2 / 17
野蛮な君を愛してる
羨ましい
しおりを挟む
中学二年生にあがっても、私は同じ事を繰り返して過ごした。
それは、夏休みに入る二日前の出来事だった。
私は、二年生になってから小野田先生をストーカーするようになっていた。
何故なら、小野田先生を#新田_にった__#君がずっと好きなのを知っていたから…。
少しでも、近づきたかった。
放課後の教室で、小野田先生と新田君と佐伯君を見つけた。
「花村君を利用するのは、やめなさい。」
「何で、そこまで言われなきゃいけないんだよ」
「お金をだしてもらったりしてるのも、他の生徒から聞いてるの。だから、そう言うのはやめなさい。」
「小野田先生、そんな言い方するなんて酷すぎない?」
佐伯君が、小野田先生を後ろから押さえつけた。
「やめなさい。離しなさい」
新田君は、先生の肩のあたりを噛んだ。
「いたー」
その声に、羽尾先生がやってきた。
佐伯君と新田君は、とっさに離れた。
「小野田先生、どうされましたか?」
「いえ、足をぶつけただけです。」
「それで、そんな大きな声を出したんですか」
「すみません」
「保健室で、手当てしてもらって下さい。君達も帰りなさい」
「はい」
羽尾先生は、教室を出ていった。
「新田君、どういうつもりか知らないけれど、今度同じ事をしたら私は生徒でも新田君を許さないから」
「小野田先生にとって、俺は生徒?」
「当たり前です。花村君の事、利用するのは、本当にやめて。」
「あっそ」
新田君と佐伯君が出てきた。
「隆太、帰ろうぜ」
「先、帰って」
私は、教室に隠れた。
小野田先生が、出てきた。
肩を押さえていた。
白いハンカチに血がついていた。
「羨ましい」
ついボソッと口に出してしまった。
私は、新田君の世界にいれるなら、どんな役割でも構わない。
殴られる女でも、セフレでも、ブンブンと飛び回るハエでも…。
何でも構わなかった。
私は、教室を出た。
小野田先生に気を取られて、肝心の新田君を見失ってしまった。
教室を覗きながら歩くと、三つ目の教室で新田君を見つけた。
ガラガラ…
私は、新田君に近づいた。
「小野田先生に拒否されたぐらいで、新田君はそんな事をするんだね?」
私の言葉に、新田君は振り返った。
あの新田君が、泣いていた。
「誰だっけ?」
「夢野琴子」
「あー。同じクラスのやつだな」
「そうだよ」
「そんな嬉しいのかよ」
「嬉しいよ」
嬉しいに決まってる新田君の世界に入れたなんて。
「小野田先生って、お前見てたのかよ」
「見てたよ」
「全部か?」
「うん、全部」
「何で、見てんだよ」
「たまたま、近くの教室に居たからだよ。」
「俺を脅すのか?」
「脅すわけないじゃん。好きな人に噛みつきたくなる野蛮さは、誰もがもっている事だよ」
そう笑った私の顔を、新田君は、ジッーと見つめてきた。
「お前、化粧したらちょっとは、綺麗なんじゃねーの?」
「化粧かー。高校生になったら、やってみようかな」
「その方が、いいと思うよ」
新田君は、ようやく机の上から降りた。
私と新田君の距離が縮まった。
「内緒にしてくれるか?」
「何を?」
「今の」
「あー。新田君の世界が終わって、ここから飛び降りようとした事?」
「それ」
「小野田先生が、受け入れてくれると本気で思ってたの?」
「悪いかよ」
「大人は、肩を噛まれたぐらいでコントロールできないよ」
「そうみたいだな」
「彼女は?」
「今は、フリー」
新田君は、窓から外を見ている。
それは、夏休みに入る二日前の出来事だった。
私は、二年生になってから小野田先生をストーカーするようになっていた。
何故なら、小野田先生を#新田_にった__#君がずっと好きなのを知っていたから…。
少しでも、近づきたかった。
放課後の教室で、小野田先生と新田君と佐伯君を見つけた。
「花村君を利用するのは、やめなさい。」
「何で、そこまで言われなきゃいけないんだよ」
「お金をだしてもらったりしてるのも、他の生徒から聞いてるの。だから、そう言うのはやめなさい。」
「小野田先生、そんな言い方するなんて酷すぎない?」
佐伯君が、小野田先生を後ろから押さえつけた。
「やめなさい。離しなさい」
新田君は、先生の肩のあたりを噛んだ。
「いたー」
その声に、羽尾先生がやってきた。
佐伯君と新田君は、とっさに離れた。
「小野田先生、どうされましたか?」
「いえ、足をぶつけただけです。」
「それで、そんな大きな声を出したんですか」
「すみません」
「保健室で、手当てしてもらって下さい。君達も帰りなさい」
「はい」
羽尾先生は、教室を出ていった。
「新田君、どういうつもりか知らないけれど、今度同じ事をしたら私は生徒でも新田君を許さないから」
