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三日月宝珠への怨み

真理亜と案内人の想い

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体の疲れが取れた気がして、目が覚めた。

『宝珠、泣いていたよ』

真理亜が、涙を拭ってくれる。

「真理亜、愛してるよ」

『宝珠、お願いだから人間に恋をするの。人間を愛するの。わかって、宝珠』

「そんな悲しい事を言わないでくれ」

私は、真理亜を抱き締める。

『お願いよ。もう、こんなにも宝珠は傷だらけなの。それでも、魂を救うのはやめて。誰かに愛されなければ、宝珠の肉体はもたない。わかるでしょ?』

「真理亜、綺麗だよ。もうすぐ、そっちに行くから…。そしたら、たくさん私を愛しておくれ。」

『宝珠、駄目。こっちにきちゃ駄目。』

真理亜は、怒って私に背を向けた。

その体を引き寄せて、抱き締める。

『宝珠、人間としなきゃ駄目。』

「いいじゃないか。真理亜とは、遥か昔からだろ?だったら、真理亜」

『んんっ。私は、宝珠のエネルギーを吸いとるの。』

「構わないよ。」

『宝珠に生きて欲しいのよ。んんっ』

私は、真理亜の口に指を突っ込んだ。

『はぁ、ハァー』

後ろから、真理亜を抱く。

『んんっ。』

「はぁ、はぁ、はぁ」

『やっぱり、宝珠。』

「大丈夫、大丈夫だから」

私は、案内人の組んだ祭壇に向かってほふく前進をして行く。

『宝珠、大丈夫?』

「気にするな」

ガチャ

「私の血をあげますよ」

裸の私を見ても何とも思わずに案内人が現れた。

「頼む」

パリン

日本酒の瓶を割った。

案内人は、右手でそれを握りしめた。

「三日月さん、口を開けて」

「はい」

ボタボタと血を入れられる。

「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ」

「三日月のものの異常さにどれだけ苦しみましたか?」

「はぁ、はぁ。ありがとう」

案内人は、手をハンカチで縛る。

「物心ついた時から、ずっとだよ。」

「最初は、鳥の血でしたっけ?」

「そうでしたね。血を飲むことに抵抗がなくなったのは、17歳の時でした。」

『真琴さんの血をわけてもらったの?宝珠』

「ああ、もらったよ。彼女が、カッターで物を切っていた時に指を切った。そして、血をもらった」

「変な病気になりそうですね?」

「そうなって、死ねたら本望だった。なのに、45歳まで生きてる。検査も、問題ない。殺して欲しい。二条さんが、死ぬ事で救われる魂がいると言った。私もそうだ。死なせてくれ」

「五木結斗を器にいれたのですね」

案内人は、私の右手に刃物を刺した。

「イッ」

黒き塊が、飛び出した。

「まだ、癒されていない魂を身体にいれたのですね?」

「関係ないだろう?私は、そんなヤワじゃない」

「ヤワですよ。三日月さんは…。この三年で、いっきに150人の魂を救いました。そんな事をすれば、三日月さんの器は傷がついて当然です。そこに癒されない魂を入れればさらに傷がついた。そこに、成木なるきさんの中を取り出した。」

案内人は、ボロボロ泣いた。

「どうして泣いてる?」

「三日月さんを愛してるんです。」

「やはり、そっちだったか」

私は、案内人の頬を撫でる。

「成木さんの魂は、君好みだよ。」

「三日月さんじゃなきゃ、嫌です」

「左目をつむっていたら、私も彼も同じだろ?君の右目は、魂しかみれないのだから…。」

『宝珠は、たくさんの人に愛されてるのをもっと気づくべきよ』

真理亜が、隣に座った。

案内人は、私にバスタオルをかけた。

「おいでよ、今日は一緒にいてあげるから。」

「三日月さん」

案内人は、私の隣に座った。

「あのね、男とか女とかじゃないんだよ。私は、喜与恵きよえ君とは、付き合えないだけだ。」

「三日月家の掟ですよね」

「わかってるじゃないかー。喜与恵君の魂は綺麗だよ。愛してくれる人を見つけなさい。」

「真理亜さんの前ですが、お願いを聞いてもらえますか?」

「何?」

「キスして下さい。私のエネルギーをあげますから」

「それなら、喜んで」

案内人は、ハンカチをほどいて自分の血を口に含んだ。

私に、キスをしてきた。

この神社の人間と三日月家の人間は、一緒になってはいけない。

遥か昔、一緒になろうとしたものが、火炙りにあった。

師匠に言われた事がある。

【キス以上をすれば、呪いが降り注ぐ。契約違反だ】


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