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彼女の悩み
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「私、昨日、崎谷さんにお話しましたけど…。痩せないんです。」
「そうなんだね」
「はい、何をしても痩せません」
「それは、仕方ないね。」
「しかし、身内や友人や仕事仲間からは怠けてる、努力をしていないと言われます。努力が足りないのですよね。」
「いや、それはないと思うけど…。俺、葉月さん見てるけど昼間は栄養なさそうな飯食べてるでしょ?頑張ってるなって思ってたよ」
葉月さんは、また泣いてしまった。
「そんな風に言われたの初めてです。実は、足が悪くて運動はドクターストップなんです。」
「それで、装具つけてるんだね。」
「はい、昔は痩せてました。足も元気で、ダンスや運動が大好きで太ってる人は努力が足りないと私も思っていました。少し食べる量を控えたり抜けば、スルスルと体重が落ちましたから…。ダイエットなんて、簡単なものだと思ってました。それが、今じゃ89キロになりまして。何をしても、一キロも減らず、むしろ太っていきます。」
俺は、葉月さんを見つめていた。
「そんな体質みたいなのがあるんだね。」
葉月さんは、また泣いてしまった。
「崎谷さんは、信じてくれるのですか?」
「信じるよ。だって、あの弁当みたら信じるよ」
「誰もわかってくれなかった。」
「泣かないで」
俺は、ティシュを渡した。
「このサプリを食べたら痩せる、おからを食べたら痩せる、野菜を食べたら痩せる、痩せないと身体によくない、努力したらすぐに痩せる。ずっと、そう言われてきた。苦しかった。頑張っても痩せない。努力しても痩せない。食事制限をしても痩せない。私は、ダメな人間だと思ってきました。」
葉月さんは、ボロボロ泣いてる。
俺には、葉月さんの気持ちがわかる。
高校生の頃、父と母に言ったんだ。
「あの、俺。女の子に興味ないんだ。」
「それは、好きになる努力をしていないからよ」
「人を愛する努力をしなさい」
努力をした結果、息子が言った言葉だったのにわかってもらえなかった。
だから、俺は、卒業して引っ越してきてから一度も親に会っていない。
弟と妹が、うまくやってるだろ。
「葉月さん、努力じゃどうにもならない事があるの俺は知ってるよ。」
葉月さんは、俺をジッと見てる。
「わかってくれるんですか?」
「わかるよ。俺、ゲイだから」
「そうですか」
「えっ?それだけ?」
「えっと、何か言えばよかったですか?」
「いや、すげー。あっさりしてるから」
「あっさり?そうですか?」
「普通は、キモいとかないとかあるだろ?」
「気にした事なかったです。むしろ、ボーイズラブやガールズラブの類いは大好きですよ。」
葉月さんが、笑ってくれた。
この人を歪ませたのは、努力が足りない、怠けてるって言葉のせいなんだ。
「なんか、すみません。」
「いや、気にしてないよ。そんな風に言われて、嬉しいわ。」
俺は、笑った。
「あのさ、料理ってもしかして得意?」
「料理は、大好きです。気分がスッキリするので」
「じゃあさ、ハンバーグ作ってくれない?」
「得意です。」
「味噌汁も」
「はい」
「じゃあ、行こう」
「えっ?」
「俺、葉月さんに会わせてあげたい人がいるから」
「あっ、はい」
俺は、運転席に乗り込んで車を走らせた。
家の近くのスーパーに寄った、葉月さんが材料を選んでる。
俺と葉月さんを見ながら、コチョコチョ話してる。
でも、料理の材料を選ぶ葉月さんは何も気にしていない。
「崎谷さん、お味噌汁は具は何がいいですか?」
「なめこが好き。」
「へー。じゃあ、なめこにしましょう。」
そう言って、葉月さんはまた買い物をしている。
葉月さんは、調味料にこだわっているようでラベルを見ながらいれていく。
葉月さんの作る料理は、絶対美味しい。
俺には、わかる。
葉月さんは、買い物を終えた。