「小野田先生にとって、俺は生徒?」
「当たり前です。花村君の事、利用するのは、本当にやめて。」
「あっそ」
新田君と佐伯君が出てきた。
「隆太、帰ろうぜ」
「先、帰って」
私は、教室に隠れた。
小野田先生が、出てきた。
肩を押さえていた。
白いハンカチに血がついていた。
「羨ましい」
ついボソッと口に出してしまった。
私は、新田君の世界にいれるなら、どんな役割でも構わない。
殴られる女でも、セフレでも、ブンブンと飛び回るハエでも…。
何でも構わなかった。
私は、教室を出た。
小野田先生に気を取られて、肝心の新田君を見失ってしまった。
教室を覗きながら歩くと、三つ目の教室で新田君を見つけた。
ガラガラ…
私は、新田君に近づいた。
「小野田先生に拒否されたぐらいで、新田君はそんな事をするんだね?」
私の言葉に、新田君は振り返った。
あの新田君が、泣いていた。
「誰だっけ?」
「夢野琴子」
「あー。同じクラスのやつだな」
「そうだよ」
「そんな嬉しいのかよ」
「嬉しいよ」
嬉しいに決まってる新田君の世界に入れたなんて。
「小野田先生って、お前見てたのかよ」
「見てたよ」
「全部か?」
「うん、全部」
「何で、見てんだよ」
「たまたま、近くの教室に居たからだよ。」
「俺を脅すのか?」
「脅すわけないじゃん。好きな人に噛みつきたくなる野蛮さは、誰もがもっている事だよ」
そう笑った私の顔を、新田君は、ジッーと見つめてきた。
「お前、化粧したらちょっとは、綺麗なんじゃねーの?」
「化粧かー。高校生になったら、やってみようかな」
「その方が、いいと思うよ」
新田君は、ようやく机の上から降りた。
私と新田君の距離が縮まった。
「内緒にしてくれるか?」
「何を?」
「今の」
「あー。新田君の世界が終わって、ここから飛び降りようとした事?」
「それ」
「小野田先生が、受け入れてくれると本気で思ってたの?」
「悪いかよ」
「大人は、肩を噛まれたぐらいでコントロールできないよ」
「そうみたいだな」
「彼女は?」
「今は、フリー」
新田君は、窓から外を見ている。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
3つの恋のお話。
三愛 紫月 (さんあい しづき)
恋愛
これは、3つの恋のお話。
こちらの主人公達は、菅野先生と関わっている生徒のお話と小野田先生と菅野先生のお話。
【そのキラキラがもどるまで…】君のキラキラが、もう一度見れるならどんな事をされたって、どんな事を言われたって、大丈夫だって私は信じていたんだ。
【君は君だよ。】
私の好きな君には、好きな人がいた。
自分を犠牲にする君を私はもう見たくない。
ねぇー。私を好きになってくれない?
小花蘭(おばならん)が、花村紫音(はなむらしおん)の病院に走り出した。
その裏で、動き出していたもう一つの恋の物語。
【同じ愛を抱くもの】
同じ境遇の人間は、付き合ってもうまくいかないと思っていた。
この人に出会うまでは…。
これは、小花蘭(おばならん)、花村紫音(はなむらしおん)、赤池里子(あかいけさとこ)、坂口斗真(さかぐちとうま)の恋の裏で、動きだしていた大人の恋のお話。
管野先生が、赤池里子(あかいけさとこ)と話した後のお話。
こちらから、先にお読みください。
6つの話を読むことで、あの時のみんなの気持ちがわかります。
ノベルアップ+、小説家なろうにも載せています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
大好きな人が義兄になりました♡
もか♡
恋愛
同級生の蓮也に2年間片想いをしている萌恋、勇気を振り絞って告白をしたが、結果は惨敗。
そんな日に不仲だった両親が離婚し、弟は母に、萌恋は父に引き取られた。
その後直ぐに父が再婚相手を連れてきて⎯⎯
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】あなたに恋愛指南します
夏目若葉
恋愛
大手商社の受付で働く舞花(まいか)は、訪問客として週に一度必ず現れる和久井(わくい)という男性に恋心を寄せるようになった。
お近づきになりたいが、どうすればいいかわからない。
少しずつ距離が縮まっていくふたり。しかし和久井には忘れられない女性がいるような気配があって、それも気になり……
純真女子の片想いストーリー
一途で素直な女 × 本気の恋を知らない男
ムズキュンです♪
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる