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新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】
それでも……(拓夢)
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「何で、拓夢が泣くの?」
「ごめん。凛」
俺は、必死で涙を拭う。
「世の中の人は、きっと拓夢や龍ちゃんの事、色々言うんだろうね」
「そうかも知れないな」
「だけど、私は気にしないよ。だって、二人がいたから私はここで今生きてるんだから……」
「凛には、幸せになって欲しい。出会った時から、それは変わらない」
「なれるかな?不幸が染み付いちゃってるよ」
凛が、悲しい顔で笑う。あの頃みたいに、守ってあげる事は出来ない。
「凛……。俺」
言いかけた言葉を飲み込もうとした俺のかわりに凛が言う。
「わかってるよ。もう、私を慰めたりは出来ないって事ぐらい」
俺は、凛に何も言えずに俯いた。
「拓夢!目そらさないでよ。私、拓夢に話すだけでここが軽くなったよ。だから、大丈夫」
凛は、胸を擦りながら笑っている。
「幸せになって欲しいのは、本当だよ。俺は、ずっと凛の幸せを願ってる。出会ったあの日から何も変わってない。きっと、俺は誰よりもズルい。だって、あの日。拒めないのをわかっていながら凛の心の隙間に入った……。あんな風にしたら、いけなかったんだよ。だけど、あの時の俺は……」
「私、怒ってないよ!だって、私が拓夢を選んだんだから……。何度も終わらせる事は出来た。だけど、終わらせたくなかったんだよ。拓夢といると色んな事が忘れられたから……。だから、続けたかったの」
俺は、凛の涙を優しく拭っていた。
「二次会に行こうか……」
「うん。行こう」
本当は、今すぐに手を繋ぎたいぐらい。
俺は、凛を愛してる。
だから、これ以上……。
凛の幸せを壊したくない。
「拓夢」
「何?」
「時々は、話したりしたい」
「確かに……。忙しくて、ろくに出来なかったもんな……。なるべく時間作るから、電話する」
「ありがとう。嬉しい」
凛がニコニコ笑うだけで嬉しい。
その笑顔を守りたい。
その為に、俺が出来る事をしたかった。
「何かあったら、いつでもメッセージいれててよ。電話出来る時に、すぐにかけるから……」
「すぐ、子供の事で落ち込んじゃうよ。私……」
「いいよ。それが、凛だろ?出会った時もそうだった」
「大人になればなる程、手に入らないものが増えてくね……。それでも、追いかけてしまうのは動物としての本能かな?」
「確かに、男はいくつになっても子孫繁栄を考えて女性を口説こうとするしな」
俺と凛が笑い合う。
「やっぱり、まだ別れてなかったんですかーー」
その声がした方を俺達は見つめる。
「また、あんたかよ!!」
「いやーー。厳重にされていたから色んな場所歩いてよかったよ。これは、大スクープになるよ!世間は、不倫を嫌がるからね。特に昨今はみんな潔癖だから」
「私達は、付き合ってません。そんなデタラメな記事書かないで下さい」
「付き合ってないやつがこんな愛しそうにお互いを見つめたりなんかしませんよ」
そいつは、俺と凛に撮った写真を見せてくる。
「俺は、どうなったっていい。だから、彼女の事を悪くかくのはやめてくれ」
「へぇーー。ヒーローになったつもりか?それとも、自分は大人気だから落ちる事はないと思ってるのか?」
「そんなの思ってない」
「他人の不幸は蜜の味ってやつだろ?」
「それは、そっちの仕事じゃないのかよ」
俺は、そいつを睨み付ける。
「手を出さないのは正解だな!まあ、来週の週刊誌楽しみにしとけ」
「ちょっと待て」
「拓夢……」
凛の悲しい顔を見て、俺は立ち止まった。
「ごめん。凛」
俺は、必死で涙を拭う。
「世の中の人は、きっと拓夢や龍ちゃんの事、色々言うんだろうね」
「そうかも知れないな」
「だけど、私は気にしないよ。だって、二人がいたから私はここで今生きてるんだから……」
「凛には、幸せになって欲しい。出会った時から、それは変わらない」
「なれるかな?不幸が染み付いちゃってるよ」
凛が、悲しい顔で笑う。あの頃みたいに、守ってあげる事は出来ない。
「凛……。俺」
言いかけた言葉を飲み込もうとした俺のかわりに凛が言う。
「わかってるよ。もう、私を慰めたりは出来ないって事ぐらい」
俺は、凛に何も言えずに俯いた。
「拓夢!目そらさないでよ。私、拓夢に話すだけでここが軽くなったよ。だから、大丈夫」
凛は、胸を擦りながら笑っている。
「幸せになって欲しいのは、本当だよ。俺は、ずっと凛の幸せを願ってる。出会ったあの日から何も変わってない。きっと、俺は誰よりもズルい。だって、あの日。拒めないのをわかっていながら凛の心の隙間に入った……。あんな風にしたら、いけなかったんだよ。だけど、あの時の俺は……」
「私、怒ってないよ!だって、私が拓夢を選んだんだから……。何度も終わらせる事は出来た。だけど、終わらせたくなかったんだよ。拓夢といると色んな事が忘れられたから……。だから、続けたかったの」
俺は、凛の涙を優しく拭っていた。
「二次会に行こうか……」
「うん。行こう」
本当は、今すぐに手を繋ぎたいぐらい。
俺は、凛を愛してる。
だから、これ以上……。
凛の幸せを壊したくない。
「拓夢」
「何?」
「時々は、話したりしたい」
「確かに……。忙しくて、ろくに出来なかったもんな……。なるべく時間作るから、電話する」
「ありがとう。嬉しい」
凛がニコニコ笑うだけで嬉しい。
その笑顔を守りたい。
その為に、俺が出来る事をしたかった。
「何かあったら、いつでもメッセージいれててよ。電話出来る時に、すぐにかけるから……」
「すぐ、子供の事で落ち込んじゃうよ。私……」
「いいよ。それが、凛だろ?出会った時もそうだった」
「大人になればなる程、手に入らないものが増えてくね……。それでも、追いかけてしまうのは動物としての本能かな?」
「確かに、男はいくつになっても子孫繁栄を考えて女性を口説こうとするしな」
俺と凛が笑い合う。
「やっぱり、まだ別れてなかったんですかーー」
その声がした方を俺達は見つめる。
「また、あんたかよ!!」
「いやーー。厳重にされていたから色んな場所歩いてよかったよ。これは、大スクープになるよ!世間は、不倫を嫌がるからね。特に昨今はみんな潔癖だから」
「私達は、付き合ってません。そんなデタラメな記事書かないで下さい」
「付き合ってないやつがこんな愛しそうにお互いを見つめたりなんかしませんよ」
そいつは、俺と凛に撮った写真を見せてくる。
「俺は、どうなったっていい。だから、彼女の事を悪くかくのはやめてくれ」
「へぇーー。ヒーローになったつもりか?それとも、自分は大人気だから落ちる事はないと思ってるのか?」
「そんなの思ってない」
「他人の不幸は蜜の味ってやつだろ?」
「それは、そっちの仕事じゃないのかよ」
俺は、そいつを睨み付ける。
「手を出さないのは正解だな!まあ、来週の週刊誌楽しみにしとけ」
「ちょっと待て」
「拓夢……」
凛の悲しい顔を見て、俺は立ち止まった。
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