「俺が、払うよ」
「はい」
お会計をした。
俺は、荷物を持って車に乗せた。
「そうなんだね」
「はい、何をしても痩せません」
「それは、仕方ないね。」
「しかし、身内や友人や仕事仲間からは怠けてる、努力をしていないと言われます。努力が足りないのですよね。」
「いや、それはないと思うけど…。俺、葉月さん見てるけど昼間は栄養なさそうな飯食べてるでしょ?頑張ってるなって思ってたよ」
葉月さんは、また泣いてしまった。
「そんな風に言われたの初めてです。実は、足が悪くて運動はドクターストップなんです。」
「それで、装具つけてるんだね。」
「はい、昔は痩せてました。足も元気で、ダンスや運動が大好きで太ってる人は努力が足りないと私も思っていました。少し食べる量を控えたり抜けば、スルスルと体重が落ちましたから…。ダイエットなんて、簡単なものだと思ってました。それが、今じゃ89キロになりまして。何をしても、一キロも減らず、むしろ太っていきます。」
俺は、葉月さんを見つめていた。
「そんな体質みたいなのがあるんだね。」
葉月さんは、また泣いてしまった。
「崎谷さんは、信じてくれるのですか?」
「信じるよ。だって、あの弁当みたら信じるよ」
「誰もわかってくれなかった。」
「泣かないで」
俺は、ティシュを渡した。
「このサプリを食べたら痩せる、おからを食べたら痩せる、野菜を食べたら痩せる、痩せないと身体によくない、努力したらすぐに痩せる。ずっと、そう言われてきた。苦しかった。頑張っても痩せない。努力しても痩せない。食事制限をしても痩せない。私は、ダメな人間だと思ってきました。」
葉月さんは、ボロボロ泣いてる。
俺には、葉月さんの気持ちがわかる。
高校生の頃、父と母に言ったんだ。
「あの、俺。女の子に興味ないんだ。」
「それは、好きになる努力をしていないからよ」
「人を愛する努力をしなさい」
努力をした結果、息子が言った言葉だったのにわかってもらえなかった。
だから、俺は、卒業して引っ越してきてから一度も親に会っていない。
弟と妹が、うまくやってるだろ。
「葉月さん、努力じゃどうにもならない事があるの俺は知ってるよ。」
葉月さんは、俺をジッと見てる。
「わかってくれるんですか?」
「わかるよ。俺、ゲイだから」
「そうですか」
「えっ?それだけ?」
「えっと、何か言えばよかったですか?」
「いや、すげー。あっさりしてるから」
「あっさり?そうですか?」
「普通は、キモいとかないとかあるだろ?」
「気にした事なかったです。むしろ、ボーイズラブやガールズラブの類いは大好きですよ。」
葉月さんが、笑ってくれた。
この人を歪ませたのは、努力が足りない、怠けてるって言葉のせいなんだ。
「なんか、すみません。」
「いや、気にしてないよ。そんな風に言われて、嬉しいわ。」
俺は、笑った。
「あのさ、料理ってもしかして得意?」
「料理は、大好きです。気分がスッキリするので」
「じゃあさ、ハンバーグ作ってくれない?」
「得意です。」
「味噌汁も」
「はい」
「じゃあ、行こう」
「えっ?」
「俺、葉月さんに会わせてあげたい人がいるから」
「あっ、はい」
俺は、運転席に乗り込んで車を走らせた。
家の近くのスーパーに寄った、葉月さんが材料を選んでる。
俺と葉月さんを見ながら、コチョコチョ話してる。
でも、料理の材料を選ぶ葉月さんは何も気にしていない。
「崎谷さん、お味噌汁は具は何がいいですか?」
「なめこが好き。」
「へー。じゃあ、なめこにしましょう。」
そう言って、葉月さんはまた買い物をしている。
葉月さんは、調味料にこだわっているようでラベルを見ながらいれていく。
葉月さんの作る料理は、絶対美味しい。
俺には、わかる。
葉月さんは、買い物を終えた。
「俺が、払うよ」
「はい」
お会計をした。
俺は、荷物を持って車に乗せた。
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