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連鎖を止めるには…

封印の話

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私は、宮部さんに紙を差し出した。

「これ、…中学の桜宮さんですか?」

「彼は、桜木さんの遠い親戚です。彼もまた、桜木さんと同じ扱いを受けていた。」

「って事は…」

「オカルト的な話をすれば、悪霊です。」

「そんな…」

「まあ、仕方ないですよね。桜木さんも桜宮さんも、あの木の下で自らを殺した。そして、その霊に力を与えたのは人間です。」

「すぐにでも、やめさせないと犠牲者がまたでるんですよね。」

「無理です。桜宮さんは、冴草健斗が再び呼び覚ましました。」

「えっ?」

宮部さんは、私を見つめる。

「ここに書いてあるでしょ?」

「全ての力を使って、桜宮重春さくらみやしげはるを封印した。そして、弟子の井手章大いでしょうたが、命と引き換えに桜木徳路さくらぎとくじを封印した。この封印が、解かれた時。甥の三日月宝珠みかづきほうじゅが、死をもって永久に封印する事とする。神社の巫女と契りを交わした。」

「師匠がね、私の叔父でね。勝手に約束したんだよ。あの神社の巫女とね。全てが終わったら、封印しようか?宮部さん」

「三日月さん、駄目に決まってるじゃないですか」

宮部さんは、ボロボロ泣き出した。

「色々調べた結果、あの神社と桜木さんと桜宮さんは、関係していてね。私は、それを止めれば、悲しい出来事の数が減ると考えてるんだ。それが、三日月家の中で、一番濃い血を受け継いだ自分の役目だと思ってるんです。だから、宮部さん。私にとって、これが最後になります。最後まで、お手伝いお願いしますね」

「三日月さんが、死ぬんですよ。駄目に決まってます。まだ、まだ、ビジョンを見せてほしい人はいますよ」

「宮部さん、私は、あの神社で名前を彫られてる方々に接触しましたよ。勿論、ビジョンも見せました。最後が、この8人です。だから、私の役目はこれで終わるのですよ。」

宮部さんは、涙をボロボロと流している。

「何とかしましょう。他に、出来る事を考えましょう。三日月さん」

「宮部さん、無理です。それに、私は、普通の人間にもなれない。恋も出来ない。子供も授けられない。巫女と契約した時に、後世を作らないという条件を作られたらしくてね。28歳の時に調べたんですよ。子種が、一匹も存在しなかった。仕方ない事です。私は、初めから人ではないものなのかもしれませんね。」

「三日月さんは、人です。人なんです。だから、別の方法を…」

私は、宮部さんの涙をハンカチで拭った。

「宮部さん、別の方法はありませんよ。それと、宮部さんの記事が出来たら私が封印しに行きます。」

「三日月さん」

「今日は、ゆっくり休んで下さい。五木結斗の、ビジョンをみるのは体力をかなり使いますから。では、お気をつけて」

私は、宮部さんに頭を下げた。

宮部さんは、泣きながら車を降りた。

宮部さんが、家に入るまで見届けていた。

『三日月先生』

「結斗君、いらっしゃい」

五木結斗は、私の隣に座った。

『三日月先生は、彼女に恋をしていたよね。僕のビジョンを何度も見てから』

「そうだったね」

『三日月先生、命をかけて終わらせるんでしょ?』

「ああ、そのつもりだよ。結斗君にもわかっているだろ?」

『無垢な魂をこれ以上喰われたらいけないって事でしょ?前に、話してくれたからね』

「そうだよ!結斗君は、浜井凌平の器にいれて欲しいのか?」

『三日月先生』

「綺麗にしてもらわないと、それは消えないのか?」

五木結斗は、目を伏せた。

『三日月先生が、僕に解放されるって言ってくれたけど…。あれから、さらに15年が経ったのに、ずっと同じ場所にいる。陸に綺麗にされれば、呪いは解けるのかな?三日月先生』

「初めてだから、やってみるしかない。」

『無理でも、怒らないから。三日月先生』

車を駐車場に停めて、家にあがる。

五木結斗も、ついてくる。
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