584 / 646
エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】
相沢さんと帰宅【凛】
しおりを挟む
拓夢と別れて、私は相沢さんと歩いていた。さっき、突然、写真を撮られた事がまだ怖かった。
「こちらで、きちんと破棄しますから」
相沢さんは、フィルムをポケットにしまいながらそう言った。
「さっきの人」
「あー、ゲスい芸能記者ですよ」
相沢さんは、そう言いながら前を睨み付けていた。
「そうなんですね」
「はい!ああいう連中がいるから困るんですよね。でも、逆を言うとああいう連中がいないと売れないんですよね」
そう言って、相沢さんはがっかりするような声で話していた。
「どうぞ!」
車を停めている駐車場につくと相沢さんは助手席の扉を開いてくれた。
「ありがとうございます」
「じゃあ、お金払ってきます」
そう言って、扉をバタンと閉めてくれた。
私は、スマホを取り出したけど龍ちゃんからの連絡はなかった。
本当に帰っていいのかな?相沢さんは、龍ちゃんに頼まれてやってきたようだけど…。
私には、連絡がないから不安だった。
「それじゃあ、帰りましょうか」
駐車料金を払った相沢さんは、運転席に乗り込んでドアを閉めるとエンジンをかけた。
「はい」
相沢さんは、車を走らせた。
「不安ですか?」
私の表情を読み取ったのか相沢さんは、そう言った。
「5日ぶりに帰るから…」
「そうですか」
「あっ、でも、そんな。凄くやましい事なんか…」
言い訳をしたいのか、私はそう言った。
「本当は、したかったんですね」
相沢さんは、私の言葉にそう言って笑った。
「拓夢は、しなかったですよ。キス以外…」
相沢さんに嘘をつけなくて、私はそう言った。
「星村君だってしたかったはずですよ。とても、凛さんを愛してる事は、知ってます」
「そうですか…」
「はい。でも、次を考えてやめたのだと思います」
「私達は、住む世界が違いますから…」
私の言葉に相沢さんは、「そんな事はありません」と言った。
「ただ、一つ違うとしたら…。さっきのような連中に狙われる事ですね。それだけが、違うだけですよ」
そう言って、相沢さんは笑った。
「その辺でいいです」
相沢さんといる所を近所に見られたくなくてそう言った。
「一人で、帰れますか?」
「わかりません」
私は、俯いていた。
「帰りたくなる魔法の言葉を話しましょうか?」
相沢さんは、ハザードをたいて車を停めるとそう言った。
「何ですか?」
私は、相沢さんを見つめていた。
「皆月龍次郎さんは、こう言っていましたよ!妻が帰ってくると連絡があったけれど…。本当に帰って来るかは、わからないです。でも、もしも、妻が帰る選択をした時に誰かに傷つけられないように…。相沢さん守ってあげてもらえませんか?と連絡をくれましたよ」
私は、その言葉に泣いていた。
「それって、龍ちゃんは…」
「凛さんが帰ってくるのを待ってると思いますよ」
私は、その言葉にシートベルトを外した。
「ありがとうございました」
「いえいえ」
「では、また」
「はい」
私は、相沢さんの車から降りて走り出した。
振り返る事なく、真っ直ぐ前だけを見て走り続けた。
「こちらで、きちんと破棄しますから」
相沢さんは、フィルムをポケットにしまいながらそう言った。
「さっきの人」
「あー、ゲスい芸能記者ですよ」
相沢さんは、そう言いながら前を睨み付けていた。
「そうなんですね」
「はい!ああいう連中がいるから困るんですよね。でも、逆を言うとああいう連中がいないと売れないんですよね」
そう言って、相沢さんはがっかりするような声で話していた。
「どうぞ!」
車を停めている駐車場につくと相沢さんは助手席の扉を開いてくれた。
「ありがとうございます」
「じゃあ、お金払ってきます」
そう言って、扉をバタンと閉めてくれた。
私は、スマホを取り出したけど龍ちゃんからの連絡はなかった。
本当に帰っていいのかな?相沢さんは、龍ちゃんに頼まれてやってきたようだけど…。
私には、連絡がないから不安だった。
「それじゃあ、帰りましょうか」
駐車料金を払った相沢さんは、運転席に乗り込んでドアを閉めるとエンジンをかけた。
「はい」
相沢さんは、車を走らせた。
「不安ですか?」
私の表情を読み取ったのか相沢さんは、そう言った。
「5日ぶりに帰るから…」
「そうですか」
「あっ、でも、そんな。凄くやましい事なんか…」
言い訳をしたいのか、私はそう言った。
「本当は、したかったんですね」
相沢さんは、私の言葉にそう言って笑った。
「拓夢は、しなかったですよ。キス以外…」
相沢さんに嘘をつけなくて、私はそう言った。
「星村君だってしたかったはずですよ。とても、凛さんを愛してる事は、知ってます」
「そうですか…」
「はい。でも、次を考えてやめたのだと思います」
「私達は、住む世界が違いますから…」
私の言葉に相沢さんは、「そんな事はありません」と言った。
「ただ、一つ違うとしたら…。さっきのような連中に狙われる事ですね。それだけが、違うだけですよ」
そう言って、相沢さんは笑った。
「その辺でいいです」
相沢さんといる所を近所に見られたくなくてそう言った。
「一人で、帰れますか?」
「わかりません」
私は、俯いていた。
「帰りたくなる魔法の言葉を話しましょうか?」
相沢さんは、ハザードをたいて車を停めるとそう言った。
「何ですか?」
私は、相沢さんを見つめていた。
「皆月龍次郎さんは、こう言っていましたよ!妻が帰ってくると連絡があったけれど…。本当に帰って来るかは、わからないです。でも、もしも、妻が帰る選択をした時に誰かに傷つけられないように…。相沢さん守ってあげてもらえませんか?と連絡をくれましたよ」
私は、その言葉に泣いていた。
「それって、龍ちゃんは…」
「凛さんが帰ってくるのを待ってると思いますよ」
私は、その言葉にシートベルトを外した。
「ありがとうございました」
「いえいえ」
「では、また」
「はい」
私は、相沢さんの車から降りて走り出した。
振り返る事なく、真っ直ぐ前だけを見て走り続けた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

断罪される一年前に時間を戻せたので、もう愛しません
天宮有
恋愛
侯爵令嬢の私ルリサは、元婚約者のゼノラス王子に断罪されて処刑が決まる。
私はゼノラスの命令を聞いていただけなのに、捨てられてしまったようだ。
処刑される前日、私は今まで試せなかった時間を戻す魔法を使う。
魔法は成功して一年前に戻ったから、私はゼノラスを許しません。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。

裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる