80 / 202
冴草健斗
最後の言葉
しおりを挟む
凌平と夜桜の帰り、とても幸せだった。
満ち足りていた。
帰宅して必ずプロポーズをしよう。
猫を飼った事も言わなくちゃいけない。
幸せが、身体中を駆け巡った。
変な正義感で、逃げなかった俺は殴られていた。
とにかく、凌平を守らなければいけない。
カチ…カチ…カチ…カチ…
【少し、離しますよ。宮部さん】
冴草健斗からは、浜井凌平への愛だけが流れてくる。
とにかく、凌平を守る。
それだけを思っている。
血が流れているのに、痛いはずなのに…。
そんな事よりも、浜井さんを守るって気持ちに心が痛む。
カチ…カチ…カチ…カチ
【はずれますよ。宮部さん】
私は、冴草健斗の肉体からはずれた。
浜井さんをずっと抱きしめてる。
「最後の言葉を聞きますよ」
浜井さんには、何も聞こえていない。
「凌平に…してる。……よかったって……幸……ずっと…」
「わかりました。きちんと伝えます。」
冴草健斗は、救急車に乗っていく。
【犯人にはいりますか?】
「いえ、やめておきます。」
【わかりました】
そう言うと、ゆっくりと戻った。
カチ…カチ…カチ
.
.
.
.
.
.
「お帰りなさい。」
「手紙を書きます。」
「はい、持ってきます」
三日月さんは、そう言うと立ち上がって取りに行ってくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます。」
私は、冴草健斗さんの言葉を書いた。
「犯人に入らなくてよかったのですか?」
「糸埜さんと三日月さんの、器を傷つけるのは嫌です。」
「そうでしたか…。」
三日月さんは、そう言った。
「あの、冴草健斗さんは桜宮さんの呪いで亡くなったのですか?」
「それは、違うと思いますよ。」
糸埜さんは、首を横に振った。
「それなら、死ぬのは決まっていたのでしょうか?」
「そうですね。例え、この日を免れていても、また次の日だったかも知れませんね。きっと、呪われるのではないかという恐れが引き寄せたのではないでしょうか?」
三日月さんは、そう言って私を見つめている。
「じゃあ、冴草健斗さんは生きれたのですね。なのに、何でこんな風に…。」
糸埜さんは、私を見つめて話す。
「人は、常に選択をして生きています。その選択は、気分によって変わるものです。あの日、冴草健斗さんは、呪いと言う言葉に怯えた。怯えは、判断を鈍らせます。それによって、引き寄せてはいけない選択をさせるのです。その結果、冴草健斗さんは、亡くなられたのだと私は、思っています。」
三日月さんは、その言葉に頷きながら私を見つめて話す。
「恐怖、怯え、恐れ、それらを悪しきものは、欲しがります。そうして、自分の元に導くのです。宮瀬さんのビジョンを見たときに感じませんでしたか?幸せの中の絶望を…。」
「感じました。」
「それが、奴等の好物です。絶望、苦しみ、痛み、孤独、それを喰らいたいのです。そして、そちらに連れていく。桜宮さんも、悪しき霊の一人だった。浜井さんを愛していたけれど、それよりも桜宮さんの呪いの方に考えがいってしまったのです。その結果、判断を誤ったのです。」
「思考を支配されてはいけなかったのですね?」
私の言葉に、糸埜さんは大きく頷いた。
「今までのビジョンを見た方々、皆さんそうでしたでしょう?突然の孤独や絶望、恐怖や恐れ、その結果繋がった死だった。しかし、それだけではない。何か力が加わったのを私は感じました。糸埜は、どうですか?」
「そうですね。何ものかが、強く引き寄せたのを感じました。その何ものかがわかりません。師匠は、生きていましたから…。」
「それは、神社の力ですか?」
「それは、関係ないように思いますが…。宝珠、浜井さんの元に行くならば私が少し調べておきます。」
「そうですね。宮部さん、浜井さんの元に向かいましょうか?」
「わかりました。」
私は、鞄に手紙を入れた。
三日月さんと一緒に、浜井さんの元に行く
満ち足りていた。
帰宅して必ずプロポーズをしよう。
猫を飼った事も言わなくちゃいけない。
幸せが、身体中を駆け巡った。
変な正義感で、逃げなかった俺は殴られていた。
とにかく、凌平を守らなければいけない。
カチ…カチ…カチ…カチ…
【少し、離しますよ。宮部さん】
冴草健斗からは、浜井凌平への愛だけが流れてくる。
とにかく、凌平を守る。
それだけを思っている。
血が流れているのに、痛いはずなのに…。
そんな事よりも、浜井さんを守るって気持ちに心が痛む。
カチ…カチ…カチ…カチ
【はずれますよ。宮部さん】
私は、冴草健斗の肉体からはずれた。
浜井さんをずっと抱きしめてる。
「最後の言葉を聞きますよ」
浜井さんには、何も聞こえていない。
「凌平に…してる。……よかったって……幸……ずっと…」
「わかりました。きちんと伝えます。」
冴草健斗は、救急車に乗っていく。
【犯人にはいりますか?】
「いえ、やめておきます。」
【わかりました】
そう言うと、ゆっくりと戻った。
カチ…カチ…カチ
.
