624 / 646
新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】
考えがかわった【凛】
しおりを挟む
龍ちゃんは、私と拓夢が話す事を許してくれた。
もうすぐ、挙式が始まる時間だから拓夢とは別れた。
「何か、俺まで緊張してるよ」
「わかる!結婚式をしたからかな?」
「わからないな」
私は、龍ちゃんと挙式が行われるチャペルへの道を歩いていた。
「娘がいたら、龍ちゃんは泣いただろうね」
すれ違った花嫁さんを見つめながら、私は龍ちゃんを見つめていた。
結局、手に入らなかった世界の事を私はまだ考えているんだ。
「もう、ボロボロ泣いて式どころじゃないかもな」
そう言って、龍ちゃんはニコニコ笑ってくれる。
「龍ちゃん……」
「人間って、欲張りだよな!こんなに幸せなのに、別のものが欲しくなるんだよな…。ほら、今、目の前で美味しいもの食べてるのに、隣の人が食べてたのが欲しくなるみたい
な気持ち」
「隣の人の料理の方が温かくていい匂いがしてるからね」
私と龍ちゃんは、見つめ合って笑った。
「でも、食べてみると自分の好みじゃなかったりな」
「結局は、いつも食べてる味がよかったりね」
「そうそう」
私達は、経験した事がないものを想像して分かり合う事は出来ない。私と龍ちゃんの気持ちは、同じ立場の人にしかわからない。
だから、大抵の人間《ひと》はそこでわかってくれないならもう必要ないと匙を投げてしまう。
今までの私もそうだった。
でも、拓夢や理沙ちゃんやまっつんさんやかねやんさんやしゅんさんや相沢さんや智天使(ケルビム)のはやとさん
に出会った私は……。
いつの間にか、考えが変わっていた。
私の気持ちをきちんと理解してくれてる人と理解してくれてない人が存在する。
経験した事がない痛みを想像する事は、想像の枠を越えない事をより学んだ。
それは、仕方のない事なのを学んだ。
「結局、家で食べるご飯と味噌汁が一番よかったりするんだよね」
「そうだなーー。それが、一番味覚が喜ぶな」
「でしょう!」
形は違っても分かり合えるんだよって事を私に示してくれたのは、拓夢と理沙ちゃんだった。
痛みの種類は、違っても……。
分かり合える事を、私は初めて学んだ。
「緊張するね」
「何か、娘を送り出す父親の気分を味わってる気がするな!凛のお父さんもこんな気持ちだったのかな?」
「どうかな?でも、幸せになって欲しい気持ちが一番でしょ?」
「そうだな!幸せになって欲しいな!理沙さんと松田さんには」
私達は、チャペルについた。沢山の人が、もう集まっていて……。
私と龍ちゃんは、新婦側の場所に並んだ。
もうすぐ、二人の挙式が始まる。
もうすぐ、挙式が始まる時間だから拓夢とは別れた。
「何か、俺まで緊張してるよ」
「わかる!結婚式をしたからかな?」
「わからないな」
私は、龍ちゃんと挙式が行われるチャペルへの道を歩いていた。
「娘がいたら、龍ちゃんは泣いただろうね」
すれ違った花嫁さんを見つめながら、私は龍ちゃんを見つめていた。
結局、手に入らなかった世界の事を私はまだ考えているんだ。
「もう、ボロボロ泣いて式どころじゃないかもな」
そう言って、龍ちゃんはニコニコ笑ってくれる。
「龍ちゃん……」
「人間って、欲張りだよな!こんなに幸せなのに、別のものが欲しくなるんだよな…。ほら、今、目の前で美味しいもの食べてるのに、隣の人が食べてたのが欲しくなるみたい
な気持ち」
「隣の人の料理の方が温かくていい匂いがしてるからね」
私と龍ちゃんは、見つめ合って笑った。
「でも、食べてみると自分の好みじゃなかったりな」
「結局は、いつも食べてる味がよかったりね」
「そうそう」
私達は、経験した事がないものを想像して分かり合う事は出来ない。私と龍ちゃんの気持ちは、同じ立場の人にしかわからない。
だから、大抵の人間《ひと》はそこでわかってくれないならもう必要ないと匙を投げてしまう。
今までの私もそうだった。
でも、拓夢や理沙ちゃんやまっつんさんやかねやんさんやしゅんさんや相沢さんや智天使(ケルビム)のはやとさん
に出会った私は……。
いつの間にか、考えが変わっていた。
私の気持ちをきちんと理解してくれてる人と理解してくれてない人が存在する。
経験した事がない痛みを想像する事は、想像の枠を越えない事をより学んだ。
それは、仕方のない事なのを学んだ。
「結局、家で食べるご飯と味噌汁が一番よかったりするんだよね」
「そうだなーー。それが、一番味覚が喜ぶな」
「でしょう!」
形は違っても分かり合えるんだよって事を私に示してくれたのは、拓夢と理沙ちゃんだった。
痛みの種類は、違っても……。
分かり合える事を、私は初めて学んだ。
「緊張するね」
「何か、娘を送り出す父親の気分を味わってる気がするな!凛のお父さんもこんな気持ちだったのかな?」
「どうかな?でも、幸せになって欲しい気持ちが一番でしょ?」
「そうだな!幸せになって欲しいな!理沙さんと松田さんには」
私達は、チャペルについた。沢山の人が、もう集まっていて……。
私と龍ちゃんは、新婦側の場所に並んだ。
もうすぐ、二人の挙式が始まる。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
麗しのラシェール
真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」
わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。
ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる?
これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。
…………………………………………………………………………………………
短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる