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荻野美花
DAY6 ずっと一緒にいたい…
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私は、神社に来ていた。
「おはようございます。少しお話があります。宜しいでしょうか?」
「糸埜(いとの)さん、おはようございます。何でしょうか?」
私は、昨夜の出来事を糸埜さんに全て見せられた。
「よかったです。」
私は、泣きながら笑った。
「よかったですか?」
「はい、どんな形でも…。三日月さんは、生きる選択をしたのですよね?」
「そうです。それしか選べないですから」
「それなら、よかったです。」
私と糸埜さんが、話していると怒鳴り声が響いた。
「契約は、絶対です。あの方を怒らせないで、喜与恵(きよえ)」
案内人さんが、項垂れて出てきた。
「どうされましたか?」
糸埜さんは、案内人さんに近づいた。
「私の永遠抹消と引き換えに、三日月さんを人間に戻せるかを巫女に聞いていただけです。」
「何を言ってるかわかってるのか?喜与恵」
「話して下さい。準備は、出来てますので…。」
「宝珠の気持ちは、どうなるのだ?」
「私は、三日月さんには幸せでいてもらいたいのです。失礼します。」
案内人さんは、お辞儀をして行ってしまった。
「あの、少し聞こえてしまったのですが…。永遠抹消っとはなんですか?」
「この世界に二度と産まれないという約束です。」
「あの人の魂は?」
「消え去ります。」
「そんな…。」
「気になさらずに、私達は私達のやるべき事をやりましょう」
「あっ、はい」
私は、糸埜さんに連れられた。
『おはようございます。宮部さん』
「おはようございます。三日月さん、真っ白ですね」
『これでも、見た目が少しはよくなったのですがね。どうも、髪と眉は駄目らしいです。』
そう言って笑う三日月さんは、いつもの三日月さんだ。
もう、覚悟を決めている顔をしていて、それを受け入れてる。
「宮部さん、始めましょうか」
「はい」
糸埜さんに、言われていつもの布に座る。
三日月さんは、いつもと違って布に乗ってはいない。
糸埜さんの、背中に三日月さんは手を当てている。
「話すのは、宝珠がいいですね」
糸埜さんは、私を見てそう言った。
「宝珠、お願いします。」
『はい』
いつもとは、違う。
幽体達と同じで、三日月さんの声はエコーがかかったような感じで、初めて会う幽体達では気にならなかったけれど、三日月さんの声を知っている私には少し気になってしまった。
『それでは、宮部さん。6日目を始めましょう。準備は、宜しいですか?』
「はい」
『荻野美花さんの元へ、行ってらっしゃい』
「はい」
カチ…カチ…カチ…カチ…カチ
【宮部さんを愛したかった】
なに?
【宮部さんと一緒に…】
なに、それ…?
カチ…カチ…
【美鶴(みつる)、愛してる】
【美鶴と一緒にいたかった】
【美鶴しかいらなかったのよ】
.
.
.
「少し眠っちゃってた。」
相変わらず、肉まんみたいな体をしてる。
私は、起き上がって洗面所の鏡を見る。
痩せなくて、大嫌いだった。
そんな体を愛しいって思える日がくるなんてね。
私は、鏡に笑いかけていた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「疲れたー。ご飯作るね。癒される」
この綺麗な人が、私を愛してくれるなんて思わなかった。
「うん」
美鶴は、鞄を私に渡した。
嘘も偽りもない人。
スーパーの方が、安いのに…。
私は、コンビニでわざと買った。
だって、美鶴に会いたかったから
この綺麗な姿を目の中にいれるだけで、私の一日は救われたの。
【デブス】【早くしろよ、豚】
【きしょ】【痩せろよ】
職場で、毎日のように繰り広げられる暴言の数々も、今では虫の音ぐらいの音色にかわり。
この胸に、痛みを貫く事はなくなった。
美鶴が、いれば何もいらない。
「もうすぐ、出来るから待っててね」
「うん」
美鶴といれば、何も怖くない。
幸せ
幸せ
幸せ……?!!!??!!?
なのに…
何故?
