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三日月のもの達
怖いです。
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神社から出て、車に乗った瞬間。
助手席に、冴草健斗が座った。
「あっ」
『食べ物の上ですね』
「後ろにおくよ」
『はい』
私は、後部座席にタッパを置いた。
「それで、どうしたのかな?」
『これが、凌平と本当に最後の別れになると思うと怖いんです。』
「そうですね、運転してもいいですか?」
『はい、どうぞ』
私は、エンジンをかけた。
私は、家まで車を走らせる。
「冴草さん、浜井さんを凄く愛していらっしゃるのですね。」
『はい、だからですかね。二度と会えなくなるのは、とても怖く辛いです。』
「三日月家の他のものに頼めば接触は可能ですよ」
『俺は、三日月宝珠さんでなければ嫌です。絶対に、嫌です。』
「でしたら、もう二度と会えません」
『わかっていますよ。』
「冴草さん、はぁー。消えましたか」
私は、車を停める。
宮瀬歩の幽体が、私に接触してきたのは早乙女加奈枝の幽体が接触してきた日だった。
彼のビジョンの中に、父がいるのは知らなかった。
何て、辛いビジョンなのだと思った。
ニコとカール。
三日月の人間は、魂の接触を一人、一度のみだけ行える。
ただし、他の能力者であればもう一度会える。
ただ、二条さん亡き後、糸埜と四条しか行える人間はいない。
それが終われば、もう二度と会えない。
私達には、会えるが相手には会えない。
冴草健斗は、それを酷く恐れていた。
私は、喜与恵が作った料理を口にする。
冷蔵庫からビールを取り出した。
「接触してくるのは、やめたんじゃなかったのか?」
『言い方、酷いね。宝珠』
私は、ソファーに座り喜与恵が作った料理を食べてる。
「あなたの為に、私は力を一ミリも使うつもりはありません。」
『わかってるよ、知ってる。ちゃんと、わかってる』
「なら、いいが」
『宝珠、冷たいね』
「そっちこそ、わかってんのか?酷いことしたの?何故?私に接触してくる」
『だってさぁー。仕方ないでしょ?俺を見れるの宝珠しかいなかったんだよ』
掴もうとしてくる手をバシンと振り払った。
「お前の人生を反省する気が一ミリもないのか?」
『幽体は、全部愛してるんじゃなかったの?』
「お前は、別だ。」
『愛してるんだねー。喜与恵ちゃんの事。』
「人の人生を覗き見するな」
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。
『ひでーよな。俺がどんだけ、宝珠を愛してたか知らないで。』
「愛してた?追い詰めたの間違いじゃないのか?」
『宝珠、お前なんでそんな酷いんだよ。』
「もう、消えてくれよ。頼むから」
『わかったよ』
私の人生を生きている時も、死んでからも苦しめやがって。
私は、ビールの缶を握りつぶした。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
もう、考えたくなかった。
私の頭をリセットしたのは、彼だった。
『三日月先生、今いける?』
「もどってきたか」
『三日月先生、頑張るよ。俺、凌平とちゃんとお別れするよ。』
「よかった。」
『さっきの人は?』
「あれは、気にしなくていい。」
『三日月先生にしては、珍しく声をあらげていたね。』
「そうかな?」
『そうだよ。だから、ちょっと心配になった。三日月先生は、穏やかで優しい人だから、皆大好きなんだよ。』
冴草健斗は、私を抱き締めてくれる。
「浜井さんに申し訳ない」
『いいんだよ。三日月先生。俺は、三日月先生には幸せになって欲しいんだよ。』
優しく髪を撫でてくれる。
「ありがとう」
『三日月先生、結斗はそっちで守ってるんでしょ?』
「そうだな」
『三日月先生、頼んだからね。凌平の事も、上條先生の事も、結斗の事も…。三日月先生が、愛してくれてるの俺は知ってるから』
.
.
.
.
.
