、巫女に頭を下げた。
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巫女は、私を見つめて泣いている。
喜与恵は、私と巫女の元へやってきた。
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