歪な気持ち~3つの恋~

三愛 紫月 (さんあい しづき)

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通過地点の恋。

あつの気持ち

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容姿端麗、頭も良くて、運動神経もいい、紺野愛梨こんのあいりに何一つ勝てるとこなんてない。

だから、余計にイライラする。

私は、クッキーを食べる。

あつは、ずっと下を向いていた。

「ぅんっ」

クッキーを唇で挟んで、あつに食べろと言った。

昔、二人でTVでお笑い芸人さんがポッキーゲームをやっているのを思い出した。

「えっ?」

「ぅんっ」

「わかった。」

あつは、クッキーの端を噛った。

「キスしよっか?」

「はっ?何言ってんの?」

クッキーをバリバリ食べる。

「照れてんの?」

「べ、別に…」

「何なら、もっと先もいいよ」

「ふざけてるだろ?」

「ふざけてないよ」

「お、俺が、紺野さんに好かれないのわかっててやってんだろ?」

バチン

あつの、頬を平手打ちした。

あつは、私を睨み付けた。

「ごめん。あつが、一番嫌な事したね」

あつをいつもみたいに抱き締めようとしたけど、あつは拒んだ。

芽唯めい、俺だって男なんだよ。その胸に抱き締められたらどうなるかわかんないよ」

「いつもしてあげてたでしょ?」

「小さな頃とは、違うよ」

「小さな頃だけじゃないじゃん。最近だって」

「そうだけど、ここ最近。胸が大きくなってるだろ?だから…」

「私でしたりするの?」

「なわけねーだろ?」

「じゃあ、何で目そらすの?」

あつは、泣き出した。

「俺、マジで。紺野さんが好きなんだよ。花村が付き合ってないって言うから…。夏休みあけたら、気持ち言いたいんだよ。だから、芽唯が冗談で俺で遊んでくるの何か悲しくて。俺の恋、応援してくれるって信じてたから」

その姿を見て、私も泣いていた。

何で、苦しいのかな?

あつは、小さな頃から私のものだって思い込んでいたんだ。

男女の友情は、本当にないのかな?

あつとキスしたら、友情は終わってしまう?

「いいよ」   

「えっ?」

「キスしていいよ」

涙を拭いながら、あつが言った。

「何で?」

「佐伯の初めての人になれなかったから、俺の初めてになりたいだけだろ?」

図星だったみたいで、胸が槍を突き刺されたみたいに痛くなった。

私は、佐伯君の初めての相手になりたかったんだ。

自分が、初めてだから嫌だったんだ。

「あつ、ごめん。もう、いいから」

「ふざけんなよ」

私は、床に押し倒された。

「ずっと、ずっと、芽唯が好きだった。だけど、その気持ちよりもっともっと好きな人を見つけた。俺は、紺野さんが好きなんだよ。なのに、何で、グチャグチャにかき回すんだよ」

力強いあつに手首を掴まれて、涙が流れてきた。

「だったら、好きにしなよ」

私は、涙目であつを見つめた。

「本当は、したいんでしょ?男子は、そればっかじゃん。誰だっていいんだよ。みんな、下半身が猿みたいな連中じゃん。そん中にいる、あつだってそうでしょ?」

「違う」

あつは、起き上がった。

体育座りをして泣いてる。

「母さんが、兄ちゃんの家庭教師としてんの見たんだ。」

「いつ?」

「中一にはいってすぐ」

「初めて聞いたよ」

「誰にも言わないつもりだったから」

「それで…」

あつは、膝をギュッと強く握る。

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