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エピローグ~月と星の交わる場所へ~【凛と拓夢の話2】

餃子を作る【拓夢】

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「苦しいよ」

「ごめん、ごめん」

チュッって、凛の頬に俺はキスをした。

「今の何で?」

「そういうのいっぱいしようよ」

今さらながら、絵に描いた恋人みたいな事をしたかった。付き合いたてのカップルみたいな事がしたかった。

「フフフ、いいよ」

凛は、ニコニコ笑ってくれる。

「キャベツとニラとにんにくと生姜と豚ミンチであってる?」

「うん」

「で、ニラは忘れた」

俺の言葉に凛は、「えっ?」と言って笑った。

「これが、ニラと思って買ったらしい」

俺は、凛に緑色の野菜を見せる。

「ねぎだよ」

「ねぎだね」

二人で顔を見合わせて、笑い合う。

「ニラを取ったつもりだったの?」

「うん」

「ハハハ、同じ場所にあったりするもんね」

「そうなんだ」

俺は、驚いた顔をして凛を見つめる。

「えっと、餃子は作った事は?」

「ない!買うものだから」

俺の言葉に凛は、少し驚いた顔をした。

「餃子ってラーメン屋で食べたり、ほら冷凍を買ったり」

「作った方が美味しいよ」

凛は、そう言って手を洗ってる。

「でも、俺、一人だよ!冷凍とかしなくちゃいけないだろ?何かべちゃべちゃになりそうだろ?」

「確かに、水分出やすいもんね」

凛は、キャベツを千切りにしている。

「何だかんだ冷凍が楽なんだよ」

「そうかもね」

凛は、千切りにしたキャベツをさらに細かくしている。

「俺、凛の事たくさん知りたい」

「どんな事を知りたいの?」

凛は、にんにくを2片取って皮を剥いている。

「初めての恋とか?」

「いるかな?」

「じゃあ、どんな子だった!小さい頃」

「それもいる?」

凛は、にんにくを細かくしていた。俺は、ボールを取り出して凛に渡す。

「どんな話なら教えてくれる?」

凛は、ボールにキャベツやにんにくを入れた。生姜の小さい欠片を取って、ティースプーンで皮を剥いてから、凛は生姜を細かくしていた。

「わからない」

「凛は、よくSNS見るって言ってたよな」

「うん」

「あれさ、一般人でもエゴサするの知ってる?」

凛は、豚ミンチをボールに入れて、塩、こしょう、胡麻油を入れる。

「自分の名前を検索して何になるの?」

「何でかな?今の人は、自分の価値をネットで決めてるのかな?オイスターソース忘れたけど…」

「そうなんだね。いらないよ。これでいこう。ニラもないから」

凛は、そう言って餃子の種を混ぜてる。

「凛もSNSに振り回れてるだろ?消したりとかしないの?」

俺の言葉に凛は、俺を見つめる。

「そこにいるのは、全部自分なのに消す必要はないかな…。確かに、友達の投稿を見たりして辛いし、悲しいよ。逆に何で消すの?」

「振り回されるの嫌になるからじゃない?ほら、凛みたいに…。上がったり落ちたり…」

「何でも捨てれそうでいいね」

凛は、そう言って悲しそうに目を伏せた。

「何かあった?」

今の話で、俺は凛を傷つけてしまった気がした。
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