.
.
.
.
.
「お帰りなさい。」
「手紙を書きます。」
「はい、持ってきます」
三日月さんは、そう言うと立ち上がって取りに行ってくれた。
「どうぞ」
「ありがとうございます。」
私は、冴草健斗さんの言葉を書いた。
「犯人に入らなくてよかったのですか?」
「糸埜さんと三日月さんの、器を傷つけるのは嫌です。」
「そうでしたか…。」
三日月さんは、そう言った。
「あの、冴草健斗さんは桜宮さんの呪いで亡くなったのですか?」
「それは、違うと思いますよ。」
糸埜さんは、首を横に振った。
「それなら、死ぬのは決まっていたのでしょうか?」
「そうですね。例え、この日を免れていても、また次の日だったかも知れませんね。きっと、呪われるのではないかという恐れが引き寄せたのではないでしょうか?」
三日月さんは、そう言って私を見つめている。
「じゃあ、冴草健斗さんは生きれたのですね。なのに、何でこんな風に…。」
糸埜さんは、私を見つめて話す。
「人は、常に選択をして生きています。その選択は、気分によって変わるものです。あの日、冴草健斗さんは、呪いと言う言葉に怯えた。怯えは、判断を鈍らせます。それによって、引き寄せてはいけない選択をさせるのです。その結果、冴草健斗さんは、亡くなられたのだと私は、思っています。」
三日月さんは、その言葉に頷きながら私を見つめて話す。
「恐怖、怯え、恐れ、それらを悪しきものは、欲しがります。そうして、自分の元に導くのです。宮瀬さんのビジョンを見たときに感じませんでしたか?幸せの中の絶望を…。」
「感じました。」
「それが、奴等の好物です。絶望、苦しみ、痛み、孤独、それを喰らいたいのです。そして、そちらに連れていく。桜宮さんも、悪しき霊の一人だった。浜井さんを愛していたけれど、それよりも桜宮さんの呪いの方に考えがいってしまったのです。その結果、判断を誤ったのです。」
「思考を支配されてはいけなかったのですね?」
私の言葉に、糸埜さんは大きく頷いた。
「今までのビジョンを見た方々、皆さんそうでしたでしょう?突然の孤独や絶望、恐怖や恐れ、その結果繋がった死だった。しかし、それだけではない。何か力が加わったのを私は感じました。糸埜は、どうですか?」
「そうですね。何ものかが、強く引き寄せたのを感じました。その何ものかがわかりません。師匠は、生きていましたから…。」
「それは、神社の力ですか?」
「それは、関係ないように思いますが…。宝珠、浜井さんの元に行くならば私が少し調べておきます。」
「そうですね。宮部さん、浜井さんの元に向かいましょうか?」
「わかりました。」
私は、鞄に手紙を入れた。
三日月さんと一緒に、浜井さんの元に行く
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる