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新しい未来へ~互いを救ってくれた愛と共に…。~【凛と拓夢の話3】
まっつんとの時間【拓夢】
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俺は、まっつんに何も話が出来ないままだった。
「母親(あのひと)がさ」
「うん」
「ついてすぐに言った言葉がさ」
「うん」
「あの女は、やめなさいだってさ…」
「何で?」
「これからのSNOWROSEの為にならないからだって言うんだよ。笑わせるよな」
そう言いながら、まっつんは泣いていた。
「12月にしたのって」
俺は、その言葉にまっつんに聞いていた。
「あの人が、俺を捨てた月だったから…」
「まっつん、許すつもりだったんだな」
まっつんは、泣きながら俺を見つめる。
「凛さんの旦那さんの龍次郎さんが、拓夢を許しただろ?あの日…」
「クリスマスの日だよな」
「そう。その時に、俺も許さなくちゃって思ったんだよ。許すってより、産んでくれた事に感謝しようって思ったんだ」
そう言いながら、まっつんは涙を拭っていた。
「龍次郎さんが言ったみたいに…。許すとか許さないとかじゃなくて感謝しようって…。母親(あのひと)が、俺を産んでくれなかったら、理沙には出会えなかったから…。怨んだり憎んだりするんじゃなくて、感謝する人間になりたかったんだ」
「まっつん……」
俺は、まっつんに近づいた。
まっつんは、生まれ変わりたかったんだ。
結婚して夫になるからこそ生まれ変わりたかったんだ。
「母親(あのひと)を捨てる事は、俺を捨てる事だから…。人は、簡単に捨てろって言うけどさ…。実際、捨てれないんだよ。だって、捨てる事は自分自身を否定する事だから」
「うん」
「この身体中に母親(あのひと)の遺伝子が流れてるんだ。俺はね、一歩間違えればいつだって理沙に同じ事が出来る人間だってわかってるんだよ。拓夢」
「まっつん…」
確かに、昔聞いた事があった。虐待された人間は、自分もまた虐待をするようになり、親に捨てられた人間は、自分も子供を捨てる。人生は、繰り返される。暴力を振るわれた人間は、自分もまた暴力を振るう人間に…。
だから、どこかで止めなくちゃいけないんだ。まっつんは、母親から受け継いだ遺伝子の悪い部分を今日止めようとしたんだ。
「拓夢、俺は変わりたかっただけなんだと思う。そして、何よりおめでとうって言ってもらえたら救われたんだと思う」
「そうだよな…。だって、まっつんがこうやって生きてるのはおばさんがいたからだもんな」
「そうだよ」
どんなに酷い人間であっても、命をかけて産んでくれた母親なんだ。その瞬間は、きっとまっつんの母親はまっつんを愛していたんだよ。ただ、どこかでボタンがかけ違ってしまっただけで…。それをまっつんは、俺なんかよりちゃんとわかってる。
「もう、やだわ!ここじゃないの」
「あら、本当」
俺とまっつんは、突然聞こえた声に顔を上げた。
「母親(あのひと)がさ」
「うん」
「ついてすぐに言った言葉がさ」
「うん」
「あの女は、やめなさいだってさ…」
「何で?」
「これからのSNOWROSEの為にならないからだって言うんだよ。笑わせるよな」
そう言いながら、まっつんは泣いていた。
「12月にしたのって」
俺は、その言葉にまっつんに聞いていた。
「あの人が、俺を捨てた月だったから…」
「まっつん、許すつもりだったんだな」
まっつんは、泣きながら俺を見つめる。
「凛さんの旦那さんの龍次郎さんが、拓夢を許しただろ?あの日…」
「クリスマスの日だよな」
「そう。その時に、俺も許さなくちゃって思ったんだよ。許すってより、産んでくれた事に感謝しようって思ったんだ」
そう言いながら、まっつんは涙を拭っていた。
「龍次郎さんが言ったみたいに…。許すとか許さないとかじゃなくて感謝しようって…。母親(あのひと)が、俺を産んでくれなかったら、理沙には出会えなかったから…。怨んだり憎んだりするんじゃなくて、感謝する人間になりたかったんだ」
「まっつん……」
俺は、まっつんに近づいた。
まっつんは、生まれ変わりたかったんだ。
結婚して夫になるからこそ生まれ変わりたかったんだ。
「母親(あのひと)を捨てる事は、俺を捨てる事だから…。人は、簡単に捨てろって言うけどさ…。実際、捨てれないんだよ。だって、捨てる事は自分自身を否定する事だから」
「うん」
「この身体中に母親(あのひと)の遺伝子が流れてるんだ。俺はね、一歩間違えればいつだって理沙に同じ事が出来る人間だってわかってるんだよ。拓夢」
「まっつん…」
確かに、昔聞いた事があった。虐待された人間は、自分もまた虐待をするようになり、親に捨てられた人間は、自分も子供を捨てる。人生は、繰り返される。暴力を振るわれた人間は、自分もまた暴力を振るう人間に…。
だから、どこかで止めなくちゃいけないんだ。まっつんは、母親から受け継いだ遺伝子の悪い部分を今日止めようとしたんだ。
「拓夢、俺は変わりたかっただけなんだと思う。そして、何よりおめでとうって言ってもらえたら救われたんだと思う」
「そうだよな…。だって、まっつんがこうやって生きてるのはおばさんがいたからだもんな」
「そうだよ」
どんなに酷い人間であっても、命をかけて産んでくれた母親なんだ。その瞬間は、きっとまっつんの母親はまっつんを愛していたんだよ。ただ、どこかでボタンがかけ違ってしまっただけで…。それをまっつんは、俺なんかよりちゃんとわかってる。
「もう、やだわ!ここじゃないの」
「あら、本当」
俺とまっつんは、突然聞こえた声に顔を上げた。
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