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新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】
優しいおば様【拓夢】
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「幸せになるのよ」
「そうそう」
「本当に、幸せになりなさい」
三人のおば様達は、まっつんにそう言って笑いかけていた。
まっつんは、頷きながら泣いていた。
「母さん、あんまり泣かせたら…」
「あら、そうね」
俺が、母に話すと納得してくれたようだった。
コンコンー
「はい」
「失礼します」
従業員の方がやってきた。
「あら、もう時間ね。行きましょう」
「はい」
「じゃあね、優太君」
そう言って、おば様達はいなくなっ。
「俺も行くよ」
「あのさ、拓夢」
「何?」
「もしも、母親(あのひと)がいたら……」
「うん」
「出なくていいって伝えて欲しい」
「わかった」
俺は、まっつんの部屋から出た。
ただ、一言おめでとうって言ってもらう事が、こんなに大変な事だって知らなかった。
「拓……星村さん」
その声に、俺は顔を上げた。
「あっ、どうも」
「お久しぶりです。星村さん」
「あっ、はい。皆月さん夫婦も……」
凛と旦那さんに会ってしまった。
「堅苦しいね。凛も……。普通にしたらいいんだよ。俺は、気にしないから」
そう言って、皆月龍次郎さんは、ニコニコ笑ってくれる。
やっぱり、菩薩だな。
「ごめんね、龍ちゃん」
「全然」
「拓夢、元気にしてた?」
「うん。凛は?」
「元気だったよ」
「俺も、元気にしてた」
それ以上、俺は、話を続けられなくて……。
「後で、二人で話したら?」
「龍ちゃん」
「いいって、気にしなくて……」
「ありがとうございます」
「だから、堅苦しくなくていいって」
俺は、きっと皆月龍次郎(このひと)の優しさに甘えすぎてる。
それが、すごくわかるんだ。
俺は、皆月龍次郎(このひと)なら許してくれるって勝手に思ちゃってるんだ。
「ごめん、龍ちゃん。もうすぐ時間だから、お化粧直ししてくる」
「うん、わかった」
「ごめんね、拓夢」
「うん」
凛が俺に見せる顔と旦那さんに見せる顔の違いがハッキリわかった。
「星村さん」
「はい」
「凛の痛みや悲しみを拭っていただいてありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
皆月龍次郎さんは、俺の隣にやってきた。
「いい時間を過ごせたようでよかったです」
「何で、そんな風に思えるんですか?」
俺の言葉に、皆月龍次郎さんは左手の薬指にある指輪を俺に見せて笑った。
「指輪(それ)が、答えですか?」
俺の言葉に皆月龍次郎さんは、笑っている。
「そうかもな。俺には、指輪(これ)しかないから……」
「そんな事ないですよ。それだけじゃないです」
「どうかな?」
「そんな事ないです」
「ハハハ。そんなに言わなくてもいいよ!俺はね、星村さんに怒ってはいないよ。感謝してるのは、前も話したよね?」
「はい」
「今回だって、凛の痛みや悲しみや苦しみに寄り添って過ごしてくれた事に感謝してるんだよ」
皆月龍次郎さんの優しさに救われていくのがわかる。
「龍ちゃん、ごめんね」
「うん」
「拓夢、後で、話さない?」
「もちろん、俺はいいよ」
俺の返事に、凛は皆月龍次郎さんを見つめる。
「話したらいいんじゃないかな?」
皆月龍次郎さんは、そう言って笑って凛を見つめている。
「ありがとう、龍ちゃん」
凛は、とびきりの笑顔で笑った。
「じゃあ、後でね。拓夢」
「うん」
そう言って、凛は皆月龍次郎さんといなくなった。
「そうそう」
「本当に、幸せになりなさい」
三人のおば様達は、まっつんにそう言って笑いかけていた。
まっつんは、頷きながら泣いていた。
「母さん、あんまり泣かせたら…」
「あら、そうね」
俺が、母に話すと納得してくれたようだった。
コンコンー
「はい」
「失礼します」
従業員の方がやってきた。
「あら、もう時間ね。行きましょう」
「はい」
「じゃあね、優太君」
そう言って、おば様達はいなくなっ。
「俺も行くよ」
「あのさ、拓夢」
「何?」
「もしも、母親(あのひと)がいたら……」
「うん」
「出なくていいって伝えて欲しい」
「わかった」
俺は、まっつんの部屋から出た。
ただ、一言おめでとうって言ってもらう事が、こんなに大変な事だって知らなかった。
「拓……星村さん」
その声に、俺は顔を上げた。
「あっ、どうも」
「お久しぶりです。星村さん」
「あっ、はい。皆月さん夫婦も……」
凛と旦那さんに会ってしまった。
「堅苦しいね。凛も……。普通にしたらいいんだよ。俺は、気にしないから」
そう言って、皆月龍次郎さんは、ニコニコ笑ってくれる。
やっぱり、菩薩だな。
「ごめんね、龍ちゃん」
「全然」
「拓夢、元気にしてた?」
「うん。凛は?」
「元気だったよ」
「俺も、元気にしてた」
それ以上、俺は、話を続けられなくて……。
「後で、二人で話したら?」
「龍ちゃん」
「いいって、気にしなくて……」
「ありがとうございます」
「だから、堅苦しくなくていいって」
俺は、きっと皆月龍次郎(このひと)の優しさに甘えすぎてる。
それが、すごくわかるんだ。
俺は、皆月龍次郎(このひと)なら許してくれるって勝手に思ちゃってるんだ。
「ごめん、龍ちゃん。もうすぐ時間だから、お化粧直ししてくる」
「うん、わかった」
「ごめんね、拓夢」
「うん」
凛が俺に見せる顔と旦那さんに見せる顔の違いがハッキリわかった。
「星村さん」
「はい」
「凛の痛みや悲しみを拭っていただいてありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
皆月龍次郎さんは、俺の隣にやってきた。
「いい時間を過ごせたようでよかったです」
「何で、そんな風に思えるんですか?」
俺の言葉に、皆月龍次郎さんは左手の薬指にある指輪を俺に見せて笑った。
「指輪(それ)が、答えですか?」
俺の言葉に皆月龍次郎さんは、笑っている。
「そうかもな。俺には、指輪(これ)しかないから……」
「そんな事ないですよ。それだけじゃないです」
「どうかな?」
「そんな事ないです」
「ハハハ。そんなに言わなくてもいいよ!俺はね、星村さんに怒ってはいないよ。感謝してるのは、前も話したよね?」
「はい」
「今回だって、凛の痛みや悲しみや苦しみに寄り添って過ごしてくれた事に感謝してるんだよ」
皆月龍次郎さんの優しさに救われていくのがわかる。
「龍ちゃん、ごめんね」
「うん」
「拓夢、後で、話さない?」
「もちろん、俺はいいよ」
俺の返事に、凛は皆月龍次郎さんを見つめる。
「話したらいいんじゃないかな?」
皆月龍次郎さんは、そう言って笑って凛を見つめている。
「ありがとう、龍ちゃん」
凛は、とびきりの笑顔で笑った。
「じゃあ、後でね。拓夢」
「うん」
そう言って、凛は皆月龍次郎さんといなくなった。
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