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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】
現れた人【拓夢】
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凛との繰り返したキス。太ももや足の感触。そのせいで、俺の下半身は熱を持ち続けていた。コートを羽織って、二人で外に出ると冷たい風が染みる。下半身の熱を誤魔化すために凛の手を握りしめた。
「旦那さん、返事来なかったのか…」
「きっと、怒ってるんだよ」
「それは、ないだろ」
「わからない。龍ちゃんが何考えてるか今はわからない」
そう言って、凛は悲しそうな顔をしていた。
「凛の事しか考えてないって…。凛の旦那さんは、そんな人だよ」
俺は、そう言って凛の手をギューと握った。
「龍ちゃんが優しい人だってわかってるからこんな事が出来ちゃう私は悪い人間だよね」
「それは、俺も同じだよ」
凛の旦那さんが優しいってわかってるから俺は凛とこうして会ったんだ。会って欲しいって頼まれたから何てのは口実だ。
「俺は、生きてきた中であんなに優しくて愛を持ってる人を知らないよ」
「そうだよね。龍ちゃんみたいな人、私も初めて出会った」
凛は、そう言って笑った。
「大切にしないといけないよな」
「そうなんだよね…」
凛は、眉毛を寄せながら考えていた。
俺達は、駅にやってきた。手を離そうとする凛の手を俺はしっかりと握っていた。
「もう、駄目だよ」
凛は、そう言ったけど俺は馬鹿だから離さなかった。
パシャ、パシャ…
カメラのフラッシュが光った。
「やっぱり、そうだったんですよねー。お話、よろしいですか?」
「彼女は、関係ないだろ」
「関係ない事ないですよね!ほら、PVに出てる人でしょ?SNOWROSEのタクムさん」
そう言って、男がカメラを構えた瞬間だった。
「困るんですよねー。事務所通してくれないと…」
「相沢さん!!」
「チッ!何だよ、テメーかよ」
現れた相沢さんは、カメラを持った男の前にやってくる。
「フィルムもらいましょうか?」
「チッ!何で、お前がいんだよ」
「アーティストを守るのがマネージャーの仕事ですから」
男は、イライラしながら相沢さんにフィルムを渡した。
「不倫野郎、庇うなんてとんだ事務所だな」
「何とでも言ってもらって結構です」
「相沢、次はないからよ」
そう捨て台詞を吐いて男はいなくなった。
「最終電車が行ってしまいました。凛さん、送りますね」
「あの、何で相沢さんがいるんですか?」
俺の言葉に相沢さんは、俺と凛を交互に見る。
「一時間程前に、皆月龍次郎さんから連絡が来たんです。凛さんが、今日星村君の家から帰るからと…。どうやら、この掲示板を心配してまして…。もしかしたら、週刊誌にまた撮られるかもしれないって」
そう言って、相沢さんがスマホで見せた掲示板には、【SNOWROSEのタクムの恋人は、デビューPVの女性で既婚者らしい】と書かれていた。
「そんな事になってたんですか!」
俺の言葉に相沢さんは、頭を軽く掻きながら話す。
「どうやら昨日の夜中に立てられたようで…。まだ、把握していなかったので。驚いたんだよ」
「凛の旦那さんが、それを見つけてくれたんですか?」
「見つけたと言うよりは、会社で女の人が話してるのを聞いて知ったと言っていたよ」
「そうだったんですね」
俺は、何も知らずに凛と手を繋いでいたんだ。迷惑掛けないようにするはずが…。こんな事になってしまった。俺は、俯いた。
「旦那さん、返事来なかったのか…」
「きっと、怒ってるんだよ」
「それは、ないだろ」
「わからない。龍ちゃんが何考えてるか今はわからない」
そう言って、凛は悲しそうな顔をしていた。
「凛の事しか考えてないって…。凛の旦那さんは、そんな人だよ」
俺は、そう言って凛の手をギューと握った。
「龍ちゃんが優しい人だってわかってるからこんな事が出来ちゃう私は悪い人間だよね」
「それは、俺も同じだよ」
凛の旦那さんが優しいってわかってるから俺は凛とこうして会ったんだ。会って欲しいって頼まれたから何てのは口実だ。
「俺は、生きてきた中であんなに優しくて愛を持ってる人を知らないよ」
「そうだよね。龍ちゃんみたいな人、私も初めて出会った」
凛は、そう言って笑った。
「大切にしないといけないよな」
「そうなんだよね…」
凛は、眉毛を寄せながら考えていた。
俺達は、駅にやってきた。手を離そうとする凛の手を俺はしっかりと握っていた。
「もう、駄目だよ」
凛は、そう言ったけど俺は馬鹿だから離さなかった。
パシャ、パシャ…
カメラのフラッシュが光った。
「やっぱり、そうだったんですよねー。お話、よろしいですか?」
「彼女は、関係ないだろ」
「関係ない事ないですよね!ほら、PVに出てる人でしょ?SNOWROSEのタクムさん」
そう言って、男がカメラを構えた瞬間だった。
「困るんですよねー。事務所通してくれないと…」
「相沢さん!!」
「チッ!何だよ、テメーかよ」
現れた相沢さんは、カメラを持った男の前にやってくる。
「フィルムもらいましょうか?」
「チッ!何で、お前がいんだよ」
「アーティストを守るのがマネージャーの仕事ですから」
男は、イライラしながら相沢さんにフィルムを渡した。
「不倫野郎、庇うなんてとんだ事務所だな」
「何とでも言ってもらって結構です」
「相沢、次はないからよ」
そう捨て台詞を吐いて男はいなくなった。
「最終電車が行ってしまいました。凛さん、送りますね」
「あの、何で相沢さんがいるんですか?」
俺の言葉に相沢さんは、俺と凛を交互に見る。
「一時間程前に、皆月龍次郎さんから連絡が来たんです。凛さんが、今日星村君の家から帰るからと…。どうやら、この掲示板を心配してまして…。もしかしたら、週刊誌にまた撮られるかもしれないって」
そう言って、相沢さんがスマホで見せた掲示板には、【SNOWROSEのタクムの恋人は、デビューPVの女性で既婚者らしい】と書かれていた。
「そんな事になってたんですか!」
俺の言葉に相沢さんは、頭を軽く掻きながら話す。
「どうやら昨日の夜中に立てられたようで…。まだ、把握していなかったので。驚いたんだよ」
「凛の旦那さんが、それを見つけてくれたんですか?」
「見つけたと言うよりは、会社で女の人が話してるのを聞いて知ったと言っていたよ」
「そうだったんですね」
俺は、何も知らずに凛と手を繋いでいたんだ。迷惑掛けないようにするはずが…。こんな事になってしまった。俺は、俯いた。
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