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三日月宝珠への怨み

三日月糸埜

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糸埜いとのは、私に頭を下げた。

「すまない」

「何ですか?」

「師匠の抹消が、うまくできていなかったようだ。」

「やはり、そうでしたか…」

糸埜は、ポケットから紙を取り出した。

「大海力を知っていますね?」

「五木結斗は、私の愛する幽体だ。」

「そうでしたか…。5ヶ月前大海力が、三日月家みかづきけに来ました。」

「そうですか」

「その時に、私にこのビジョンを見せました。」

「まさか、糸埜もビジョンを見せれるのか?」

「先程も言いましたが、私は二条の血を飲みました。」

「二条さんは、死んでますよ」

糸埜は、大きくため息を吐いた。

「師匠は、二条を亡くし、宝珠を失い、気がふれました。私達を、代わりにしようとしました。宝珠の血もためていたのですよ。師匠は…。」

「えっ?」

「あるものは、二条の砕いた骨を喰らわされ、あるものは、宝珠の血を飲まされ、あるものは、師匠の血を飲まされ、あるものは、ここのついの巫女の血を飲まされました。」

「そんな…」

三日月蓬莱みかづきほうらい千川尊せんかわみこと奈良橋大竜ならはしだいりゅう、精神の異常をきたし入院しました。」

「いつからですか?」

「半年前です。」

「それで、師匠がやってきたのですか?」

「はい。その1ヶ月後に突然現れました。」

糸埜は、私の右手を掴み自分のおでこに押し当てた。

ドクン…

ビジョンが流れ出す。

「久しぶりだな。糸埜」

「誰ですか?」

「私を忘れるとは、大層なご身分だな。」

刃物を首に押し当てられる。

「師匠なのですか?」

「よろしい。良くできたな。糸埜」

「師匠、何故その方に入っておられるのですか?」

「いやー、五木結斗に用があってな。」

「何の用ですか?」

「そんなものお前のような底辺の虫ケラが知ってなにになる」

糸埜は、見えない力で頭を床に押さえつけられた。

師匠は、糸埜の頭を踏んづける。

「もっと、強い力を手にしてから私に意見するのだ糸埜」

「はい、申し訳ありません」

「わかれば、いいのだよ。二条の骨が残っていたよな」

「はい、こちらです。」

「ありがとう、一本もあれば充分だ。」

師匠は、ニコニコ顔で出ていった。

【はぁ、はぁ、聞こえるかぁ?糸埜】

「二条ですか?」

【宝珠に伝えてくれ】

「何をですか?」

【はぁ、はぁ、五木結斗を渡してはならない】

「どういう意味ですか?」

【五木結斗は、宝珠のついだ。】

「それは、真理亜でしょう」

【150年以上前の、宝珠と真理亜の子供が五木結斗だ】

「えっ?」

【成木楓の器に、師匠は五木結斗と私をいれるつもりだ。】

「どういう意味ですか?」

【150年以上前の約束を叶える為だ。はぁ、はぁ、糸埜助けてくれ】

「何故、その人が器に?」

【成木楓は、羽柴野カエ。150年以上前の、師匠の愛人だ。】

「師匠の前世ですね」

【ああ、そうだ。糸埜、助けてくれ。私は、抹消されたのに再び二条として構築された。全身が痛い。はぁ、はぁ、ぅゎぁぁぁぁぁぁあ】

「二条、二条、二条」

ドクン……

ビジョンが、切れた。

「五木結斗が、私と真理亜の子供?」

「はい、二条はそう言いました。宝珠、五木結斗の力が自分より強いと思った事はありませんか?」

「あるよ。五木結斗は、私より力は上だ。」

「調べたのですが、五木結斗は真理亜がお腹に宿したまま死んだ赤子のようです。」

服を着た真理亜が、現れた。

『私は、女性だったのですか?』

真理亜は、糸埜を見つめていた。

「はい」

糸埜は、師匠の部屋にあったというノートを差し出した。

「生前師匠が、調べていたものになります。」

私は、その場でそのノートを広げた。

中身を、まじまじと、糸埜と真理亜と見つめる。

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