虹色の恋

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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限界

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涙を拭った。

必死で止めた。

「もう、食べちゃった?」

「うん。」

「どうした、大丈夫?」

「なんで?」

「何か、目が赤い気がして」

そう言って美羽は、パンを食べてる。

ポタポタって止めたはずの涙が溢れてきた。

「えー。りり、大丈夫?前の彼氏の事考えてた?」

「違うよ。」

「どうしたの?」

限界だった。

胸が苦しくて苦しくて


「私ね。」

「うん。」

「私ね。」

「うん」

「私ね、青君が好きなの」

涙がバァーって溢れてきた。

美羽まで泣いてる。

「えっ?そうだったの?知らなかった。ごめんね。」

美羽が泣いてる。

「ごめん。美羽まで泣かせてしまって」

「何か、りりの気持ちがわかったから…。シンクロかな?ハハハ」

「こんなすぐに好きになるなんて、おかしいよね。」

「おかしくないよ。いつ誰を好きになるかなんてわからないじゃん。」

「うん。でも、こんな恋、初めてで。どうしたらいいかわからなくて…。」

「うん。私でよかったら協力するよ。」

「ありがとう。」

美羽は、涙を拭ってパンを食べてる。

「マスカラ落ちたね」

「メイクバッチリしなきゃね。」

「うん。」

そう言って笑った。

「でもさ、本当にうまくいけばいいのに…。青君があんなに話てるのみるの初めてだよ。」

「友達として話しやすいだけじゃないかな。」

「友達としてでもだよ。りりみたいな感情があるかは、わからないけど。でも、他の子と違ってりりには話しかけてるのは事実だよ。」

「そうなのかな。」

「うん。少なくとも、見てきた中では全くない。初めてだったよ。」

「頑張ってみたい。」

「そんなに気持ちが、溢れてるなら夏休み入る前に気持ち伝えてみたら?」

「後、1ヶ月しかないよ。」

「それでも、伝えなきゃ前に進めないでしょ?」

「うん、そうだよね。」

「夏休み入るまでは、たくさん話してみなよ。私も協力するから」

「ありがとう。頑張ってみる」

そう言って涙を拭って笑った。

「ほら、みんなのとこ行くよ。まずはトイレでメイク直し」

そう言って美羽にトイレに連れて行かれた。

ティシュ使って、とれたマスカラとかを器用にとってメイクを直した。

「じゃあ、行こうか」

「うん。」

そう言って美羽と並んで歩きだす。


「あー。きたきた。」

赤井君が手を振ってる。

「美羽とりりちゃん、どれ飲みたい?」

「りりは、これだよ。」

そう言って赤井君の手から美羽が取って私に渡した。

いちごミルク。

「りりちゃん、それ好きなの?」

「あ、はい。」

「何か、中毒性あるよね。」

「はい。」

「どうぞ。」

「いただきます。」

私は、赤井君に笑う。

緑川君、藍野君、紫悠君、青君もやってきた。

「赤井、くれんの?」

「どうぞ」

「俺、これ」

みんな楽しそうにはしゃいでる。

「黄川田、次授業なに?」

「俺、次帰るわ!用事」

「そっか」

緑川君と黄川田君が話してる。

レインボーを見てるの楽しい。

「あれさ。レインボーだよね?」
「あの子、一年かな?」
「美羽は、わかるけど…あの子生意気じゃない。」

女の子の集団が、こっち見てコチョコチョ話してる声が聞こえる。

「何か用?」

紫悠君が、女の子に話しかけた。

「何もないです。」って言って去っていった。

「何か、言われた?」

紫悠君が、私に声をかけてくれた。

「大丈夫ですよ。」私は、笑って言った。

まだ、話してくれそうだったけど美羽が止めた。

「りり、ちょっとちょっと」

立ち上がって美羽に近づく。

「喋ってきなよ。」

美羽の視線の先を見ると、青君と藍野君が話してる。

「頑張ってみる。」

「うん、ファイト」そう言うと美羽は、赤井君のとこに行った。

深呼吸して、ゆっくり近づく。

頑張れ、私。

頑張れ。

自分を応援する。


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