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荻野美花

嘘ですよね?《一部修正しました。》

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「待って下さい。村井さん。お願いします。話を聞いて下さい」

『美鶴《みつる》、赦して』

糸埜《いとの》さんは、村井さんを必死で追いかけてる。

「しつこいですね。警察呼びますよ」

「お願いします。私についてきてください。」

「本当に、呼びます」

駐車場で、車についた村井さんはスマホを取り出した。

「わかりました。失礼します。」

糸埜さんは、車に戻っていく。

荻野さんは、ずっとずっと村井さんについていて、赦しをこうている。

「宝珠《ほうじゅ》、すまなかった。」

『私が、人ならざるものになったからいけなかったのだ。』

「師匠が、来たのか?」

『いや、遠隔だった。師匠は、とんでもない力を手に入れている』

「そうか…。」

私は、ずっと涙をとめられなかった。

『あのビジョンは、見られてはいけなかった。』

「荻野さんが、感じたのを知ってしまったのですね。」

『そうだ!残りのビジョンは、明日で終わらせてしまおう。』

「どうして?」

『師匠の力が、強い今。ゆっくりしている暇はないです。』

車に乗り込んだ瞬間、荻野さんが現れた。

『三日月先生、私を永遠抹消して下さい。』

その言葉に、全員で荻野さんを見つめていた。

「何故、そんな悲しい事を言うのですか?」

『私は、もう美鶴に愛されません。』

「何故、そんな事を言うのですか?宝珠からも、何か言ってあげて下さい」

三日月さんは、そう言われて話しだした。

『そうでしょうね。誰でも、あんなに感じられたら自分を愛してくれていたかわからないです。貴女は、村井美鶴を愛してなどいなかった。欲しかったのは、彼がくれる欲望の眼差しで…。それは、彼でなくてもよかった。だから、あんなにあの女に感じた。それを、許せなくて、勝手に汚《けが》れたと思い。人様に迷惑をかけて死んだ。ただ、貴女はまたあの女とセックスしたくなる自分が怖かっただけでしょう?彼との代わり映えしないセックスに飽きただけでしょう?』

バチン…

早口で、捲し立てるように喋った三日月さんの頬を糸埜さんが叩いた。

『三日月先生、私を穢れの塊の悪しきものだと思ってずっとみていたのですね。』

荻野さんは、ボロボロと泣き出してしまった。

三日月さんは、目を伏せていた。

「酷いですよ、宝珠。いくら何でも言いすぎです。」

三日月さんは、消えてしまった。

「三日月さんは?」

「幽体なので、自分で帰れます。荻野さん、永遠抹消の話しは忘れて下さい。私が、村井さんを説得しますから…。」

『わかりました。』

荻野さんは、消えた。

「宮部さん、送りましょう」

「はい」

糸埜さんは、車を走らせる。

「あの」

「はい」

「三日月宝珠は、宮部さんを好いていました。それだけは、忘れないであげて下さい。」

「わかりました。」

「宝珠の選んだ道を応援してあげて下さいね」
 
「勿論です。」

糸埜さんは、私の家の前で車を停めた。

「明日は、早乙女加奈枝さんと前野友作さんです。二人のビジョンにいっきに入りますので…。ゆっくりお休みになられて下さい。」

「はい、わかっています。あの、糸埜さん」

「はい、何でしょうか?」

「この仕事が終わったら、三日月家《みかづきけ》の人々を取材させていただけませんか?」

「はい、構いませんよ。取材は、大歓迎です。是非、三日月家に遊びに来て下さいね」

糸埜さんの笑顔に救われる。

「あの、三日月さんの言葉は嘘ですよね?愛する幽体をあんな風に傷つけるなんて、有り得ないですよね」

「私は、そうだと思っていますよ。ただ、器になる為の儀式もしているので…。宝珠の魂に何か変化が起きていたのかもしれません。しかし、宝珠は優しいものです。だから、あれは、本心ではないと思っていますよ」

糸埜さんは、私にニッコリと微笑んだ。

「そうですよね。そうに違いないですよね。ありがとうございます」

私は、車を降りた。

糸埜さんは、私が家に入るまでずっと見届けてくれていた。


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