上 下
638 / 646
新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】

エスパーみたいだね【凛】

しおりを挟む
「凛君は、エスパーみたいだね」
「何それ?今をときめく大スターなんだよ!考えたらわかるよ」
「確かに、それもそうだよね」
「週刊誌に載ったら迷惑かかるのはわかりよ。だけど、あいつの覚悟はそんなんじゃないと思うよ」

凛君は、拓夢を睨み付けるように話す。

「あいつって……」
「ごめん。だけど、その覚悟なかったら凛さんと会ってなかったでしょ?だから、気にする必要ないんじゃないのかなって思うんだよ」
「凛君は、優しいね」
「優しくなんかないよ」
「ううん。優しいよ」

今だって……。
私を好きだって言ってくれた時だって……。
言葉にはしなかった。
したらまた、凛君を傷つけてしまいそうだったから……。

「久しぶりだね」

私は、その声に顔を上げる。

「お久しぶりです。あ、あの……」
「そんなに固くならなくたっていいよ。俺は、もう怒っていないから……」

龍ちゃんは、凛君に優しく笑いかける。
本当に、神様みたいな人。

「あの、二次会からなら参加しないかって呼ばれて……。それで、凛さんを見つけて。嬉しくて、つい話しかけちゃって」
「だから、怒ってないって……。まだ、君が凛を好きだと思ってくれていて嬉しいよ」

龍ちゃんは、ニコニコ笑いながら凛君に話す。

「あっ!!でも、今は向き合いたい人がいて。だから、その子の気持ちに答えようってしてて」
「蓮見の娘?」
「は、はい。そうです」

凛君の言葉に龍ちゃんは頷いていた。

「彼女は、たくさん傷ついただろうから……。君が向き合って支えてあげる事はいい事だね」
「は、はい。僕もそう思ってます」
「だから、そんなに怯えないでくれよ。で、足の方はもう大丈夫?」
「はい。大丈夫です。もう、この通り」

凛君は、大袈裟に足をあげて見せた。

「よかった。あの時、君がいなかったら俺は刺されていたし……。凛もどうなってたかわからない。本当にありがとう。君には、感謝してもしきれないよ」
「そ、そんな。大袈裟ですよ。僕のせいで、凛さんがあんな事に巻き込まれてしまったんですから……。謝らなければいけないと思っていました。凛さん、旦那さん。ごめんなさい」

凛君は、私と龍ちゃんに頭を下げてくる。

「そんなの気にしなくていいよ。悪いのは、蓮見君だから……」
「そうだよ!君じゃない。蓮見が悪いんだよ」
「そんな風に言ってくれてありがとうございます」

龍ちゃんは、凛君を見て笑う。

「気を遣わないでって言われたって気を遣うのは当たり前だね」
「ごめんなさい。やっぱり、まだ緊張します。怒ってないのはわかっていても……」

凛君は、龍ちゃんを見ながら何度も会釈をした。

「来てくれたんだな。嬉しいよ」
「あっ!はい。じゃあ、僕。話してきますね」
「うん」
「凛さん。二年後の約束は、今日とは別ですからね」
「わかってるよ」
「じゃあ、また。どこかで会えたら……」

凛君は、手を振ってまっつんさんの元に行った。

「二年後?」
「ああ。うん。二年後、会えたら友達になってって言われてね」
「へぇーー。友達か!いいんじゃない?」
「うん……。あのさ、龍ちゃん」
「どうした?」
「さっきの話だけど、まだ考えたくないし。考えられない……」
「そうだよな。無神経だったよな……」

私は、首を横に振る。

「囚われて欲しくないのはわかってるから……。それでも、まだ私は……」
「わかってる。凛」

龍ちゃんは、私の手を握りしめる。

「どんな結末を迎えようと進んだ先にしか答えはない……だろ?」
「そうだね」

私と龍ちゃんが大好きな映画の主人公の言葉。私達は、何かある度にこの言葉を言っていた。
これからも、進んで行くしかないんだ。

私は、拓夢を見つめる。
どんな結末を迎えようとうけいれるしかないんだよね。

拓夢は、その覚悟が出来てるのかな……?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。

NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。 中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。 しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。 助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。 無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。 だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。 この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。 この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった…… 7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか? NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。 ※この作品だけを読まれても普通に面白いです。 関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】     【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

(完結)元お義姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれど・・・・・・(5話完結)

青空一夏
恋愛
私(エメリーン・リトラー侯爵令嬢)は義理のお姉様、マルガレータ様が大好きだった。彼女は4歳年上でお兄様とは同じ歳。二人はとても仲のいい夫婦だった。 けれどお兄様が病気であっけなく他界し、結婚期間わずか半年で子供もいなかったマルガレータ様は、実家ノット公爵家に戻られる。 マルガレータ様は実家に帰られる際、 「エメリーン、あなたを本当の妹のように思っているわ。この思いはずっと変わらない。あなたの幸せをずっと願っていましょう」と、おっしゃった。 信頼していたし、とても可愛がってくれた。私はマルガレータが本当に大好きだったの!! でも、それは見事に裏切られて・・・・・・ ヒロインは、マルガレータ。シリアス。ざまぁはないかも。バッドエンド。バッドエンドはもやっとくる結末です。異世界ヨーロッパ風。現代的表現。ゆるふわ設定ご都合主義。時代考証ほとんどありません。 エメリーンの回も書いてダブルヒロインのはずでしたが、別作品として書いていきます。申し訳ありません。 元お姉様に麗しの王太子殿下を取られたけれどーエメリーン編に続きます。

忙しい男

菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。 「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」 「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」 すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。 ※ハッピーエンドです かなりやきもきさせてしまうと思います。 どうか温かい目でみてやってくださいね。 ※本編完結しました(2019/07/15) スピンオフ &番外編 【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19) 改稿 (2020/01/01) 本編のみカクヨムさんでも公開しました。

社長から逃げろっ

鳴宮鶉子
恋愛
社長から逃げろっ

父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました

四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。 だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...