こんなに、絶望が押し寄せるの
「おはようございます。少しお話があります。宜しいでしょうか?」
「糸埜(いとの)さん、おはようございます。何でしょうか?」
私は、昨夜の出来事を糸埜さんに全て見せられた。
「よかったです。」
私は、泣きながら笑った。
「よかったですか?」
「はい、どんな形でも…。三日月さんは、生きる選択をしたのですよね?」
「そうです。それしか選べないですから」
「それなら、よかったです。」
私と糸埜さんが、話していると怒鳴り声が響いた。
「契約は、絶対です。あの方を怒らせないで、喜与恵(きよえ)」
案内人さんが、項垂れて出てきた。
「どうされましたか?」
糸埜さんは、案内人さんに近づいた。
「私の永遠抹消と引き換えに、三日月さんを人間に戻せるかを巫女に聞いていただけです。」
「何を言ってるかわかってるのか?喜与恵」
「話して下さい。準備は、出来てますので…。」
「宝珠の気持ちは、どうなるのだ?」
「私は、三日月さんには幸せでいてもらいたいのです。失礼します。」
案内人さんは、お辞儀をして行ってしまった。
「あの、少し聞こえてしまったのですが…。永遠抹消っとはなんですか?」
「この世界に二度と産まれないという約束です。」
「あの人の魂は?」
「消え去ります。」
「そんな…。」
「気になさらずに、私達は私達のやるべき事をやりましょう」
「あっ、はい」
私は、糸埜さんに連れられた。
『おはようございます。宮部さん』
「おはようございます。三日月さん、真っ白ですね」
『これでも、見た目が少しはよくなったのですがね。どうも、髪と眉は駄目らしいです。』
そう言って笑う三日月さんは、いつもの三日月さんだ。
もう、覚悟を決めている顔をしていて、それを受け入れてる。
「宮部さん、始めましょうか」
「はい」
糸埜さんに、言われていつもの布に座る。
三日月さんは、いつもと違って布に乗ってはいない。
糸埜さんの、背中に三日月さんは手を当てている。
「話すのは、宝珠がいいですね」
糸埜さんは、私を見てそう言った。
「宝珠、お願いします。」
『はい』
いつもとは、違う。
幽体達と同じで、三日月さんの声はエコーがかかったような感じで、初めて会う幽体達では気にならなかったけれど、三日月さんの声を知っている私には少し気になってしまった。
『それでは、宮部さん。6日目を始めましょう。準備は、宜しいですか?』
「はい」
『荻野美花さんの元へ、行ってらっしゃい』
「はい」
カチ…カチ…カチ…カチ…カチ
【宮部さんを愛したかった】
なに?
【宮部さんと一緒に…】
なに、それ…?
カチ…カチ…
【美鶴(みつる)、愛してる】
【美鶴と一緒にいたかった】
【美鶴しかいらなかったのよ】
.
.
.
「少し眠っちゃってた。」
相変わらず、肉まんみたいな体をしてる。
私は、起き上がって洗面所の鏡を見る。
痩せなくて、大嫌いだった。
そんな体を愛しいって思える日がくるなんてね。
私は、鏡に笑いかけていた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「疲れたー。ご飯作るね。癒される」
この綺麗な人が、私を愛してくれるなんて思わなかった。
「うん」
美鶴は、鞄を私に渡した。
嘘も偽りもない人。
スーパーの方が、安いのに…。
私は、コンビニでわざと買った。
だって、美鶴に会いたかったから
この綺麗な姿を目の中にいれるだけで、私の一日は救われたの。
【デブス】【早くしろよ、豚】
【きしょ】【痩せろよ】
職場で、毎日のように繰り広げられる暴言の数々も、今では虫の音ぐらいの音色にかわり。
この胸に、痛みを貫く事はなくなった。
美鶴が、いれば何もいらない。
「もうすぐ、出来るから待っててね」
「うん」
美鶴といれば、何も怖くない。
幸せ
幸せ
幸せ……?!!!??!!?
なのに…
何故?
こんなに、絶望が押し寄せるの
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