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五木結斗

DAY3 別れられますように…。

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気づけば、朝を迎えていた。

「あー。後、6人。後、6日だな。今年中には、目標達成できるか」

私は、黒いカバーに入ったノートを開く。

【桜宮さんにお願いした生徒が10人。桜木さんにお願いした生徒が8人。神社でお願いした人が30人】

「はぁー。」

私は、キッチンでコーヒーをいれてソファーに戻る。

「師匠の弟子達が、止めてくれてはいるが…。あともって、3ヶ月だな。宮部さんが、早く記事を書き上げてくれば間に合うか…。」

私は、ノートをパタンと閉じた。

三日月家に、頭を下げにいったのは、3年前だった。

止める力は、三日月家の力でも三年が限界だと言われた。

私は、自分の力では半年しかもたなかったから、三年はありがたかった。

その間にいろんな事が出来たからだ。

これで、よかった。

そう思える人生だった。

もう、幕を閉じることしか考えていない。

私は、私の人生を終わらせる。

【封印の鍵は、魂を抹消される事によって強固になる。二度と封印は解かれない。】

私は、封印の鍵だ。

その人生をもうすぐ終わる。

右手の爪と痣を見つめていた。

手の皺の数のように、私の体には魂の記憶が刻まれている。

手を握りしめて、おでこに当てる。

五木結斗と上條陸を癒してあげよう。

私は、ゆっくり起き上がった。

シャワーを浴びて、衣服を整える。

全てが終われば、荷物を処分しよう。

ガチャ

家から出て、車に乗り込んだ。

私は、車を停めて、今日も、神社にやってきた。

「おはよう」

「おはようございます。宮部さんは、もう来られています。準備は、整っています。」

「ありがとう」

私は、案内人に頭を下げた。

「おはよう、宮部さん」

泣き腫らした目をしている。

「三日月さん、おはようございます。」

「よく眠れましたか?」

「はい」

「嘘ですね?」

私は、宮部さんに笑った。

「三日月先生、私どうしても三日月先生の命を諦めたくないんです。」

「宮部さん、その話しは忘れましょう。私と宮部さんは、ここで出会わなければ、出会う事などなかった赤の他人です。全てが終わりさよならをしたら、一生忘れる存在でしかないのです。」

「そんなわけありません。三日月先生と私は、出会ってしまったんですよ。」

「始まる前に、泣いてどうしますか?」

「すみません」

私は、準備をする。

宮部さんの気持ちは、嬉しいけれど…。

これ以上、巻き込みたくはない。

私は、ただの鍵で人ではないのだ。

そんな私の為に、涙を流す必要はないのだ。

「いけますか?」

「はい、大丈夫です」

「それでは、こちらに」

三回目となれば、宮部さんも慣れたものだった。

「三日月先生」

「はい」

「入れ替わりは、うまくいけそうですか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「よかったです」

宮部さんの笑顔を見ていると、鍵ではなく人だったらよかったと思った。

能力者ではなく、普通の人でありたかった。

雑念を払った。

「始めますよ」

「はい、三日月先生」

「では、三日目を始めます。」

私は、宮部さんの後頭部に手を当てる。

「五木結斗の元へ、いってらっしゃい」

カチ…カチ…カチ…

【陸、愛してるよ】

【陸が一生好きだよ】

【ずっと、陸といたいんだ】

.
.
.
.
.

はっ!!!

「三日月先生」

僕は、知らない名を口に出していた。

夢を見ていたのか?

昨日、陸と初めてをして、今日もまた家に来るのだ。

三日月先生?

一体誰なんだろうか?

陸が来るまで、待っていよう。

ピンポーン

「はい」

「結斗、暇だろ?」

ちからが、やってきた。

「暇じゃない、帰って」

「何で?夏休みは、基本的に昼間は一人だろ?中1の時もそうだっただろ?」

「だから、帰って」

「お邪魔しまーす」

僕は、大海力に、力では敵わない。

「結斗、しようぜ」

下半身にしか血が通ってないんじゃないのか?

二階の部屋に腕を引っ張られて、連れていかれる。

ドサッ…

ベッドに、倒された。

「やめてよ、力」

「はあ?」

「痛い」

ギリギリと首を絞められる。

「だったら、するか?」

僕は、首を縦にふるしか出来なかった。
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