リリリーン
「はい」
「おはよう、糸埜です。」
「えっ?」
「お時間になったのですが、こられていないので…。」
「あぁ、今から用意して出るよ」
「わかりました。準備をしておきます。」
プー、プー
「冴草健斗のお陰で寝ていたか…」
私は、冷蔵庫にタッパをしまってシャワーを浴びた。
服を着替えて、家を出た。
器が修復されたせいで、疲労がとれていなかった。
助手席に、冴草健斗が座った。
「あっ」
『食べ物の上ですね』
「後ろにおくよ」
『はい』
私は、後部座席にタッパを置いた。
「それで、どうしたのかな?」
『これが、凌平と本当に最後の別れになると思うと怖いんです。』
「そうですね、運転してもいいですか?」
『はい、どうぞ』
私は、エンジンをかけた。
私は、家まで車を走らせる。
「冴草さん、浜井さんを凄く愛していらっしゃるのですね。」
『はい、だからですかね。二度と会えなくなるのは、とても怖く辛いです。』
「三日月家の他のものに頼めば接触は可能ですよ」
『俺は、三日月宝珠さんでなければ嫌です。絶対に、嫌です。』
「でしたら、もう二度と会えません」
『わかっていますよ。』
「冴草さん、はぁー。消えましたか」
私は、車を停める。
宮瀬歩の幽体が、私に接触してきたのは早乙女加奈枝の幽体が接触してきた日だった。
彼のビジョンの中に、父がいるのは知らなかった。
何て、辛いビジョンなのだと思った。
ニコとカール。
三日月の人間は、魂の接触を一人、一度のみだけ行える。
ただし、他の能力者であればもう一度会える。
ただ、二条さん亡き後、糸埜と四条しか行える人間はいない。
それが終われば、もう二度と会えない。
私達には、会えるが相手には会えない。
冴草健斗は、それを酷く恐れていた。
私は、喜与恵が作った料理を口にする。
冷蔵庫からビールを取り出した。
「接触してくるのは、やめたんじゃなかったのか?」
『言い方、酷いね。宝珠』
私は、ソファーに座り喜与恵が作った料理を食べてる。
「あなたの為に、私は力を一ミリも使うつもりはありません。」
『わかってるよ、知ってる。ちゃんと、わかってる』
「なら、いいが」
『宝珠、冷たいね』
「そっちこそ、わかってんのか?酷いことしたの?何故?私に接触してくる」
『だってさぁー。仕方ないでしょ?俺を見れるの宝珠しかいなかったんだよ』
掴もうとしてくる手をバシンと振り払った。
「お前の人生を反省する気が一ミリもないのか?」
『幽体は、全部愛してるんじゃなかったの?』
「お前は、別だ。」
『愛してるんだねー。喜与恵ちゃんの事。』
「人の人生を覗き見するな」
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。
『ひでーよな。俺がどんだけ、宝珠を愛してたか知らないで。』
「愛してた?追い詰めたの間違いじゃないのか?」
『宝珠、お前なんでそんな酷いんだよ。』
「もう、消えてくれよ。頼むから」
『わかったよ』
私の人生を生きている時も、死んでからも苦しめやがって。
私は、ビールの缶を握りつぶした。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
もう、考えたくなかった。
私の頭をリセットしたのは、彼だった。
『三日月先生、今いける?』
「もどってきたか」
『三日月先生、頑張るよ。俺、凌平とちゃんとお別れするよ。』
「よかった。」
『さっきの人は?』
「あれは、気にしなくていい。」
『三日月先生にしては、珍しく声をあらげていたね。』
「そうかな?」
『そうだよ。だから、ちょっと心配になった。三日月先生は、穏やかで優しい人だから、皆大好きなんだよ。』
冴草健斗は、私を抱き締めてくれる。
「浜井さんに申し訳ない」
『いいんだよ。三日月先生。俺は、三日月先生には幸せになって欲しいんだよ。』
優しく髪を撫でてくれる。
「ありがとう」
『三日月先生、結斗はそっちで守ってるんでしょ?』
「そうだな」
『三日月先生、頼んだからね。凌平の事も、上條先生の事も、結斗の事も…。三日月先生が、愛してくれてるの俺は知ってるから』
.
.
.
.
.
リリリーン
「はい」
「おはよう、糸埜です。」
「えっ?」
「お時間になったのですが、こられていないので…。」
「あぁ、今から用意して出るよ」
「わかりました。準備をしておきます。」
プー、プー
「冴草健斗のお陰で寝ていたか…」
私は、冷蔵庫にタッパをしまってシャワーを浴びた。
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